DuckDB on Ubuntu — ローカル分析用高速組み込みDBの使い方

データエンジニアリング

DuckDBは、SQLiteのようにインストール不要で使える高速分析向けデータベースです。CSVやParquetファイルを直接SQLで查询でき、100万行の集計クエリも15msで処理します。本記事ではUbuntu 24.04 LTS(Docker公式イメージ)を実際に使ってインストールからクエリ実行、ストレージ比較、ベンチマークまで全工程を驗證しています。

この記事のポイント

  • DuckDBはwgetunzipの2コマンドでインストール完了(apt不要)
  • Parquet形式なら100万行GROUP BYを14msで処理(SQLiteの約17倍高速)
  • ストレージはCSV比で約1/5に圧縮(列指向フォーマットの効果)
  • Ubuntu 24.04 / 22.04 両方で動作確認済み
DuckDB インストール実行ログ(Ubuntu 24.04)
DuckDB インストール実行ログ(Ubuntu 24.04)

前提環境

本記事の検証は以下の環境で実施しました。

項目 内容
OS Ubuntu 24.04 LTS / 22.04 LTS(Docker公式イメージ)
DuckDB v1.5.4(Variegata)※ 2026年6月時点の最新版
実行方式 docker run --rm ubuntu:24.04 内で実行
ホストOS Ubuntu 24.04(Docker 24系)
計測日 2026年6月19日

DuckDBとは — SQLiteと何が違うのか

DuckDBは「分析に特化した組み込みDB」です。SQLiteと同じくサーバー不要で1ファイルで動作しますが、設計思想が明確に違います。

比較項目 SQLite DuckDB
得意分野 トランザクション(行単位のINSERT/UPDATE) 分析クエリ(GROUP BY / JOIN / Window関数)
ストレージ形式 行指向 列指向
CSV直接読み込み ×(要IMPORT処理) ○(read_csv_auto()一発)
Parquet対応 ×(別途拡張機能) ○(標準サポート、圧縮効率◎)
100万行GROUP BY 約238ms 約15ms(Parquet読み込み時)
インストール apt install sqlite3 wgetunzip(バイナリ単体)

データを「読む・分析する」用途では、DuckDBが圧倒的に有利です。逆にリアルタイムなトランザクション処理はSQLiteの得意分野なので、使い分けが重要になります。

注意

DuckDBはaptリポジトリには登録されていません。公式バイナリをダウンロードして配置します。本記事の手順は Ubuntu 24.04 LTS で検証していますが、22.04 LTS でも同じ手順で動作します。

① Ubuntuへのインストール方法(2コマンドで完了)

まずは最新版のダウンロードURLを確認しましょう。DuckDBはGitHubでリリース管理されているため、APIから最新バージョンを取得できます。




ubuntu@linuxlab: ~
$ curl -s https://api.github.com/repos/duckdb/duckdb/releases/latest | python3 -c “import sys,json; print(json.load(sys.stdin)[‘tag_name’])”
v1.5.4

# ダウンロード(約5秒・20MB)

$ wget -q https://github.com/duckdb/duckdb/releases/download/v1.5.4/duckdb_cli-linux-amd64.zip
$ unzip duckdb_cli-linux-amd64.zip
Archive: duckdb_cli-linux-amd64.zip
inflating: duckdb
$ chmod +x duckdb && sudo mv duckdb /usr/local/bin/

展開されるのはduckdbという単一バイナリのみ。依存ライブラリのインストールは不要です。正直、これだけで使えるようになるのは気持ちいいです。

unzip が入っていない場合

最小構成のUbuntuでは unzip がないことがあります。その場合は先に sudo apt install unzip を実行してください。

② インストール確認 — バージョン情報の取得




ubuntu@linuxlab: ~
$ duckdb –version
v1.5.4 (Variegata) 08e34c447b

Variegata」はそのバージョンのコードネーム、08e34c447b がコミットハッシュです。ビルド識別に使えます。

DuckDB インストール実行ログ — 詳細手順
DuckDB インストール実行ログ — 詳細手順

③ 基本的な使い方 — CSVを読み込んでSQLを使う

DuckDBの最大の特徴は、CSVファイルをそのままSQLテーブルとして読める点です。データを事前に変換する必要はありません。

サンプルデータで動作確認

ここでは1000行の売上データ(CSV)を用意して、DuckDBで集計してみます。




ubuntu@linuxlab: ~
# CSVを直接読み込んで都市別集計
$ duckdb -c “
SELECT city,
SUM(amount) AS total_amount,
COUNT(*) AS transactions,
ROUND(AVG(amount),0) AS avg_amount
FROM read_csv_auto(‘/tmp/sales.csv’)
GROUP BY city
ORDER BY total_amount DESC;”

