Ubuntuで生成AI開発環境を構築する完全ガイド【2026年】

用途別

「ChatGPT みたいなAIを、自分のUbuntuサーバーで動かしてみたい」と思ったことはありませんか?結論から言うと、Ubuntu 24.04 LTS があれば、ローカルLLM・RAG(検索拡張生成)・ChatGPT風のチャットUIまで、すべて無料で自前環境に構築できます。本記事では、Ubuntu 24.04 の公式 Docker イメージ(ubuntu:24.04)で実際にコマンドを動かして取得した一次データと、実際に起動した Open WebUI のスクリーンショットをもとに、Python 環境の構築から Ollama・Open WebUI のセットアップまでを一本でまとめます。数字はすべて 2026年6月15日に実測した値です。

この記事のポイント

  • Ubuntu 24.04 LTS の python3 候補は 3.12.3、Ubuntu 22.04 は 3.10.6 系(apt-cache policy で実測)
  • Ubuntu 24.04 は system pip への直接インストールを拒否する(PEP 668)。python3 -m venv で仮想環境を作るのが正解
  • venv 内で ollama 0.6.2langchain-core 1.4.7chromadb 1.5.9 を pip install すると、依存込みで計90パッケージが入る(実測)
  • Ollama(v0.30.8)で llama3.2:1b に日本語で問い合わせると、GPUなしでも 175.8 トークン/秒で応答(実測)
  • Open WebUI(v0.9.6)を Docker で立ち上げると、ブラウザから ChatGPT 風のUIでローカルAIと対話できる(起動画面を実撮影)

目次

  1. 動作確認済み環境と前提
  2. Python 環境を整える
  3. AI 開発パッケージをインストールする
  4. Ollama でローカルLLMを動かす
  5. Open WebUI でブラウザから AI に話しかける
  6. Jupyter Notebook のセットアップ
  7. よくあるエラーと解決策
  8. まとめ

動作確認済み環境と前提

本記事のコマンド結果は、実際に docker run --rm ubuntu:24.04 でコンテナを起動して実行したものです。GUIスクリーンショットは Open WebUI を Docker で起動し、Playwright でブラウザ操作して撮影しています。実測環境は以下の通りです。

項目 バージョン / 仕様
OS(コンテナ) Ubuntu 24.04.4 LTS (Noble Numbat)
カーネル 5.10.76-linuxkit
Python(apt) 3.12.3
pip system 24.0 / venv で upgrade 後 26.1.2
Ollama 0.30.8
Open WebUI 0.9.6
実測日 2026年6月15日

注意

本記事のコマンドは Ubuntu 24.04 LTS で検証しています。Ubuntu 22.04 では python3 の候補バージョンが 3.10.6 系になり、一部の新しいAIライブラリが要求する Python バージョンを満たせない場合があります。これから始めるなら 24.04 をおすすめします。

Python 環境を整える

Ubuntu 24.04 では Python 3.12.3 が apt から直接インストールできます。実際に ubuntu:22.04 と ubuntu:24.04 の両コンテナで apt-cache policy を実行して候補バージョンを比較したのが下の表です。24.04 は 22.04 より2メジャーバージョン新しい Python 3.12 系で、型ヒントの改善・実行速度の向上・新しいAIライブラリとの互換性という点で有利です。

Ubuntu 22.04/24.04 のPython関連パッケージ候補バージョン比較(実測)
Ubuntu 22.04/24.04 のPython関連パッケージ候補バージョン比較(実測)

手順1:パッケージリストを更新して Python をインストールする




ubuntu@linuxlab: ~
$ sudo apt update
Hit:1 http://archive.ubuntu.com/ubuntu noble InRelease
Reading package lists… Done
$ sudo apt install -y python3 python3-venv python3-pip python3-dev build-essential
$ python3 –version
Python 3.12.3
$ pip3 –version
pip 24.0 from /usr/lib/python3/dist-packages/pip (python 3.12)

python3-venv は仮想環境を作るためのパッケージです。AI 開発では複数のプロジェクトで依存ライブラリのバージョンが食い違うことが多いので、必ず venv を使って環境を分離するのを習慣にしてください。正直、ここを省くと後で必ず詰まります。

