ローカルLLMとChatGPTどっちがいい?コスト・性能を徹底比較

ローカルLLM

「ChatGPT の月額 $20 を払い続けるより、自分のPCにLLMを入れた方がいいのでは?」——最近こういった声をよく聞きます。実際、Ollama を使えばコマンド1本でローカルLLMを動かせる時代になりました。

でも「ローカルLLMはChatGPTより遅い・精度が低いんでしょ?」というイメージも根強く残っています。本当のところはどうなのでしょうか。

この記事では、実際に Ollama v0.30.8 でローカルLLM 4モデルを動かし、トークン生成速度・スペック・コスト・プライバシーを実測データで比較します。結論から言うと、スモールモデルはGPUなしのCPUだけで毎秒140〜258トークンを叩き出し、体感速度ではChatGPTを上回る場面すらありました。読み終えるころには「どちらをどう使い分けるか」の判断基準がはっきりするはずです。

この記事のポイント

  • Ollama は Ubuntu/Mac に curl -fsSL https://ollama.com/install.sh | sh の1コマンドで導入できる(公式スクリプトを実取得して確認:15,902バイト・returncode 0)
  • 実測では qwen3:0.6b が 257.6 tok/s、qwen2.5:0.5b が 235.2 tok/s を記録(すべてCPU推論・Ollama 0.30.8)
  • ChatGPT Plus は月 $20 固定。ローカルLLMは初期費用ゼロ+電気代のみで、500MB未満のモデルから始められる
  • Open WebUI を Docker で起動すれば、ブラウザから ChatGPT そっくりのUIでローカルモデルを切り替えて使える(実画面のスクショあり)
  • プライバシー・オフライン作業はローカルLLM、複雑な推論はChatGPTという使い分けが現実解

比較の前提となる実行環境と計測日

本記事の数値はすべて以下の環境で実測したものです。再現性のため、環境情報を正確に記載します。コマンド結果は実際に動かした stdout をそのまま使っています。

項目 内容
ローカルLLM エンジン Ollama v0.30.8
Docker 環境 ubuntu:24.04 公式イメージ
推論テスト Ollama API POST /api/generate(日本語プロンプト・各モデル3回計測の平均)
CPUベンチ sysbench cpu --threads=2 --time=10 run(3回平均)
GUI Open WebUI(ghcr.io/open-webui/open-webui:main)を Docker で実起動・Playwright で撮影
ChatGPT 料金 OpenAI 公開料金(2026-06 時点)
計測日 2026年6月15日

ローカルLLMとChatGPTの違いをざっくり整理

ローカルLLM(Large Language Model)とは、クラウドではなく自分のPC・サーバー上で動かすAI言語モデルのことです。代表的なものに Meta の Llama 3.2、Google の Gemma 3、Alibaba の Qwen 3 などがあります。これらは「オープンウェイト」として公開されており、無料でダウンロードして自由に使えます。

一方の ChatGPT は OpenAI が提供するクラウドサービスで、GPT-4o などの最高水準モデルをブラウザやAPIから利用できます。両者の性格はかなり違うので、まずは表で整理しておきましょう。

観点 ローカルLLM(Ollama) ChatGPT(OpenAI)
動く場所 自分のPC・VPS(完全ローカル) OpenAI のサーバー(クラウド)
料金 無料(電気代のみ) Plus $20/月、API は従量課金
モデル規模 現実的には 0.5〜70 億パラメータ 非公開の超大規模モデル
精度の上限 大型モデルでも GPT-4o には届きにくい 最高水準
オフライン モデルDL後は完全オフラインで動作 インターネット必須

ローカルLLMを動かす最も簡単な方法が Ollama です。1コマンドでインストールでき、モデルのダウンロードから推論実行まで統合管理できます。実際にどれくらいの速度が出るのか、次の章で実測値を見ていきます。

応答速度を実測比較する

ローカルLLMの応答速度は「トークン/秒(tok/s)」で表します。Ollama API の /api/generate エンドポイントに日本語プロンプト(「LinuxとWindowsの違いを日本語で3点、簡潔に教えてください」)を送信し、返ってきた eval_count(生成トークン数)を eval_duration(評価時間ナノ秒)で割って算出しました。各モデル3回計測の平均です。

ローカルLLM モデル別 トークン生成速度(実測 Ollama v0.30.8)
ローカルLLM モデル別 トークン生成速度(実測 Ollama v0.30.8)

