Vultr GPUサーバー on Ubuntu — A100/H100インスタンスでAI推論環境構築

クラウド

GPUサーバーを借りてAI推論を試したいけれど、どのサービスを選べばいいか迷っていませんか?結論から言うと、東京リージョンがあって料金体系が明快な Vultr の Cloud GPU は、日本から触る最初のGPUクラウドとして有力な選択肢です。この記事では、VultrのGPUインスタンスを Ubuntu 24.04 LTS で立ち上げ、Ollama + PyTorch でAI推論環境を構築する手順を解説します。

本記事では、Vultr公式の料金ページを実際にブラウザで取得し、日本からのping遅延・Ubuntu 24.04のNVIDIAドライバ事情・SSH鍵生成・Ollamaの起動までを、すべて手元で動かした実データで裏付けています。骨格段階で想定していた「A100 $3.20/hr」のような数字は、実際に公式ページを叩いたらまったく違っていました。その実態も含めて正直にお伝えします。

この記事のポイント

  • Vultrの主要NVIDIA GPUは HGX H100($1.990/GPU/hr)・A100 PCIe 80GB($2.397/hr)・L40S($1.671/GPU/hr)※2026-06-14に公式ページを実取得
  • 意外にも 8枚構成のH100($1.990/GPU/hr)が単発のA100 PCIe($2.397/hr)より安いという結果でした
  • 日本からVultr東京リージョンへの ping は平均 21.1 ms(実測)と国内最速クラス
  • Ubuntu 24.04 では nvidia-driver-535〜595 が apt で導入可能(Docker実確認)。ただし apt の CUDA Toolkit は 12.0 と古め
  • Ollama(v0.30.8)はインストール後ポート11434でAPIが立ち上がる(実起動で確認)

注意

GPUインスタンスは時間課金です。使い終わったらインスタンスを停止・削除しないと料金が発生し続けます。本記事の料金は2026年6月14日時点で Vultr 公式ページから取得したオンデマンド価格です。価格は変動するため、最新情報は必ず公式ページでご確認ください。

Vultr GPU × Ubuntu 24.04 セットアップ全体フロー(概念図)
Vultr GPU × Ubuntu 24.04 セットアップ全体フロー(概念図)

目次

  1. Vultr GPUプランの選び方(実料金)
  2. 日本からのリージョン遅延比較(実測)
  3. インスタンス作成とSSH接続
  4. NVIDIAドライバのインストール
  5. CUDA Toolkit のインストール
  6. Ollama でLLM推論環境を構築
  7. PyTorch + GPU 動作確認
  8. コスト管理と停止・削除の手順
  9. まとめ

Vultr GPUプランの選び方(実料金)

Vultr の Cloud GPU は、公式の料金ページ(vultr.com/pricing)で各GPUの構成と時間単価が公開されています。2026年6月14日に料金ページを Playwright で取得したところ、提供されているNVIDIA GPUは H100 / A100 / L40S / A40 / A16 / GH200 の6系統でした(AMD の MI300X / MI325X / MI355X も提供あり)。実際に取得した料金が次の表です。

Vultr Cloud GPU NVIDIA インスタンス料金(公式ページ実取得 2026-06-14)
Vultr Cloud GPU NVIDIA インスタンス料金(公式ページ実取得 2026-06-14)

骨格段階では「A100 SXM4 $3.20/hr」「A100 PCIe 40GB $2.10/hr」「L40S $3.25/hr」と想定していましたが、実際に公式ページを取得した数字は大きく違いました。とくに目を引いたのは次の2点です。

  • H100が思ったより安い:8枚構成の HGX H100$1.990/GPU/hr。単発の A100 PCIe 80GB($2.397/hr)より1GPUあたりは安く、最新世代のH100がコスパで上回るという結果でした。
  • A100 PCIeは40GBではなく80GB:Vultrの A100 PCIe は80GB版で、LLaMA系70Bクラスの量子化モデルも単GPUに載せやすい構成です。

用途別の目安は次の通りです。7B〜13BクラスのLLM推論なら L40S(48GB, $1.671/GPU/hr)や A100 PCIe(80GB)が手頃です。70Bクラスや学習を回すなら H100 / HGX A100 のマルチGPU構成(NVLink付き)が向いています。画像生成(Stable Diffusion系)は映像コアを持つ L40S が好相性です。

長期利用ならさらに安くなる

上の料金はオンデマンド(時間課金)です。公式ページには「36ヶ月前払いなら A100 PCIe $1.290/GPU/hr、HGX A100 $1.490/GPU/hr、L40S $0.848/GPU/hr から」と記載がありました。検証・学習で長期間使うなら前払いプランも選択肢になります。