┌─────────┬──────────────┬──────────────┬────────────┐
│ city │ total_amount │ transactions │ avg_amount │
│ varchar │ int128 │ int64 │ double │
├─────────┼──────────────┼──────────────┼────────────┤
│ Sapporo │ 1099864 │ 208 │ 5288.0 │
│ Osaka │ 1055087 │ 207 │ 5097.0 │
│ Nagoya │ 1023447 │ 199 │ 5143.0 │
│ Kyoto │ 934294 │ 198 │ 4719.0 │
│ Tokyo │ 912743 │ 188 │ 4855.0 │
└─────────┴──────────────┴──────────────┴────────────┘

read_csv_auto('/tmp/sales.csv') でCSVのスキーマを自動判定し、そのままSQLの対象にできます。ヘッダー行も型推定も自動处理されます。

DuckDB クエリ実行結果(CSV読み込み & Window関数)
DuckDB クエリ実行結果(CSV読み込み & Window関数)

CREATE TABLE と JOIN の動作確認

通常のテーブル作成やJOINもSQL標準の構文で動きます。




ubuntu@linuxlab: ~
$ duckdb -c “
CREATE TABLE departments (id INT, name VARCHAR);
CREATE TABLE employees (id INT, name VARCHAR, dept_id INT, salary INT);
INSERT INTO departments VALUES (1,’Engineering’),(2,’Marketing’),(3,’Sales’);
INSERT INTO employees VALUES
(1,’Tanaka’,1,800),(2,’Suzuki’,1,750),(3,’Yamamoto’,2,600),
(4,’Sato’,3,700),(5,’Takahashi’,2,650);
SELECT d.name AS dept, e.name AS emp, e.salary
FROM employees e JOIN departments d ON e.dept_id = d.id
ORDER BY e.salary DESC;”
┌─────────────┬─────────────┬────────┐
│ dept │ emp │ salary │
├─────────────┼─────────────┼────────┤
│ Engineering │ Tanaka │ 800 │
│ Engineering │ Suzuki │ 750 │
│ Sales │ Sato │ 700 │
│ Marketing │ Takahashi │ 650 │
│ Marketing │ Yamamoto │ 600 │
└─────────────┴─────────────┴────────┘

④ ストレージ効率の比較 — CSV vs Parquet vs SQLite vs DuckDB

DuckDBは列指向ストレージのため、同じデータでもファイルサイズが大きく異なります。100万行のデータで各フォーマットの容量を比較しました。

ストレージフォーマット別ファイルサイズの比較表(100万行データ)
ストレージフォーマット別ファイルサイズの比較表(100万行データ)

ParquetとDuckDBネイティブ形式は、CSVの約1/5〜1/6の容量に収まります。列指向フォーマットは同じカラムの値をまとめて圧縮するため、重複の多いデータほど効果が高くなります。

各フォーマットへの変換コマンド




ubuntu@linuxlab: ~
# CSV → Parquet 変換
$ duckdb -c “COPY (SELECT * FROM read_csv_auto(‘/tmp/big_sales.csv’))
TO ‘/tmp/sales.parquet’ (FORMAT PARQUET);”


# CSV → DuckDBネイティブDB 変換
$ duckdb /tmp/mydata.db -c “CREATE TABLE sales AS
SELECT * FROM read_csv_auto(‘/tmp/big_sales.csv’);”

⑤ パフォーマンス検証 — 100万行GROUP BYベンチマーク

ストレージに次いで気になるのがクエリ速度です。100万行のデータで同じGROUP BY集計を実行し、各フォーマットの処理時間を比較しました。

フォーマット別クエリ実行速度のバーチャート(100万行 GROUP BY)
フォーマット別クエリ実行速度のバーチャート(100万行 GROUP BY)

計測結果の詳細

  • Parquet → DuckDB: 14ms(最速・列指向ストレージの利が最大)
  • DuckDBネイティブ: 15ms
  • CSV → DuckDB: 54ms(テキストパースオーバーヘッドあり)
  • SQLite: 238ms(行指向のため分析クエリは遅い)
  • 計測条件: Ubuntu 24.04 Docker / 3回実行の平均値

DuckDB(Parquet)はSQLiteの約17倍高速です。CSV直接読み込みでも54msと十分実用的で、Parquet形式を使えばさらに1/4に短縮できます。データ分析パイプラインでDuckDBを使うなら、まずはCSVをParquetに変換する一手間が効果的です。

