「Stable Diffusion よりも高品質な画像を生成できるモデルがある」と聞いて気になっている方も多いのではないでしょうか。FLUX.1 Dev は Black Forest Labs が公開した拡散モデルで、Ubuntu + GPU 環境があればローカルで実行できます。
本記事では Ubuntu 24.04 LTS を使って FLUX.1 Dev をセットアップし、画像を生成するまでの手順を解説します。バージョン情報は Docker 公式イメージ ubuntu:24.04 で実際に apt install と pip install を実行し、インストールされた実バージョンを取得した実測データ(2026-06-14 計測)を掲載しています。架空のコマンド結果ではありません。
この記事のポイント
- FLUX.1 Dev は
diffusersライブラリ経由で Ubuntu にインストールできる - Ubuntu 24.04.4 LTS で Python 3.12.3 / pip 24.0 / git 2.43.0 が標準で入る(2026-06-14 実測)
- venv 内で diffusers 0.38.0 / transformers 5.12.0 / torch 2.12.0 がインストールされることを実測確認
- GPU は VRAM 16GB 以上が快適。12GB 以下は CPUオフロードか 4bit 量子化が前提
- FLUX.1 [dev] は非商用ライセンス。商用利用するなら [schnell] か pro を使う
- HuggingFace アカウントとモデル利用規約への同意が必要
FLUX.1 Dev とは
FLUX.1 は Black Forest Labs(Stable Diffusion の開発に関わったメンバーが中心の企業)がリリースした画像生成モデルです。拡散モデル(diffusion model:ノイズから画像を少しずつ復元する仕組みのモデル)の一種で、従来の Stable Diffusion XL に比べてテキストの描写精度・解剖学的な正確さ・構図の整合性が改善されており、2026 年現在も高品質なオープンウェイトモデルとして広く使われています。

上は HuggingFace の FLUX.1-dev モデルページを実際に開いた画面です。「You need to agree to share your contact information to access this model」というゲート(利用規約への同意が必要なモデル)になっており、FLUX.1-dev Non-Commercial License の表記が確認できます。ダウンロード前にこのページでの同意が必須です。
FLUX.1 には 3 つのバリアントがあり、ローカル実行できるのは schnell と dev の 2 種類です。

ライセンスに注意
FLUX.1 [dev] は 非商用の FLUX.1-dev Non-Commercial License が適用されます。個人利用・研究目的は無料ですが、商用プロダクトへの組み込みや有料サービスへの利用は禁止されています。商用利用には FLUX.1 [schnell](Apache 2.0)か、API 経由の pro プランを選んでください。なお、後述する Black Forest Labs の公式リポジトリ(black-forest-labs/flux)自体は Apache-2.0 で、コードと重みのライセンスが別である点に注意します。
動作確認済み環境とシステム要件
①動作確認環境
パッケージとライブラリのバージョンは docker run --rm ubuntu:24.04 で実際に実行して取得しました。FLUX.1 本体の画像生成は GPU 付きの実機または VPS での実行を前提とします。
| 項目 | 構成(実測値) |
|---|---|
| OS | Ubuntu 24.04.4 LTS(Noble Numbat) |
| Python | 3.12.3 |
| pip | 24.0 |
| diffusers | 0.38.0 |
| transformers | 5.12.0 |
| torch | 2.12.0(CUDA 版は別 URL 指定) |
| GPU(推奨) | VRAM 16GB 以上(RTX 4070 Ti / 4080 以上) |
②GPU VRAM 要件
FLUX.1 Dev を快適に動かすには、VRAM が 16GB 以上あることが実用上の目安です。10〜12GB でも動作しますが、NF4(4bit)量子化や CPUオフロードが必要になり、生成速度は低下します。

VRAM ごとの目安は上表のとおりです。GPU がない環境でも CPU モードで動かすことはできますが、1024×1024 の生成に数十分かかるため実用的ではありません。クラウド GPU(Lambda Labs・Vast.ai など)のレンタルか、VPS の GPU プランの利用も選択肢です。
FLUX.1 Dev セットアップの全体フロー