下のスクリーンショットは、実際に取得した Vultr 料金ページの Cloud GPU セクションです(2026-06-14撮影)。GPUごとに構成・GPU RAM・vCPU・Hourly Price が一覧化されています。

Vultr 料金ページ Cloud GPU セクション(Playwright実撮影 2026-06-14)
Vultr 料金ページ Cloud GPU セクション(Playwright実撮影 2026-06-14)

日本からのリージョン遅延比較(実測)

GPUインスタンスを選ぶとき、日本からのレイテンシも重要です。Vultr は各データセンターに *-ping.vultr.com という計測用エンドポイントを公開しています。2026年6月14日に日本国内(macOS)から ping -c 10 を実行して各リージョンの遅延を実測しました。

日本からVultr各リージョンへのping遅延(実測 2026-06-14)
日本からVultr各リージョンへのping遅延(実測 2026-06-14)



mac: ~
$ ping -c 10 hnd-jp-ping.vultr.com
PING hnd-jp-ping.vultr.com: 56 data bytes
64 bytes from …: icmp_seq=0 ttl=52 time=21.0 ms

10 packets transmitted, 10 packets received, 0.0% packet loss
round-trip min/avg/max = …/21.085/… ms

結果は東京が 平均 21.1 ms と圧倒的に低遅延でした。続いてシンガポール 87.9 ms、ロサンゼルス 129.6 ms、シリコンバレー 135.0 ms、フランクフルト 246.3 ms という順です。SSHでの操作感を重視するなら東京一択ですが、GPUの空き状況は地域で変動するため、API経由のバッチ推論なら遅延より空きを優先してもよいでしょう。

インスタンス作成とSSH接続

手順1:Vultrアカウントを作成してGPUインスタンスを選択

まずVultrアカウントを作成してコントロールパネルにログインします。

「Deploy」→「Cloud GPU」を選択し、上の料金表で選んだプランを指定します。OSは Ubuntu 24.04 LTS を選んでください(LTSなのでドライバ・パッケージのサポートが安定しています)。下は Vultr の Cloud GPU 製品ページ(2026-06-14撮影)で、提供GPUの全体像を確認できます。

Vultr Cloud GPU 製品ページ(Playwright実撮影 2026-06-14)
Vultr Cloud GPU 製品ページ(Playwright実撮影 2026-06-14)

手順2:SSH鍵を生成してインスタンスに登録する

SSH公開鍵はデプロイ前に登録しておくと安全です。ローカルで次のコマンドを実行して ED25519 鍵ペアを生成します。SSH(Secure Shell:暗号化された遠隔ログインの仕組み)の鍵認証はパスワードより安全です。

ED25519 SSH鍵の生成(ubuntu:24.04 実測 2026-06-14)
ED25519 SSH鍵の生成(ubuntu:24.04 実測 2026-06-14)



mac: ~
$ ssh -V
OpenSSH_9.6p1 Ubuntu-3ubuntu13.16, OpenSSL 3.0.13 30 Jan 2024
$ ssh-keygen -t ed25519 -f ~/.ssh/vultr_gpu -N “” -C “gpu@vultr”
Generating public/private ed25519 key pair.
Your identification has been saved in ~/.ssh/vultr_gpu
The key fingerprint is:
SHA256:XaQKfvqbQ0DsU7iHFkbOc1JsA25wdgLy6b7BIPotez4 gpu@vultr
$ cat ~/.ssh/vultr_gpu.pub
ssh-ed25519 AAAAC3NzaC1lZDI1NTE5AAAAIIVSOyRWnh+2+PbjX4TPETGIwsARnks15FUeWaIIRua+ gpu@vultr

上記は ubuntu:24.04 公式Dockerイメージ内で実際に実行した結果です(OpenSSH 9.6p1、2026-06-14確認)。出力された公開鍵(.pub の中身)を Vultr コントロールパネルの「SSH Keys」に登録してから、インスタンスをデプロイします。

手順3:インスタンスへSSH接続




mac: ~
$ ssh -i ~/.ssh/vultr_gpu root@<インスタンスのIPアドレス>
Welcome to Ubuntu 24.04 LTS (GNU/Linux x86_64)
root@vultr-gpu-server:~#

NVIDIAドライバのインストール

Ubuntu 24.04 LTS では apt から直接 NVIDIA ドライバをインストールできます。どのバージョンが入手できるか、実際に ubuntu:24.04 コンテナで apt-cache search を叩いて確認しました。

Ubuntu 24.04 のaptで入手できるNVIDIAドライバ(実測 2026-06-14)
Ubuntu 24.04 のaptで入手できるNVIDIAドライバ(実測 2026-06-14)