手順2:仮想環境を作成して有効化する




ubuntu@linuxlab: ~
$ python3 -m venv ~/aienv
$ source ~/aienv/bin/activate
(aienv) $
(aienv) $ pip install –upgrade pip
Successfully installed pip-26.1.2

source ~/aienv/bin/activate でプロンプトに (aienv) が付いたら仮想環境が有効です。実測では、システムの pip は 24.0 でしたが、venv 内で --upgrade すると pip 26.1.2 まで上がりました。AI 系の最新パッケージは新しい pip を前提にすることが多いので、venv を作ったらまず pip を上げておくと安全です。抜けるときは deactivate と打つだけです。

AI 開発パッケージをインストールする

仮想環境が有効な状態で、ローカルAI開発の三本柱になるパッケージをインストールします。実際に ubuntu:24.04 コンテナの venv で pip install ollama langchain-core chromadb を実行したところ、ollama 0.6.2・langchain-core 1.4.7・chromadb 1.5.9 が問題なく導入できました。そして驚いたのが、この3つを指定しただけで依存込みで計90パッケージがインストールされたことです。

venv作成とAIパッケージ導入の実行ログ(実測)
venv作成とAIパッケージ導入の実行ログ(実測)

手順3:コアAIライブラリをインストールする




ubuntu@linuxlab: ~
(aienv) $ pip install ollama langchain-core chromadb
Collecting ollama …
Collecting langchain-core …
Collecting chromadb …
Successfully installed ollama-0.6.2 langchain-core-1.4.7 chromadb-1.5.9 …
(aienv) $ pip show ollama langchain-core chromadb | grep -E ‘Name:|Version:’
Name: ollama Version: 0.6.2
Name: langchain-core Version: 1.4.7
Name: chromadb Version: 1.5.9
(aienv) $ pip list | wc -l
90
venvに導入されたAI開発パッケージと主要依存(実測)
venvに導入されたAI開発パッケージと主要依存(実測)

各パッケージの役割を整理しておきましょう。

  • ollama(0.6.2):ローカルLLMを動かす Ollama サーバーへの Python クライアント。ollama.chat() 1行でLLMに問い合わせられます
  • langchain-core(1.4.7):LLMアプリのパイプライン(Chain)を組み立てる基盤ライブラリ。RAGやエージェント構築に不可欠です
  • chromadb(1.5.9):オープンソースのベクトルDB。ドキュメントを埋め込みベクトルで保存してRAGに使います

実測では、chromadb が onnxruntime 1.26.0tokenizers 0.23.1numpy 2.4.6 などを芋づる式に引っ張ってきました。3つ指定したつもりでも実体は90パッケージなので、環境を汚さないためにも venv での分離が効いてきます。PyTorch を使う場合は別途インストールが必要です(GPU対応版はCUDA版の pip インデックスを指定してください)。

Ollama でローカルLLMを動かす

Ollama は、Llama・Qwen・Gemma などの大規模言語モデルをコマンド1つで手元のマシンで動かせるツールです。クラウドAPIと違ってデータが外部に出ないため、プライバシーを守りながらAIを使いたい場合に最適です。今回の検証環境では Ollama 0.30.8 が稼働しており、実際にREST API経由でバージョン・モデル一覧・チャット速度を計測しました。

Ollama 0.30.8 のバージョン・モデル一覧・実チャット速度(実測)
Ollama 0.30.8 のバージョン・モデル一覧・実チャット速度(実測)

手順4:Ollama を Docker で起動してモデルを取得する




ubuntu@linuxlab: ~
$ docker run -d -p 11434:11434 –name ollama ollama/ollama:latest
$ docker exec -it ollama ollama pull llama3.2:1b
$ curl -s localhost:11434/api/version
{“version”:”0.30.8″}
$ ollama list # 実測で22モデル導入済み(抜粋)
llama3.2:1b 1.32 GB 1.2B
qwen2.5:0.5b 0.40 GB 494M
gemma3:1b 0.82 GB 999M
deepseek-r1:1.5b 1.12 GB 1.8B

メモリ要件

同じ1〜2GBクラスのモデルでも、実行時には数GBのRAMを使います。GPU がなくても CPU のみで動きますが、モデルが大きいほど応答は遅くなります。VPS で本格的に試す場合は最低 8 GB RAM のプランを選んでください。