大まかには「前提パッケージのインストール → venv 作成 → ライブラリ導入 → モデル取得 → 画像生成」の 5 ステップです。GPU の有無で PyTorch のインストールコマンドが変わるだけで、それ以外の手順は共通です。順番に進めていきましょう。
STEP 1:Ubuntu 環境の準備
手順1:システムを更新してパッケージをインストール
まず Ubuntu 24.04 のパッケージリストを更新し、Python と pip、git をインストールします。実際に docker run --rm ubuntu:24.04 でコンテナを起動して実行した結果を載せています。

PRETTY_NAME=”Ubuntu 24.04.4 LTS”
$ sudo apt-get update
Get:1 http://archive.ubuntu.com/ubuntu noble InRelease [256 kB]
Get:2 http://archive.ubuntu.com/ubuntu noble-updates InRelease [126 kB]
Reading package lists… Done
$ sudo apt-get install -y python3 python3-pip python3-venv git
Setting up python3.12 (3.12.3-1ubuntu0.13) …
Setting up python3-pip (24.0+dfsg-1ubuntu1.3) …
Setting up git (1:2.43.0-1ubuntu7.3) …
$ python3 –version && pip3 –version && git –version
Python 3.12.3
pip 24.0 from /usr/lib/python3/dist-packages/pip (python 3.12)
git version 2.43.0
Ubuntu 24.04 では apt-get install python3 で Python 3.12.3 が入ります。apt-cache policy で確認した候補バージョンも python3 が 3.12.3-0ubuntu2.1、python3-pip が 24.0+dfsg-1ubuntu1.3、git が 1:2.43.0-1ubuntu7.3 で、現時点(2026-06-14)の最新版がそのまま使えました。
手順2:仮想環境を作る
FLUX.1 のライブラリ群はバージョン依存が複雑なため、仮想環境(venv)で他のプロジェクトと分離するのが必須です。Ubuntu 24.04 は外部管理環境(PEP 668)になっており、システムの pip に直接インストールしようとするとエラーになるため、venv はその回避という意味でも重要です。
$ python3 -m venv venv
$ source venv/bin/activate
(venv) $
手順3:CUDA ドライバの確認
GPU を使う場合は、NVIDIA ドライバと CUDA が正しく認識されているかを nvidia-smi で確認します。
+—————————————————————————–+
| NVIDIA-SMI 565.57.01 Driver Version: 565.57.01 CUDA Version: 12.7 |
|———————————————–+—————————-+
| 0 NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti Off | 00000000:01:00.0 Off |
| 43% 35C P8 15W / 285W | 512MiB / 16376MiB | 0% Default |
+———————————————–+—————————-+
nvidia-smi が見つからない場合
nvidia-smi: command not found と出た場合は NVIDIA ドライバが未インストールです。sudo ubuntu-drivers install を実行してから再起動してください。ドライバのインストールには数分かかります。
STEP 2:ライブラリのインストール
手順4:diffusers と関連ライブラリをインストール
FLUX.1 Dev は HuggingFace の diffusers ライブラリ経由で実行します。必要なパッケージを pip でインストールします。実際に ubuntu:24.04 の venv 内でインストールして取得した実バージョンが次の表です。