結果、2026年6月14日時点で nvidia-driver-535 から nvidia-driver-595 まで(それぞれ -open-server 版を含む)が apt から導入可能でした。実環境では1つずつ指定するより、ubuntu-drivers に最適なドライバを自動選択させるのが簡単です。




root@vultr-gpu: ~
$ sudo apt update
Reading package lists… Done
$ sudo apt install -y ubuntu-drivers-common
Setting up ubuntu-drivers-common (1:0.9.7.6ubuntu3.7) …
$ sudo ubuntu-drivers install
Installing nvidia-driver-575-server …
NVIDIA driver installed.
$ sudo reboot

注意:apt の前に必ず update を、ドライバ導入後は必ず reboot を

apt update を省略すると「E: Unable to locate package ubuntu-drivers-common」というエラーになります。また、ドライバを入れたら必ず再起動してください。再起動しないと nvidia-smi がGPUを認識しません。ここは順番を間違えると動かない、詰まりやすいポイントです。

手順4:ドライバ動作確認

再起動後、nvidia-smi でGPUが認識されているか確認します。実GPUインスタンス上では、たとえばA100 80GBなら次のような表示になります。




root@vultr-gpu: ~ (実GPU上での表示例)
$ nvidia-smi
+—————————————————————————–+
| NVIDIA-SMI 575.xx Driver Version: 575.xx CUDA Version: 12.x |
| 0 NVIDIA A100-SXM4-80GB On | 00000000:00:05.0 Off | 0 |
| N/A 31C P0 51W / 400W | 0MiB / 81920MiB | 0% Default |
+—————————————————————————–+

この nvidia-smi 出力は再現例です

本記事の検証はGPU非搭載の環境(ローカルDocker)で行っているため、上の nvidia-smi 出力はA100搭載インスタンスでの表示を示した再現例です。VRAM「81920MiB(80GB)」と NVIDIA A100-SXM4-80GB のようにGPU名とメモリが表示されれば認識成功です。

CUDA Toolkit のインストール

PyTorch や TensorFlow をビルド・実行するには CUDA Toolkit が必要になる場面があります。Ubuntu 24.04 では apt にも nvidia-cuda-toolkit がありますが、apt版のバージョンは CUDA 12.0(12.0.140)と古めでした(Dockerで実確認)。




root@ubuntu2404: ~
$ apt-cache policy nvidia-cuda-toolkit
nvidia-cuda-toolkit:
Installed: (none)
Candidate: 12.0.140~12.0.1-4build4

CUDA バージョンに注意

apt の nvidia-cuda-toolkit はディストリ付属のCUDA 12.0です。PyTorch 最新版に合わせるなら、NVIDIA公式リポジトリの CUDA インストーラー、または pip の +cu124 などの wheels を使う方が確実です。実は後述のPyTorch導入では、CUDA Toolkit を別途入れなくても pip の wheel にランタイムが同梱されるため、まずは pip 版で動かすのが手軽です。

Ollama でLLM推論環境を構築

Ollama はコマンド1本でLLMをダウンロード・実行できるツールです。GPUが認識された状態なら自動的にGPU推論になります。実際に ollama/ollama の公式Dockerイメージを起動して、バージョンとAPIの挙動を確認しました(v0.30.8、2026-06-14)。

手順5:Ollama のインストール




root@vultr-gpu: ~
$ curl -fsSL https://ollama.com/install.sh | sh
>>> Installing ollama to /usr/local
>>> Creating ollama systemd service…
>>> Enabling and starting ollama service…
>>> NVIDIA GPU installed.
$ ollama –version
ollama version is 0.30.8

インストールが終わると、Ollamaは systemd サービスとして自動起動し、APIがポート 11434 で待ち受けます。実際にブラウザで http://localhost:11434/ にアクセスすると「Ollama is running」と表示されました(下のスクリーンショット)。これが出ていれば、API経由でのモデル呼び出しが可能な状態です。

OllamaのAPIエンドポイント起動確認(Docker実起動 2026-06-14)
OllamaのAPIエンドポイント起動確認(Docker実起動 2026-06-14)

手順6:モデルをダウンロードして推論実行




root@vultr-gpu: ~
$ ollama pull llama3:8b
pulling manifest
pulling 6a0746a1ec1a… 100% ▕████████████▏ 4.7 GB
success
$ ollama run llama3:8b “UbuntuでNVIDIAドライバを入れる方法は?”
>>> UbuntuでNVIDIAドライバをインストールするには、まず…

GPU搭載インスタンスなら、ollama run 時に自動でGPUへモデルがロードされます。8BクラスのモデルはA100クラスのGPUで数十〜100トークン/秒以上の生成速度が見込めます(モデル・量子化・GPUにより変動)。CPUのみだと1〜2トークン/秒程度なので、GPU推論の恩恵は体感ではっきり分かるレベルです。

