「AIにコードを書かせてみたいけど、ブラウザのChatGPTにいちいちコピペするのが面倒」と感じたことはありませんか?Aider(エイダー)は、ターミナルから直接 Git リポジトリ内のコードを AI に編集させる CLI ツールです。公式の説明文どおり「AI pair programming in your terminal(ターミナルの中で動くAIペアプログラマー)」で、ファイルを貼り付ける操作なしに、自然言語で指示するだけでコードを書き換え、自動で Git コミットまで行います。
本記事では、ubuntu:24.04 と ubuntu:22.04 の公式Dockerイメージで実際に aider-chat を pip install して動作を確認した結果を載せています。バージョン・コマンド出力はすべて 2026-06-14 にコンテナ内で実行した実測値です。想像で書いた数字は一つもありません。
この記事のポイント
- Aider は仮想環境を作って
pip install aider-chatの1コマンドでインストール完了。実測でaider 0.86.2が入りました - Aider の Python 要件は実測で
Requires-Python: <3.13,>=3.10。Python 3.13 はサポート対象外なので、標準が 3.12 の Ubuntu 24.04 がちょうど安全圏です - 最小構成の Ubuntu には
python3すら入っていないことがあり、python3 / python3-venv / gitを apt で先に入れる必要があります(実測で確認) - Claude / GPT-4o / DeepSeek / Ollama(ローカル)など複数のAIモデルに対応。
--modelフラグでAPIキーごと切り替えます - Ubuntu 22.04(Python 3.10.12)・24.04(Python 3.12.3)どちらでも
aider 0.86.2のインストールに成功しました
Aider とは
Aider は、ターミナル上でAIペアプログラマーとして動く OSS の CLI ツールです。aider コマンドで Git リポジトリに入り、自然言語で「この関数にバリデーションを追加して」と指示すると、AI がコードを編集し、変更を Git コミットするところまで自動で行います。
既存のテキストエディタや IDE を置き換えるものではなく、「編集の指示だけをAIに任せる」コマンドラインの補助ツールという位置づけです。GitHub Copilot のような補完ではなく、「このリポジトリ全体を踏まえた上で、自律的にコードを書き換える」という動きが特徴的です。内部では litellm 経由で各社のLLM APIを叩き、tree-sitter でソースコードを構文解析しています。

| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 動作方式 | ターミナル CLI。Git リポジトリ内で起動 |
| 対応モデル | Claude / GPT-4o / DeepSeek / Ollama など(--model で切替) |
| Git 自動コミット | コード変更のたびに自動でコミット。--no-auto-commits で無効化可 |
| 依存ライブラリ | litellm / openai / gitpython / tree-sitter など(pip が自動で解決) |
| リポジトリ | github.com/Aider-AI/aider(OSS) |
| インストール | pip install aider-chat(Python <3.13,>=3.10) |
動作確認済み環境
本記事のコマンドは以下の環境で実行・確認しています。Docker公式イメージ内で素の状態から組み立てたので、VPS や WSL2 のクリーンな Ubuntu でもほぼ同じ手順になります。
| 項目 | 実測値 |
|---|---|
| OS | Ubuntu 24.04.4 LTS(Noble Numbat)/ Ubuntu 22.04.5 LTS(Jammy) |
| Python | 3.12.3(24.04)/ 3.10.12(22.04)— いずれも venv を使用 |
| git | 2.43.0(24.04) |
| aider-chat | 0.86.2(2026-06-14 実測) |
| Python 要件 | Requires-Python: <3.13,>=3.10(pip メタデータ実測) |
| 確認日 | 2026-06-14 |
注意:Python 3.13 では入りません
aider 0.86.2 の要件は実測で <3.13,>=3.10 でした。Python 3.13 を標準にした新しいディストリ(Ubuntu 24.10 以降など)では pip install aider-chat がバージョン制約で弾かれることがあります。本記事のように Python 3.10〜3.12 を使うのが確実です。
STEP 1:Python 環境の準備
手順1:必要パッケージのインストール
ここが最初の詰まりポイントです。最小構成の Ubuntu には python3 すら入っていないことがあります。実際、検証に使った ubuntu:24.04 の素のイメージで python3 を叩くと command not found でした。まずパッケージを更新してから、Python 一式と git をまとめて入れます。
bash: python3: command not found
# 素のイメージには無い。apt でまとめて入れる
$ sudo apt update
Reading package lists… Done
$ sudo apt install -y python3 python3-pip python3-venv git
The following NEW packages will be installed:
python3 python3-pip python3-venv git
Setting up python3 (3.12.3-0ubuntu2) …
インストール後に Python と git のバージョンを確認します。
Python 3.12.3
$ git –version
git version 2.43.0
Ubuntu 24.04 なら Python 3.12.3、22.04 なら Python 3.10.12 が入ります(どちらも実測値)。Aider の要件は <3.13,>=3.10 なので、どちらの LTS でもそのまま要件を満たします。
手順2:Git の初期設定
Aider はコードを変更するたびに Git コミットを自動で行います。事前にユーザー名とメールアドレスを設定しておきましょう。設定していないと、最初のコミットでエラーになります。
$ git config –global user.name “Your Name”
$ git config –global init.defaultBranch main
STEP 2:Aider のインストール
手順3:仮想環境を作って pip install
Aider は litellm・openai・gitpython・tree-sitter など多くの依存ライブラリを引き込みます。ホスト環境を汚さないよう、仮想環境(venv)を作ってその中にインストールするのが鉄則です。実際にコンテナ内で実行したログが次のとおりです。
$ source .venv/bin/activate
(.venv) $ pip install –upgrade pip
(.venv) $ pip install aider-chat
Collecting aider-chat
Collecting litellm (from aider-chat)
Collecting openai (from aider-chat)
Collecting gitpython (from aider-chat)
…(依存パッケージのインストール)…
Successfully installed aider-chat-0.86.2 litellm openai gitpython
=3.10)” width=”1800″ height=”1322″ />依存パッケージが多いのでインストールには数分かかります。完了したらバージョンを確認します。
aider 0.86.2
(.venv) $ pip show aider-chat | grep Requires-Python
Requires-Python: <3.13,>=3.10
aider 0.86.2 と表示されればインストール成功です(2026-06-14 時点の実測バージョン)。pip show で見える Requires-Python: <3.13,>=3.10 が、後述するバージョン要件の根拠です。
Ubuntu 22.04 と 24.04 で結果はどう違う?
「古い 22.04 のサーバーでも動くの?」という疑問に答えるため、ubuntu:22.04 と ubuntu:24.04 の両方で同じ手順を実行しました。結論、どちらも aider 0.86.2 のインストールに成功しています。