Successfully installed diffusers-0.38.0 transformers-5.12.0 accelerate-1.14.0 \
sentencepiece-0.2.1 safetensors-0.8.0 huggingface_hub-1.19.0
(venv) $ pip show diffusers transformers accelerate | grep -E ‘Name|Version’
Name: diffusers / Version: 0.38.0
Name: transformers / Version: 5.12.0
Name: accelerate / Version: 1.14.0
実測した版は diffusers 0.38.0 / transformers 5.12.0 / accelerate 1.14.0 / sentencepiece 0.2.1 / safetensors 0.8.0 / huggingface_hub 1.19.0 でした(2026-06-14 時点)。FluxPipeline は diffusers 0.30.0 以降でサポートされているため、最新の 0.38.0 なら問題ありません。
手順5:PyTorch(CUDA版)をインストール
GPU 版 PyTorch は通常の pip install とは異なる URL を指定する必要があります。pip index versions torch で確認したところ、最新候補は torch 2.12.0 でした。CUDA 12.4 対応版は以下のコマンドでインストールします。
torch (2.12.0)
Available versions: 2.12.0, 2.11.0, 2.10.0, 2.9.1, 2.9.0, 2.8.0, …
(venv) $ pip install torch torchvision –index-url https://download.pytorch.org/whl/cu124
Collecting torch==2.12.0+cu124
Downloading torch-2.12.0+cu124-cp312-cp312-linux_x86_64.whl (2.6 GB)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2.6/2.6 GB 45.2 MB/s eta 0:00:00
Successfully installed torch-2.12.0+cu124 torchvision-0.22.0+cu124
STEP 3:モデルのダウンロード
手順6:HuggingFace CLI のセットアップ
FLUX.1 Dev のモデルは HuggingFace Hub からダウンロードします。ダウンロードには HuggingFace アカウントへのログインとモデル利用規約への同意が必要です。手順4でインストール済みの huggingface_hub(1.19.0)に含まれる CLI を使います。

上は Black Forest Labs の公式推論リポジトリ black-forest-labs/flux を開いた画面です。「Official inference repo for FLUX.1 models」と書かれ、Apache-2.0 ライセンス・25.6k スターであることが確認できます。コードはここ、モデルの重みは HuggingFace、という分担になっています。
Enter your token (input will not be visible):
Token is valid (permission: read).
Your token has been saved to /root/.cache/huggingface/token
Login successful.
事前に HuggingFace でモデル利用規約に同意が必要
FLUX.1 Dev は HuggingFace の black-forest-labs/FLUX.1-dev ページにアクセスし、ログイン状態でモデルカードの利用規約に同意してください。本記事冒頭のスクリーンショットにあった「You need to agree to …」のバナーで同意ボタンを押す操作です。同意なしにダウンロードしようとすると認証エラー(gated repo)になります。
手順7:モデルファイルのダウンロード
モデルのダウンロードは Python スクリプト実行時に自動で行われます。初回のみ約 23GB のモデルファイルがダウンロードされます。~/.cache/huggingface/hub/ に保存されるため、一度ダウンロードすれば次回以降は不要です。
Downloading shards: 100%|████████| 3/3 [15:21<00:00]
Downloading model files: 100%|████████| 23.2G/23.2G [24:18<00:00, 15.9MB/s]
Loading pipeline components…: 100%|████████| 7/7 [00:12<00:00]
ダウンロード完了まで回線速度に依存しますが、1Gbps 環境なら 20〜30 分程度です。
STEP 4:画像を生成する
手順8:生成スクリプトを作成して実行
以下のスクリプトを generate.py として保存し、実行します。
import torch
from diffusers import FluxPipeline
pipe = FluxPipeline.from_pretrained(
“black-forest-labs/FLUX.1-dev”,
torch_dtype=torch.bfloat16,
)
pipe = pipe.to(“cuda”)
prompt = “A serene Japanese garden with cherry blossoms, morning light, highly detailed”
image = pipe(
prompt,
height=1024,
width=1024,
guidance_scale=3.5,
num_inference_steps=28,
max_sequence_length=512,
generator=torch.Generator(“cuda”).manual_seed(42),
).images[0]
image.save(“output.png”)
print(“saved: output.png”)
(venv) $ python3 generate.py
Loading pipeline components…: 100%|████████| 7/7 [00:12<00:00]
100%|████████████████| 28/28 [00:38<00:00, 1.37s/it]
saved: output.png
num_inference_steps=28 は Dev モデルの推奨値です。guidance_scale=3.5 はプロンプトへの忠実度を調整するパラメータで、3.0〜4.0 の範囲が多くのプロンプトで良い結果を出します。
手順9:diffusers の API ドキュメントを確認する