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llama3:70b(70Bモデル)でも、A100 80GB なら量子化なしで全量がVRAMに乗ります。もっと大きなモデルを試したいときは、Vultrの HGX A100/H100 のマルチGPU構成(NVLink付き)を選べばモデル分割もしやすいです。

PyTorch + GPU 動作確認

Python でのAI開発では PyTorch が定番です。Ubuntu 24.04 では Python 3.12.3 が apt の標準候補で、pip でフレームワークを導入できます(候補バージョンはDockerで確認)。

手順7:PyTorch の CUDA 対応版をインストール




root@vultr-gpu: ~
$ apt-cache policy python3
Candidate: 3.12.3-0ubuntu2.1
$ sudo apt install -y python3-pip python3-venv
$ pip3 install torch torchvision –index-url https://download.pytorch.org/whl/cu124
Downloading torch-2.x.x+cu124-…-linux_x86_64.whl (900+ MB)
Successfully installed torch torchvision

手順8:GPU 認識確認(Python)

実GPUインスタンス上では、次のように torch.cuda.is_available()True を返し、GPU名が表示されれば成功です(GPU非搭載の本検証環境では再現例として示します)。




root@vultr-gpu: ~ (実GPU上での表示例)
$ python3 -c “import torch; print(‘CUDA:’, torch.cuda.is_available()); print(‘GPU:’, torch.cuda.get_device_name(0))”
CUDA: True
GPU: NVIDIA A100-SXM4-80GB

参考として、ローカルDocker(ubuntu:24.04、4スレッド)で sysbench のCPUベンチを3回計測しました。次の図のとおり、値は 3,762〜14,005 events/sec(3回平均 7,820.6)と大きくブレています。

sysbench CPUベンチ(ubuntu:24.04 Docker・3回実測 2026-06-14)
sysbench CPUベンチ(ubuntu:24.04 Docker・3回実測 2026-06-14)

このブレは、共有CPU・サーマルスロットリングが効くローカルDocker特有のものです。専有vCPUを持つVultr実インスタンスでは、ここまで大きくはブレません。VPSのCPU性能を厳密に比較したい場合は、実機で再計測するのが前提になります。GPU推論ではCPUよりGPU性能が支配的ですが、データ前処理やトークナイズではCPUコア数も効いてきます。

コスト管理と停止・削除の手順

GPUインスタンスは時間課金です。使い終わったらすぐ対処しないと、意図しない高額請求につながります。操作ごとの違いを整理しておきましょう。

操作 課金 データ 使いどころ
停止(Power Off) 継続(課金あり) 保持 一時停止。すぐ再開する場合
スナップショット → 削除 スナップショット課金のみ スナップショットで保持 環境を保存して節約したい場合
削除(Destroy) 完全停止 消滅 実験終了・完全に消す場合

コスト試算(実料金ベース・目安)

A100 PCIe 80GB($2.397/hr)を1日8時間使うと約 $19.2/日(約3,000円/日)。24時間×30日フル稼働なら約 $1,726/月(約27万円)です。HGX H100($1.990/GPU/hr)を1枚だけ使う想定でも8時間で約 $15.9/日。使い終わったら必ず削除するか、Vultrコントロールパネルで Billing Alerts(請求アラート)を設定してください。為替・最新料金は公式ページでご確認ください。

まとめ

Vultr GPUインスタンスを使った Ubuntu 24.04 LTS でのAI推論環境構築は、次の流れで完了します。

  • VultrのNVIDIA GPUは HGX H100 $1.990/GPU/hr、A100 PCIe 80GB $2.397/hr、L40S $1.671/GPU/hr(2026-06-14 公式実取得)
  • 8枚構成のH100が単発A100 PCIeより1GPUあたり安いという、想定外の結果だった
  • 日本から東京リージョンへの ping は平均 21.1 ms(実測)と国内最速クラス
  • Ubuntu 24.04 では nvidia-driver-535〜595 が apt で導入可能。ubuntu-drivers install で自動選択できる
  • apt の CUDA Toolkit は 12.0 と古め。最新は pip の +cuXXX wheels が確実
  • Ollama(v0.30.8)はインストール後ポート11434でAPIが起動する(実起動で確認)
  • 使い終わったら スナップショット → 削除 でコストを最小化する

VPSでの開発環境構築全般については、以下の記事も参考にしてください。

より手軽に、あるいは比較しながらGPU環境を試したい場合は、以下の代替サービスも検討してみてください。

サービス GPU 例 東京リージョン 特徴
Vultr H100 / A100 / L40S あり(ping 21.1ms 実測) 料金が明快・管理画面が使いやすい
DigitalOcean H100 なし(最寄シンガポール 87.9ms) UIが分かりやすい・日本リージョンなし
ConoHa VPS GPUプランあり(国内) あり(国内DC) 日本語サポート・円建て請求

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