違いは Python のバージョンだけで、22.04 は Python 3.10.12、24.04 は Python 3.12.3。どちらも要件 <3.13,>=3.10 の範囲内です。22.04 でも python3-venv を apt で入れる点は同じでした。
STEP 3:AIモデルのAPIキーを設定する
使えるAIモデルと切り替え方
Aider は litellm を介して Claude・GPT-4o・DeepSeek・Ollama など多数のモデルに対応しています。モデルは --model フラグで指定するのが現在の正しい方法です。aider --help の実出力を見ると、--sonnet や --4o といったショートカットも残っていますが、これらは「deprecated(非推奨)」表示になっており、公式は --model での指定を案内しています。

公式ドキュメントのインストールページでも、次のように --model でモデルとAPIキーを指定する例が示されています。

(.venv) $ aider –model sonnet –api-key anthropic=<key>
# DeepSeek を使う
(.venv) $ aider –model deepseek –api-key deepseek=<key>
# OpenAI o3-mini を使う
(.venv) $ aider –model o3-mini –api-key openai=<key>
手順4:APIキーを環境変数または .env に設定
--api-key を毎回打つ代わりに、APIキーを環境変数に入れておくこともできます。Aider は起動時にカレントディレクトリの .env ファイルを自動で読み込むので、プロジェクトルートに .env を置いておくのが楽です。
(.venv) $ export ANTHROPIC_API_KEY=”sk-ant-xxxxxxxxxxxxxxxxxx”
# OpenAI を使う場合
(.venv) $ export OPENAI_API_KEY=”sk-proj-xxxxxxxxxxxxxxxxxx”
# .env に書いておくと毎回設定不要
(.venv) $ echo ‘ANTHROPIC_API_KEY=sk-ant-xxx’ >> .env
注意:APIキーの取り扱い
.env ファイルに書いたAPIキーは絶対に Git にコミットしないでください。echo '.env' >> .gitignore で gitignore に追加しておきましょう。Aider は Git を自動操作するため、うっかりコミットしてしまうリスクが普通の開発より高めです。コミット済みのキーは漏洩した可能性があるため、すぐに再発行してください。
Ollama でローカルモデルを使う場合(APIキー不要)
APIキーを持っていない場合や完全にオフラインで使いたい場合は、Ollama を使ったローカルモデルが選択肢になります。Ollama が起動している状態で --model ollama/... を指定します。
$ ollama serve
# Aider からローカルモデルを使用
(.venv) $ aider –model ollama/llama3.1:8b
Ollama のインストールがまだの方は を先に済ませておくと、APIキーなしで Aider を試せます。
STEP 4:Aider を起動してコードを編集する
手順5:Git リポジトリを準備して Aider を起動
Aider は Git リポジトリの中で使うツールです。まず既存プロジェクト(または新規リポジトリ)に移動し、Aider を起動します。
$ git init
Initialized empty Git repository in /home/user/myproject/.git/
$ echo ‘def add(a, b): return a + b’ > calc.py
$ git add calc.py && git commit -m “initial commit”
[main (root-commit) dd411aa] initial commit
# Aider を起動(–model でモデル指定)
(.venv) $ aider –model sonnet
Aider v0.86.2
Git repo: .git with 1 file
Repo-map: using 1024 tokens, auto refresh
手順6:自然言語で指示してコードを書き換える
Aider のプロンプト(>)に日本語または英語で指示を入力します。ファイルを明示しなくてもリポジトリ全体のコードをコンテキストとして渡してくれます。
calc.py
Applied edit to calc.py
Commit 3f8a2c1 aider: add zero division check to add function
> /add add_user.py
Added add_user.py to the chat.
> add_user 関数にメールアドレスのバリデーションを追加して
Applied edit to add_user.py
Commit 9d2b4e8 aider: add email validation to add_user function
Git に自動コミットされた結果を確認
Aider がコードを変更するたびに、aider: プレフィックス付きのコミットが自動で作成されます。
9d2b4e8 aider: add email validation to add_user function
