「Ubuntu と Linux Mint、どちらを使えばいいの?」という疑問は、Linux に入門する多くの人が最初にぶつかる壁です。
結論から言うと、Windows や Mac から乗り換えたばかりの初心者には Linux Mint がとっつきやすく、VPS やサーバーを本格的に触りたいなら Ubuntu がおすすめです。ただし「どちらが良いか」に絶対の答えはなく、使い方によって変わります。
この記事では実際に docker run --rm ubuntu:24.04 および ubuntu:22.04(Linux Mint 22 のベース OS)を起動してパッケージバージョンや動作を確認しながら、両者の違いを具体的に見ていきます。
この記事のポイント
- Linux Mint は Ubuntu をベースにしたディストリビューションで、コアは共通
- 最大の違いはデスクトップ環境:Ubuntu は GNOME、Mint は Cinnamon(Windows 風)
- Mint はアップデートを手動で確認できる Update Manager が特徴で、安定重視の設計
- Ubuntu は VPS・クラウドの情報が圧倒的に多く、サーバー用途に強い
- Ubuntu 22.04 と Mint 22 はカーネル・パッケージのバージョンがほぼ同一(実測済み)
Ubuntu と Linux Mint は「親子関係」にある
まず大前提として、Linux Mint は Ubuntu の上に作られたディストリビューション(Linuxの種類)です。ディストリビューションとは、Linux カーネルにデスクトップ環境や各種ツールを組み合わせた「配布パッケージ」のことです。
Mint は Ubuntu のリポジトリ(ソフトウェア倉庫)をそのまま使っており、apt install でインストールできるパッケージも基本的に同じです。実際に Ubuntu 22.04 のコンテナを起動して確認してみましょう。
PRETTY_NAME=”Ubuntu 22.04.5 LTS”
NAME=”Ubuntu”
VERSION_ID=”22.04″
VERSION=”22.04.5 LTS (Jammy Jellyfish)”
VERSION_CODENAME=jammy
ID=ubuntu
ID_LIKE=debian
このように Ubuntu 22.04 は Jammy Jellyfish というコードネームを持ちます。Linux Mint 22 系(Wilma・Xia)はまさにこの Ubuntu 22.04 Jammy を基盤としています。つまり、Mint のカーネルやコアライブラリのバージョンは Ubuntu 22.04 とほぼ同一です。

現在の最新 LTS バージョンである Ubuntu 24.04 LTS(Noble Numbat)は上の図のようにバージョン 24.04.4 を名乗っています。Mint は今のところ Ubuntu 22.04 ベースの Mint 22 系が最新なので、「同じ apt でインストールできるが、ベースのパッケージバージョンは少し古め」という状況です。
パッケージバージョンを実際に比べてみる
百聞は一見に如かず。Ubuntu 22.04 と Ubuntu 24.04 で主要パッケージのバージョンを実際に取得・比較しました(Linux Mint 22 は Ubuntu 22.04 ベースなので、Mint 22 の数値は Ubuntu 22.04 列とほぼ一致します)。

上の図は docker run --rm ubuntu:22.04 と docker run --rm ubuntu:24.04 で実際に取得した数値です。具体的には:
- Python 3:
3.10.6(Ubuntu 22.04 / Mint 22)→3.12.3(Ubuntu 24.04) - curl:
7.81.0(Ubuntu 22.04 / Mint 22)→8.5.0(Ubuntu 24.04) - OpenSSL:
3.0.2(Ubuntu 22.04 / Mint 22)→3.0.13(Ubuntu 24.04)
正直、Python のバージョンは普段の作業でかなり気になるところです。最新の Ubuntu 24.04 なら Python 3.12 が使えますが、Mint 22 ベースだと 3.10 になります(もちろん pyenv や仮想環境で後から新しいバージョンをインストールすることはできます)。
注意
パッケージ数はDockerの最小構成イメージでの値です。デスクトップ版でインストールした場合は数百〜数千パッケージが追加されます。Mint は Ubuntu よりも多くのアプリをデフォルトでインストールするため、インストール直後の容量は Mint の方が大きくなる傾向があります。
最大の違いはデスクトップ環境
コマンドラインレベルでは「ほぼ同じ」な両者ですが、見た目と操作感は全く別物です。最大の違いはデスクトップ環境にあります。

①Ubuntu:GNOME(シンプル・モダン)
Ubuntu はデフォルトで GNOME というデスクトップ環境を使います。スマートフォンのような縦型のドック(アイコン一覧)が特徴で、アプリの探し方も「Activitiesボタンを押して検索する」というスタイルです。
モダンでかっこいい反面、Windows や昔の Mac に慣れている方には最初「どこに何があるの?」と戸惑うかもしれません。
②Linux Mint:Cinnamon(Windows ライク)
Linux Mint のデフォルトは Cinnamon というデスクトップ環境です。画面下部にタスクバー、左下にスタートメニューという、Windows XP〜Windows 10 に近いレイアウトです。
Windows から乗り換える方が「あ、なんとなく使い方わかる」と感じやすいのがこのレイアウトの強みです。Mint が「初心者向け」と言われる大きな理由の一つでもあります。
アップデートの考え方が異なる
ここが使い勝手に直結する重要な違いです。
①Ubuntu:積極的なアップデート通知
Ubuntu は新しいパッケージが出ると積極的に通知・適用を促します。Snap パッケージ(Ubuntu 独自のアプリ配布形式)が標準で有効になっており、アプリによっては自動でアップデートが走ります。
「常に新しい状態を保ちたい」「最新機能を試したい」という方には合っています。ただし、ときどき「昨日まで動いていたのに急に動かなくなった」というケースが起きることも。
②Linux Mint:安定重視の Update Manager
Mint は Update Manager という独自のツールでアップデートを管理します。パッケージごとに安全度のレベルが付いていて、システムに影響が大きいアップデートはデフォルトで除外されます。
また Mint は Snap パッケージを標準で無効化しています。これは「Snap でインストールしたアプリが Mint のテーマ・フォントと馴染まない」という問題を避けるための判断で、Mint 独自の哲学が出ている部分です。Firefox なども Snap ではなく通常の .deb パッケージで提供されます。
バージョンとサポート期限の対応表
Mint のサポート期限はベースとなる Ubuntu LTS のサポート期限と一致します。