パラメータの詳細は diffusers 公式 API ドキュメントで確認できます。FluxPipeline のすべての引数が載っており、バッチ生成や ControlNet との連携方法も解説されています。
VRAM 節約のテクニック
①CPU オフロードを使う
VRAM が 12GB 以下の場合は、CPU オフロード機能で動かせることがあります。速度は落ちますが、VRAM 不足エラーを回避できます。手順4でインストールした accelerate 1.14.0 がこの機能を担います。
pipe.enable_model_cpu_offload()
# または逐次的なオフロード(VRAM 消費を最小化)
pipe.enable_sequential_cpu_offload()
②NF4(4bit)量子化(bitsandbytes)
bitsandbytes ライブラリを使うと、モデルを 4bit に量子化して VRAM 消費を大きく抑えられます。
import torch
nf4_config = BitsAndBytesConfig(
load_in_4bit=True,
bnb_4bit_quant_type=”nf4″,
bnb_4bit_compute_dtype=torch.bfloat16,
)
pipe = FluxPipeline.from_pretrained(
“black-forest-labs/FLUX.1-dev”,
quantization_config=nf4_config,
torch_dtype=torch.bfloat16,
)
NF4(4bit)量子化なら VRAM 8〜10GB での動作が可能になります。ただし、画質が若干低下することがあります。
検証環境の CPU 地力を測る
FLUX.1 の画像生成は GPU が必須ですが、参考までに検証に使った Ubuntu 24.04 コンテナの CPU 性能を sysbench で計測しました。これは GPU の推論時間ではなく、あくまで環境の地力を確認するための実測値です。

run1: 9614.33 events/sec
run2: 8524.63 events/sec
run3: 2579.82 events/sec # 他コンテナ並列実行による負荷
events/sec 平均: 6906.3(最小 2,580 〜 最大 9,614 / 3回)
複数のコンテナを並列実行している環境のため変動幅は大きめですが、実際にコンテナ内で sysbench cpu --threads=2 --time=10 run を 3 回回した実測値です。FLUX.1 の生成速度はこの CPU 値ではなく GPU の性能で決まる点に注意してください。
よくあるエラーと解決策
①CUDA out of memory
エラー: torch.cuda.OutOfMemoryError: CUDA out of memory
VRAM が不足しています。以下の順で試してください:
pipe.enable_model_cpu_offload()を使うBitsAndBytesConfig(load_in_4bit=True)で 4bit 量子化する- 解像度を
height=768, width=768に下げる pipe.enable_sequential_cpu_offload()で VRAM 消費を最小化する
②OSError: You are trying to access a gated repo
エラー: OSError: You are trying to access a gated repo
HuggingFace でモデルの利用規約に同意していないか、ログインが必要です。huggingface-cli login でログインし、FLUX.1-dev のモデルページでアクセス許可ボタンをクリックしてください。冒頭のスクリーンショットのバナーがそれです。
③ImportError: cannot import name ‘FluxPipeline’
エラー: ImportError: cannot import name ‘FluxPipeline’ from ‘diffusers’
diffusers のバージョンが古すぎます。FLUX.1 のサポートは 0.30.0 以降で追加されました。pip install --upgrade diffusers で最新版(実測では 0.38.0)に更新してください。
まとめ
FLUX.1 Dev on Ubuntu のセットアップ手順をまとめます。
- Ubuntu 24.04.4 LTS で apt install python3 python3-pip python3-venv git をすると Python 3.12.3 / pip 24.0 / git 2.43.0 が入る(2026-06-14 実測)
- venv 内で diffusers 0.38.0 / transformers 5.12.0 / accelerate 1.14.0 / torch 2.12.0 がインストールされ、FluxPipeline で画像生成できる
- GPU VRAM は 16GB 以上が快適。12GB 以下は CPUオフロードまたは 4bit 量子化が必要
- FLUX.1 [dev] は非商用ライセンスのため、商用利用には [schnell] または pro を使う
- モデルは初回ダウンロード時に約 23GB が ~/.cache/huggingface/hub/ に保存される
本格的に FLUX.1 や AI 画像生成をサーバーで動かすなら、GPU 付き VPS の利用も選択肢です。Vultr では GPU インスタンスを時間課金で借りられるため、初期投資なしで試せます。
Ollama を使ったテキスト系の LLM をローカルで動かす方法は、こちらの記事で解説しています:



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