手順5:Python / API から Ollama に問い合わせる

実際に llama3.2:1b(1.2Bパラメータ)に日本語で問い合わせたところ、GPUなしのこの環境でも 応答時間 2.04 秒・生成速度 175.8 トークン/秒という結果でした。返ってきた実際の応答が以下です。




ubuntu@linuxlab: ~
(aienv) $ python3 -c “import ollama; print(ollama.chat(model=’llama3.2:1b’, messages=[{‘role’:’user’,’content’:’Ubuntuとは何か、3文以内で簡潔に説明してください。’}])[‘message’][‘content’])”
Ubuntuは、カナダのサムスン社が開発し、リリースした
オープンソースライセンス下での Free and Open Source OS です。
Unix系ベースのLinuxのバージョンで、Debianと同一のライセンスが含まれています。

小型モデルの落とし穴

速い反面、1.2Bの小型モデルは事実誤認をします。上の応答も「カナダのサムスン社が開発」と書いていますが、Ubuntu を開発しているのは英国の Canonical 社で、サムスンは無関係です。ローカルの軽量モデルは下書き・要約・コード補完には便利ですが、事実確認が必要な用途では大型モデルやクラウドAPIと併用するのが現実的です。

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175トークン/秒という速度は正直びっくりしました。GPUなしでもここまで出るのかと。ただ「サムスンが開発」には笑いました。速度と正確さは別物だと、身をもって分かる実験でした。

Open WebUI でブラウザから AI に話しかける

コマンドラインからAIを使うのも良いですが、Open WebUI を使うと ChatGPT そっくりのブラウザUIから Ollama のモデルに話しかけられます。Docker 1コマンドで立ち上がり、追加のインストールは不要です。今回起動したのは Open WebUI v0.9.6 です。

手順6:Open WebUI を起動する




ubuntu@linuxlab: ~
$ docker run -d -p 3000:8080 \
–add-host=host.docker.internal:host-gateway \
-e OLLAMA_BASE_URL=http://host.docker.internal:11434 \
–name open-webui \
ghcr.io/open-webui/open-webui:main
$ curl -s localhost:3000/api/config | grep -o ‘”version”:”[^”]*”‘
“version”:”0.9.6″

--add-host=host.docker.internal:host-gateway がポイントです。これを指定しないと、Open WebUI コンテナからホスト側の Ollama(ポート11434)にアクセスできません。起動には数十秒かかるので、/health が 200 を返すのを待ってから http://localhost:3000 をブラウザで開いてください。

手順7:初回の管理者アカウントを作成する

初回アクセスすると「Get started」のオンボーディング画面が出ます。クリックすると管理者アカウントの作成フォームが表示されるので、名前・メール・パスワードを入力します。以下は実際の作成画面です(機微情報はダミー値で入力)。

Open WebUI 初回の管理者アカウント作成画面(v0.9.6 実撮影)
Open WebUI 初回の管理者アカウント作成画面(v0.9.6 実撮影)

このフォームには「Open WebUI does not make any external connections, and your data stays securely on your locally hosted server.(Open WebUI は外部に接続せず、データはローカルサーバーに安全に保存されます)」と明記されています。ローカルで完結する安心感がここでも分かります。

手順8:チャット画面とモデル選択

アカウントを作成すると、すぐに ChatGPT 風のチャット画面に入ります。中央に「How can I help you today?」の入力欄があり、左上のドロップダウンで使うモデルを選べます。

Open WebUI ログイン後のメインチャット画面(実撮影)
Open WebUI ログイン後のメインチャット画面(実撮影)

左上のモデル選択ドロップダウンを開くと、ホストの Ollama に入っているモデルが自動で一覧表示されました。実際に llama3.2:1b・qwen2.5-coder:1.5b・nomic-embed-text などが並んでいるのが確認できます。設定不要でこれだけ連携してくれるのは快適です。

Open WebUI のモデル選択ドロップダウン(Ollamaモデルを自動検出・実撮影)
Open WebUI のモデル選択ドロップダウン(Ollamaモデルを自動検出・実撮影)

手順9:管理者設定を確認する

右下のアカウントアイコンから管理パネルに入れます。バージョン(v0.9.6)や認証設定、JWTの有効期限、サインアップの可否などをここで管理します。

Open WebUI 管理者設定パネル(バージョンv0.9.6を表示・実撮影)
Open WebUI 管理者設定パネル(バージョンv0.9.6を表示・実撮影)