⑥ Ubuntu 22.04 / 24.04 のバージョン横断動作確認

DuckDBは Ubuntu 22.04 LTS でも 24.04 LTS でも同じ手順で動作します。両バージョンでの確認結果を以下にまとめます。

項目 Ubuntu 24.04 Ubuntu 22.04
インストール結果 ○ 正常(python3.12) ○ 正常(python3.10)
DuckDB バージョン v1.5.4 (Variegata) v1.5.4 (Variegata)
バイナリサイズ 60MB 60MB
基本クエリ実行 ○ 正常動作 ○ 正常動作

どちらのバージョンでもPythonのバージョンが違っても、DuckDBの動作に差はありません。バイナリ単体で配布されているため、OSのバージョン差異に左右されにくいのが利点です。

⑦ 発展的な使い方 — Window関数とCTE

DuckDBはSQL標準のWindow関数やCTE(Common Table Expression)にもフル対応しています。

Window関数の例

部署ごとの給与ランキングをRANK() OVERで取得します。




ubuntu@linuxlab: ~
$ duckdb -c “
SELECT name, dept, salary,
RANK() OVER (PARTITION BY dept ORDER BY salary DESC) AS dept_rank,
salary – AVG(salary) OVER () AS diff_from_avg,
ROUND(AVG(salary) OVER (PARTITION BY dept),0) AS dept_avg
FROM emp;”
┌─────────┬───────┬────────┬───────────┬───────────────┬──────────┐
│ name │ dept │ salary │ dept_rank │ diff_from_avg │ dept_avg │
├─────────┼───────┼────────┼───────────┼───────────────┼──────────┤
│ Kimura │ Mkt │ 850 │ 1 │ 100.0 │ 750.0 │
│ Suzuki │ Eng │ 900 │ 1 │ 150.0 │ 850.0 │
│ Tanaka │ Eng │ 800 │ 2 │ 50.0 │ 850.0 │
│ Sato │ Sales │ 700 │ 1 │ -50.0 │ 650.0 │
└─────────┴───────┴────────┴───────────┴───────────────┴──────────┘
Window関数・CTEの実行結果
Window関数・CTEの実行結果

CTE(Common Table Expression)の例

WITH句で一時テーブルを定義し、人口密度を計算します。




ubuntu@linuxlab: ~
$ duckdb -c “
WITH city_totals AS (
SELECT ‘Tokyo’ AS city, 1200000 AS pop, 500.5 AS area_km2
UNION ALL SELECT ‘Osaka’, 880000, 225.1
UNION ALL SELECT ‘Nagoya’, 740000, 326.5
)
SELECT city, pop, area_km2,
ROUND(pop::FLOAT / area_km2, 0) AS pop_per_km2
FROM city_totals ORDER BY pop_per_km2 DESC;”
┌─────────┬────────┬────────────┬───────────────┐
│ city │ pop │ area_km2 │ pop_per_km2 │
├─────────┼────────┼────────────┼───────────────┤
│ Osaka │ 880000 │ 225.1 │ 3909.0 │
│ Tokyo │1200000 │ 500.5 │ 2398.0 │
│ Nagoya │ 740000 │ 326.5 │ 2266.0 │
└─────────┴────────┴────────────┴───────────────┘

DuckDBの全体像 — パフォーマンス数値まとめ

DuckDB v1.5.4 パフォーマンス概要の統計カード
DuckDB v1.5.4 パフォーマンス概要の統計カード

まとめ

DuckDBはUbuntuに2コマンドで導入でき、分析用途ではSQLiteを大きく上回るパフォーマンスを発揮します。

この記事のポイント おさらい

  • wgetunzipでインストール完了。aptリポジトリ不要
  • CSV/ParquetをそのままSQLの対象にできる(read_csv_auto()
  • 100万行GROUP BYを15msで処理(SQLiteの約17倍高速)
  • Parquet形式でストレージをCSVの約1/5に圧縮
  • Window関数・CTEなどSQL標準機能をフルサポート
  • Ubuntu 24.04 / 22.04 両方で動作確認済み

DuckDBはデータ分析の前処理や、ローカルでのSQL学習に非常に有用なツールです。大きなCSVファイルを手動で集計している場合は、DuckDBに切り替えるだけで劇的に速くなります。

本格的なデータ分析環境を整えたい場合は、VPS上にDuckDBとJupyter Notebookを組み合わせて構築するのもおすすめです。以下のVPS記事もあわせて参考にしてください。

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