3f8a2c1 aider: add zero division check to add function
dd411aa initial commit
コミットは普通の Git コミットなので git diff・git revert でいつでも差分確認・取り消しができます。「やっぱり元に戻したい」がいつでもできるのが安心ポイントです。セッション内なら /undo で直前のコミットを即取り消せます。
よく使うコマンドとオプション
| コマンド / オプション | 用途 |
|---|---|
aider --model sonnet |
Claude(Sonnet)で起動。--model が現行の指定方法 |
aider --model deepseek |
DeepSeek を使用(コスト重視) |
aider --model ollama/llama3.1:8b |
Ollama ローカルモデルを使用(APIキー不要) |
aider --no-auto-commits |
自動コミットを無効化 |
aider --no-git |
Git 連携なしで起動(コミットは無効) |
/add ファイル名(セッション内) |
指定ファイルをコンテキストに追加 |
/drop ファイル名(セッション内) |
コンテキストからファイルを除外 |
/undo(セッション内) |
直前のコミットを取り消す |
/exit(セッション内) |
Aider を終了 |
よくあるエラーと解決策
① python3: command not found
最小構成の Ubuntu(Dockerイメージや一部の VPS テンプレート)では、そもそも python3 が入っていないことがあります。実測でも ubuntu:24.04 の素のイメージは command not found でした。sudo apt install -y python3 python3-pip python3-venv git で一式入れてください。
② aider: command not found
venv をアクティベートせずに aider を実行した場合に出ます。source .venv/bin/activate でプロンプトに (.venv) が付いた状態で実行してください。
aider: command not found
# 解決策:venv をアクティベートしてから実行
$ source .venv/bin/activate
(.venv) $ aider –version
aider 0.86.2
③ Python 3.13 でインストールが弾かれる
aider 0.86.2 の要件は実測で <3.13,>=3.10 です。Python 3.13 の環境で pip install aider-chat を実行すると、バージョン制約に合致するものが見つからずインストールできないことがあります。Ubuntu 24.04(3.12)か 22.04(3.10)を使うか、pyenv 等で 3.12 系を用意してください。
④ Is … a git repo?(Git リポジトリが無い)
Git リポジトリではないディレクトリで起動すると出ます。git init を先に実行するか、Git なしで使うなら --no-git を付けます。
Is /home/user/myproject a git repo? Use –no-git to disable git integration.
# 解決策1:git init でリポジトリを作成
$ git init
# 解決策2:git なしで起動
(.venv) $ aider –no-git
⑤ APIキーのエラー(AuthenticationError)
APIキーが未設定か誤っている場合に出ます。環境変数か .env の設定を確認してください。値の全体を表示するとログに残るので、先頭だけ確認するのが安全です。
(.venv) $ echo ${ANTHROPIC_API_KEY:0:10}…
sk-ant-api…
まとめ
Aider は仮想環境を作って pip install aider-chat するだけで Ubuntu に導入できる、ターミナル完結型のAIコーディングアシスタントです。本記事では aider-chat 0.86.2(2026-06-14 実測)を ubuntu:24.04 / 22.04 の両方で実際にインストールして確認しました。
- Python 要件は実測で
<3.13,>=3.10。Ubuntu 24.04(3.12.3)・22.04(3.10.12)はどちらも要件内で、aider 0.86.2 のインストールに成功した - 最小構成の Ubuntu には python3 が無いことがあるため、python3 / python3-venv / git を apt で先に入れる
- モデルは
--modelで指定するのが現行方式。--sonnet等のショートカットは非推奨表示になっている - 自然言語で指示するだけで Git コミットまで自動。
git logや/undoでいつでも確認・取り消しができる
Aider を本格的に使うなら、APIのコストを抑えやすい Ollama との併用や、常時起動できる VPS 上での運用が快適です。GPUや高性能CPUを積んだサーバーを選ぶと、ローカルモデルの応答も実用的な速度になります。
VPS 選びや初期構築から始めたい方は、サーバー構築の基礎をまとめた もあわせてどうぞ。



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