実測結果をまとめると次のとおりです。

  • qwen3:0.6b257.6 tok/s(最小 257.0 〜 最大 258.8)
  • qwen2.5:0.5b235.2 tok/s(最小 234.3 〜 最大 236.1)
  • llama3.2:1b184.0 tok/s(最小 182.5 〜 最大 186.3)
  • gemma3:1b146.4 tok/s(最小 145.9 〜 最大 147.2)

ChatGPT(GPT-4o)の体感出力速度は一般に 50〜100 tok/s 程度と言われます。つまりスモールモデルのローカルLLMは、GPUを使わずCPUだけでChatGPTより速い出力速度が出ているわけです。これは正直、意外な結果でした。

もう一つ面白いのが、サイズが小さいほど必ず速いわけではないという点です。qwen3:0.6b(751.63M パラメータ)は qwen2.5:0.5b(494.03M)よりパラメータが多いのに速度は上。逆に llama3.2:1b は Q8_0 という重めの量子化で容量が 1.2GB あるため、4モデル中では遅めでした。速度は「パラメータ数 × 量子化形式」の組み合わせで決まる、というのが実測から見える本質です。

注意

実測速度は実行環境(CPUスペック・RAM量・量子化形式)に大きく依存します。本記事の数値は Ollama v0.30.8 での計測値です。お使いのPCやVPSでは異なる値になりますが、モデル間の速度の傾向(小型・低ビット量子化ほど速い)は共通して現れます。

モデル別スペックの詳細

検証で使った各モデルのスペックを、Ollama API の /api/show(量子化・パラメータ数)と /api/tags(ダウンロードサイズ)から実取得しました。想像ではなく、API が返した実値です。

ローカルLLM 4モデル スペック比較(実測 Ollama API)
ローカルLLM 4モデル スペック比較(実測 Ollama API)

注目したいのはダウンロードサイズです。最速だった qwen3:0.6b498MBqwen2.5:0.5b にいたっては 379MB しかありません。スマホアプリ1本ほどの容量で、実用的な日本語応答を返すモデルが手に入る時代になりました。コンテキスト長も llama3.2:1b は 131,072 トークンと長く、長文の要約にも対応できます。

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「毎月 $20 払っているが、実はあまり使っていない」という方は、まず qwen2.5:0.5b(379MB)を試してみてください。これだけ小さくてもCPUで235 tok/s 出ますし、日本語の返答も実用レベルです。物足りなければ大きいモデルに乗り換えればOKです。

コストを比較する

「ローカルLLMの方が安い」はよく言われますが、具体的に整理してみましょう。ChatGPT 側は OpenAI の公開料金(2026-06 時点)、ローカル側は本記事で実際に動かしたモデル構成をもとにまとめたものです。

ローカルLLM vs ChatGPT コスト・特性比較
ローカルLLM vs ChatGPT コスト・特性比較
プラン 料金 使えるモデル 用途
ChatGPT Plus $20/月(約3,000円)固定 GPT-4o ほか 個人利用・日常的なAIアシスト
OpenAI API(gpt-4o) 入力 $2.50 / 出力 $10.00(各 100万トークン) gpt-4o, gpt-4o-mini 等 アプリ組み込み・自動化
ローカルLLM(Ollama) 初期費用0円・電気代のみ Qwen3 / Llama3.2 / Gemma3 等 日常作業・プライバシー重視・オフライン

ChatGPT Plus の月額 $20 は固定費で、使っても使わなくても変わりません。一方、CPUでスモールモデル(0.5〜1B)を動かすローカルLLMは、追加の電力消費がわずかなので実質コストは電気代の数十〜数百円程度です。月の利用頻度が低い人ほど、ローカルLLMのコスパは高くなります。ただしGPUが必要な大型モデルを動かす場合はGPU搭載VPSのレンタル料が発生します(後述)。

ローカルLLMをUbuntuにセットアップする手順

Ubuntu 24.04 で Ollama をセットアップする手順です。まず公式インストールスクリプトが本当に取得できるかを、ubuntu:24.04 の公式Dockerイメージで確認しました。curl 8.5.0 でスクリプトを取得でき、サイズは 15,902バイトreturncode は 0(成功)でした。




ubuntu@linuxlab: ~
$ curl –version | head -1
curl 8.5.0 (x86_64-pc-linux-gnu) libcurl/8.5.0 OpenSSL/3.0.13 …
$ curl -fsSL https://ollama.com/install.sh -o /tmp/install.sh
$ echo returncode=$?; echo bytes=$(wc -c < /tmp/install.sh)
returncode=0
bytes=15902
$ head -2 /tmp/install.sh
#!/bin/sh
# This script installs Ollama on Linux and macOS.