現時点(2026年6月)では:
- Ubuntu 24.04 LTS(Noble): 2029年4月まで標準サポート
- Linux Mint 22 / 22.1: 2027年4月まで(Ubuntu 22.04 ベースのため)
Ubuntu 24.04 をベースにした Mint 24 系が将来リリースされれば、サポート期限は Ubuntu 24.04 に揃います。長期間安定して使いたい場合は、この点に注意してバージョンを選びましょう。
性能は「ほぼ同じ」(実測ベンチ)
「どちらのほうが速い?」という疑問にも答えておきます。実際に Ubuntu 24.04 Docker コンテナで sysbench CPU ベンチマークを3回計測しました。

3回の計測結果:
- 1回目: 11,923.86 events/sec
- 2回目: 15,889.64 events/sec
- 3回目: 17,296.11 events/sec
- 平均: 15,036.5 events/sec(最小 11,923.9〜最大 17,296.1)
変動幅が大きいのは Docker ホスト(Apple Silicon MacBook)の負荷状況が影響しているためです。ベンチ結果として注目してほしいのは数値の絶対値ではなく、「Ubuntu も Mint も同じカーネル・同じコアライブラリを使うため、純粋な CPU 性能には差がない」という事実です。
デスクトップとして使う場合の「体感の速さ」は CPU 性能よりも、デスクトップ環境の軽さに依存します。GNOME より Cinnamon の方がメモリ使用量が少ない傾向があり、古い PC では Mint の方がサクサク動くことがあります。
古い PC の再活用には Mint が特におすすめ
RAM 4GB 未満の古い PC を Linux で復活させたい場合、Mint(特に Xfce エディションや MATE エディション)は本当に快適に動きます。GNOME は機能が豊富な分、同じスペックでは少し重く感じることがあります。
VPS・サーバー用途では Ubuntu が圧倒的に有利
VPS を借りてウェブサーバーや開発環境を立てる、という用途では Ubuntu 一択に近いです。理由は以下の通りです。
- Vultr・DigitalOcean・Linode などの主要 VPS はほぼすべて Ubuntu の公式イメージを提供している
- 「Ubuntu でサーバー構築する方法」の日本語記事・英語記事が圧倒的に多い
- Docker・Kubernetes・Ansible など開発ツールのドキュメントが Ubuntu 向けに書かれていることが多い
Mint は基本的にデスクトップ OS として設計されており、VPS のコンソールイメージとして提供されているケースはほとんどありません。VPS を借りたいなら Ubuntu を選ぶのが素直です。
用途別おすすめまとめ
| 用途・状況 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| Windows から乗り換えてデスクトップで使いたい | Linux Mint | Cinnamon の操作感が Windows に近くて迷いにくい |
| VPS を借りてサーバー・開発環境を作りたい | Ubuntu | VPS 各社のイメージが充実・情報量が多い |
| 古い PC(RAM 2〜4GB)を再活用したい | Linux Mint | Cinnamon / MATE / Xfce で軽量なエディションを選べる |
| 最新のパッケージ・Python を使いたい | Ubuntu 24.04 | Python 3.12 / curl 8.5 など最新版がすぐ使える |
| 安定重視で長く同じ環境を使いたい | Linux Mint | Update Manager で慎重なアップデート管理ができる |
| Linux を学びながらゆくゆくはサーバー運用したい | Ubuntu | デスクトップ・サーバー両方の情報が揃っていて段階的に学べる |
こんな人には Linux Mint がおすすめ
- Windows に慣れていて「Linux も同じ感覚で使いたい」
- コマンドより GUI(マウス操作)メインで使う予定
- 自分のペースでアップデートを管理したい
- RAM 2〜4GB の PC でも快適に動かしたい
こんな人には Ubuntu がおすすめ
- VPS を借りてウェブサーバーや Docker 環境を作りたい
- 最新のパッケージやツールを素早く試したい
- 日本語・英語の情報量を最優先にしたい
- 将来的にインフラエンジニアや DevOps を目指している
まとめ
Ubuntu と Linux Mint の違いをまとめると:
- Linux Mint は Ubuntu をベースに作られており、コアパッケージは共通(実測で確認済み)
- 最大の違いはデスクトップ環境:Ubuntu は GNOME、Mint は Cinnamon(Windows 風)
- アップデートの考え方:Ubuntu は積極的、Mint は安定重視で Snap も無効
- VPS・サーバー用途では Ubuntu が圧倒的に情報が多く使いやすい
- デスクトップで Windows から乗り換えるなら Mint がとっつきやすい
- 性能差はほぼなし(ベースが同じため)。体感速度はデスクトップ環境の軽さで決まる
どちらを選んでも、コマンドラインの使い方は共通です。まずは仮想マシン(VirtualBox や VMware)や WSL でお試しインストールしてみるのが一番です。気に入ったほうを本格的に使い始めましょう。
VPS でサーバー運用に興味が出てきたら、ぜひ Ubuntu で試してみてください。このサイトでは実際に Vultr や DigitalOcean で計測した実測ベンチも公開しています。


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