セキュリティ注意

初期設定では「Enable New Sign Ups」がオンのことがあります。VPSなど外部公開する環境では、管理パネルで新規サインアップをオフにし、UFW でポート3000を信頼できるIPに制限してください。

Jupyter Notebook のセットアップ

データ分析やモデルの実験には Jupyter Notebook が便利です。コードとその実行結果を1つのファイルにまとめて管理でき、AI 開発の試行錯誤に向いています。先ほど作った venv の中にそのまま入れられます。

手順10:JupyterLab をインストールして起動する




ubuntu@linuxlab: ~
(aienv) $ pip install jupyterlab
Successfully installed jupyterlab …
(aienv) $ jupyter lab –ip=0.0.0.0 –port=8888 –no-browser
[I ServerApp] Jupyter Server is running at:
[I ServerApp] http://0.0.0.0:8888/lab?token=…

VPS で動かす場合は --ip=0.0.0.0 を指定し、http://<サーバーIP>:8888/lab でブラウザからアクセスします。表示されるトークン付きURLでログインしてください。

セキュリティ注意

認証を無効化する --NotebookApp.token='' は開発・テスト専用です。VPSなど外部からアクセス可能な環境では、必ずトークンかパスワードを設定し、UFW でポートを制限してください。

よくあるエラーと解決策

①「externally-managed-environment」エラーが出る

Ubuntu 24.04 では、システムの Python 環境を保護する仕組み(PEP 668)が有効です。venv を作らずに pip install を直接実行すると、以下のエラーで弾かれます。これは ubuntu:24.04 コンテナで実際に再現したものです。

Ubuntu 24.04でsystem pip installが弾かれる挙動(実測)
Ubuntu 24.04でsystem pip installが弾かれる挙動(実測)



ubuntu@linuxlab: ~
$ pip3 install ollama
error: externally-managed-environment
× This environment is externally managed
hint: create a virtual environment using python3 -m venv path/to/venv

解決策:python3 -m venv ~/aienv && source ~/aienv/bin/activate で仮想環境を作ってから pip を使う。これが Ubuntu 24.04 における正しいやり方です。

②「Cannot connect to the Docker daemon」エラー




ubuntu@linuxlab: ~
Cannot connect to the Docker daemon at unix:///var/run/docker.sock
Is the docker daemon running?
$ sudo systemctl enable –now docker
$ sudo usermod -aG docker $USER
※ ログアウト→ログインしてから docker コマンドを実行

Docker のインストール直後はデーモンが起動していないことがあります。sudo systemctl enable --now docker で起動と自動起動をまとめて設定しておくと便利です。

③ Open WebUI から Ollama に接続できない

Open WebUI が「Connection error」を表示する場合、--add-host=host.docker.internal:host-gateway オプションが抜けている可能性が高いです。また、Ollama コンテナが起動しているか docker ps で、APIが応答するか curl localhost:11434/api/version で確認してください。本記事ではこのバージョン確認で {"version":"0.30.8"} が返ることを実測しています。

まとめ

Ubuntu 24.04 LTS を使った生成AI開発環境の構築手順を、すべて実測データで確認しました。

  • Ubuntu 24.04 の python3 候補は 3.12.3、22.04 は 3.10.6 系。AI開発には新しい 24.04 が有利
  • Ubuntu 24.04 は PEP 668 で system pip install を拒否するので、python3 -m venv で仮想環境を作るのが正解
  • venv で ollama 0.6.2・langchain-core 1.4.7・chromadb 1.5.9 を入れると依存込みで90パッケージ導入される
  • Ollama 0.30.8 で llama3.2:1b はGPUなしでも175.8トークン/秒。ただし小型モデルは事実誤認に注意
  • Open WebUI v0.9.6 を Docker で立ち上げると、ホストのOllamaモデルを自動検出してChatGPT風UIで使える

CPUのみでもここまで動きますが、参考までに sysbench CPU を ubuntu:24.04 コンテナで3回計測したところ、平均 15,519.6 events/sec(最小 15,470.3〜最大 15,545.8)でした。本格的に大型モデルを動かすなら、GPU付きVPSが現実的な選択肢になります。

sysbench CPU実測ベンチ結果(Ubuntu 24.04・3回計測)
sysbench CPU実測ベンチ結果(Ubuntu 24.04・3回計測)

VPS で GPU インスタンスを借りてAIを本番運用したい方は、GPU付きVPS比較ガイドもあわせてご覧ください。

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