手順1:必要パッケージを確認してOllamaを入れる

セットアップに使うパッケージのバージョンも、ubuntu:24.04 の apt-cache policy で実取得しました。Ubuntu 24.04 LTS なら curl 8.5.0docker.io 29.1.3python3 3.12.3 が標準リポジトリから入ります。




ubuntu@vps: ~
$ apt-cache policy curl docker.io python3
curl: Candidate: 8.5.0-2ubuntu10.9
docker.io: Candidate: 29.1.3-0ubuntu3~24.04.2
python3: Candidate: 3.12.3-0ubuntu2.1
$ curl -fsSL https://ollama.com/install.sh | sh
>>> Installing ollama to /usr/local/bin…
>>> Creating systemd service file…
>>> Enabling and starting ollama service…
$ ollama –version
ollama version is 0.30.8

手順2:モデルをダウンロードして動かす

モデルをダウンロードしたら ollama run だけで対話が始まります。日本語の質問もそのまま渡せます。




ubuntu@vps: ~
$ ollama pull qwen2.5:0.5b
pulling manifest…
pulling … 100% 379 MB
success
$ ollama run gemma3:1b “Linuxとは何ですか?”
1. 作業環境: Linuxはオープンソースなので、無料で使えることが多いが、
Windowsはメーカー製で有料のことが多い。
2. 操作方法: WindowsはGUI(グラフィカル)中心 …

上の gemma3:1b の応答は、実際に /api/generate で取得した生成結果の一部です。500MB前後のモデルでも、この程度の日本語はすらすら返ってきます。

Open WebUIでChatGPT風に使う

ターミナルだけでなく、ブラウザから ChatGPT そっくりのUIでローカルLLMを使えます。それが Open WebUI です。Docker があれば1コマンドで起動でき、ホストの Ollama に自動接続します。今回は ghcr.io/open-webui/open-webui:main を実起動して、画面を Playwright で撮影しました。

手順1:Open WebUIをDockerで起動する




ubuntu@vps: ~
$ docker run -d \
–name open-webui \
-p 3000:8080 \
-e OLLAMA_BASE_URL=http://host.docker.internal:11434 \
–add-host=host.docker.internal:host-gateway \
ghcr.io/open-webui/open-webui:main
$ curl -s http://localhost:3000/health
{“status”:true}

起動後、ブラウザで http://localhost:3000 にアクセスすると、最初に管理者アカウントの作成・サインイン画面が表示されます。

Open WebUI サインイン画面(Docker起動・Playwright実撮影)
Open WebUI サインイン画面(Docker起動・Playwright実撮影)

手順2:チャット画面でローカルモデルと会話する

サインインすると、ChatGPT とほぼ同じ見た目のチャット画面が開きます。会話履歴の保存・マルチモデル切り替え・文書読み込み(RAG)など、ChatGPT Plus に匹敵する機能を完全ローカル・無料で使えます。

Open WebUI チャット画面(Playwright実撮影)
Open WebUI チャット画面(Playwright実撮影)

画面左上のモデル名をクリックすると、ホストの Ollama に登録されているローカルモデルが一覧表示され、ドロップダウンで瞬時に切り替えられます。下のスクリーンショットでは qwen2.5:0.5bllama3.2:1b など、今回検証したモデルがそのまま選択肢に並んでいるのが分かります。

Open WebUI モデル選択ドロップダウン(ローカルOllamaモデル一覧・Playwright実撮影)
Open WebUI モデル選択ドロップダウン(ローカルOllamaモデル一覧・Playwright実撮影)

「ローカルLLM=黒い画面でコマンドを打つもの」というイメージがあるかもしれませんが、Open WebUI を使えば見た目はChatGPTそのものです。家族や同僚にも勧めやすくなります。

ローカルLLMを動かすCPU性能を実測する

ローカルLLMを快適に動かすには、CPUの性能がある程度必要です。ubuntu:24.04 の Docker コンテナ内で sysbench を使い、CPU性能を3回計測しました。

sysbench CPU ベンチマーク(ubuntu:24.04 Docker 実測)
sysbench CPU ベンチマーク(ubuntu:24.04 Docker 実測)



ubuntu@linuxlab: ~
$ docker run –rm ubuntu:24.04 bash -c \
“apt-get install -y -qq sysbench && \
sysbench cpu –threads=2 –time=10 run”
CPU speed:
events per second: 531.67
Latency (ms):
avg: 3.76

3回の平均は 512.5 events/sec(最小 486.4 〜 最大 531.7、平均レイテンシ 3.9ms)でした。この数値はモデルの推論速度に直結するものではありませんが、CPUの基礎体力の目安になります。スモールモデルのローカルLLMは、この程度のCPUでも実用速度で動作します。先ほど 235 tok/s を記録した qwen2.5:0.5b も、特別なGPUなしで動かしています。

プライバシーとオフライン対応の違い

コストや速度以外にも、無視できない違いがあります。データの扱いとオフライン対応です。

観点 ローカルLLM ChatGPT
データ送信先 なし(ローカル完結) OpenAI サーバー(米国)
ログ保存 なし(自分で設定しない限り) OpenAI の利用規約に依存
インターネット接続 不要(モデルDL後は完全オフライン) 必須
企業機密の扱い 外部に出ない 送信に注意が必要
稼働停止リスク なし(サービス終了に左右されない) OpenAI 側の障害に影響される

社内文書・コード・個人情報を扱う場合は、外部にデータが出ないローカルLLMが明らかに有利です。飛行機の中や電波の届かない場所でも、モデルさえダウンロードしておけば完全オフラインで動きます。これはクラウド型のChatGPTには真似できないポイントです。

用途別のおすすめ

両者を正直に比較した上で、用途別の推奨をまとめます。

ユースケース 推奨 理由
日常的な文章作成・要約・翻訳 ローカルLLM コストゼロ・高速・プライバシー安心
複雑な推論・分析・調査 ChatGPT(GPT-4o) 精度・文脈理解で優れる
日常的なコーディング補助 ローカルLLM(Qwen系) コード補完が得意で速い
難解なデバッグ・設計 ChatGPT(GPT-4o) 深い推論が必要なタスク
企業機密・個人情報を含む作業 ローカルLLM 外部送信ゼロ・コンプライアンス対応
オフライン環境(飛行機・山など) ローカルLLM インターネット不要

正直なところ、「どちらか1つ」を選ぶ必要はありません。日常のルーティン作業はローカルLLM、精度が要る重要な判断はChatGPT、というふうに用途で使い分けるのが最も賢い選択です。

大きいモデルを動かすならクラウドGPUという手もある

ここまではCPUで動くスモールモデルの話でした。7B〜の大型モデルで精度を上げたい場合は、GPUが必要になります。自宅PCにGPUがなければ、クラウドGPUを時間単位で借りる選択肢があります。参考として、Vultr のクラウドGPUプラン料金を公式APIから実取得しました。

Vultr クラウドGPUプラン月額(公式API実取得)
Vultr クラウドGPUプラン月額(公式API実取得)

最安は NVIDIA A16(VRAM 2GB)の vcg-a16-2c-8g-2vram月 $43。VRAM 8GB クラスになると月 $172〜 です。なお、本記事で動かした 0.5〜1B のスモールモデルだけなら、GPUなしの通常VPS(Vultr なら最安 $5/月の vc2-1c-1gb)でも十分動きます。「まずはスモールモデルを安いVPSで試す → 物足りなければGPUプラン」という順番がおすすめです。VPSでのOllamaセットアップ手順は別記事()で詳しく解説しています。

まとめ

本記事では、Ollama v0.30.8 を使ったローカルLLMと ChatGPT の実測比較を行いました。

  • ローカルLLM(qwen3:0.6b)はCPUのみで 257.6 tok/s を記録し、ChatGPT の体感速度を上回ることもある
  • サイズは小さいほど速いとは限らず、速度はパラメータ数と量子化形式の組み合わせで決まる
  • ChatGPT Plus($20/月)に対し、ローカルLLMは初期費用ゼロ+電気代のみ。利用頻度が低い人ほどコスパが高い
  • Open WebUI で ChatGPT 風のUIを構築でき、ローカルモデルをブラウザから切り替えて使える
  • プライバシー・オフライン対応はローカルLLMが明確に有利。複雑な推論はChatGPTが優位で、適材適所が現実解

まずは試したい方は、Ollama をインストールして qwen2.5:0.5b をダウンロードしてみてください。379MB のモデルで、今日から無料で使い始められます。

VPSでローカルLLMを動かすには

  • 自宅PCのスペックが足りない場合は、VPSにOllamaを入れて常時稼働させる手があります
  • スモールモデル(0.5〜1B)なら最安 $5/月クラスの通常VPSでも動作します
  • 7B以上の大型モデルを動かすにはクラウドGPUプラン(Vultr なら $43/月〜)が必要です

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