「VPSを借りて Ubuntu サーバーを動かしてみたい。でも Vultr、Hetzner、DigitalOcean のどれを選べばいいか分からない」——そんな疑問に、2026年6月時点の実データで正直に答えます。
結論から言うと、日本在住で初めてVPSを借りるなら、東京リージョンを持つ Vultr か Linode/Akamai の二択です。実際に国内回線から ping を打ったところ、どちらも平均18ms前後とほぼ互角でした。一方「とにかく安く・たくさんのスペックが欲しい」なら Hetzner、という選び方も合理的です。ただし Hetzner は欧州リージョンのみで、国内からの遅延は約310msと大きいので用途を選びます。
本記事では実際に各社の料金ページを取得し、docker run ubuntu:24.04 のコンテナ内で sysbench・dd を実行し、各社のスピードテストホストへ ping を打った一次データを使って比較しています。「なんとなく有名だから」ではなく、数字に基づいた選択ができるように解説します。
この記事のポイント
- Vultr 東京は ping 平均 18.5ms、Linode 東京は 18.0ms(いずれも実測・パケットロス0%)。国内向けはこの2社が低遅延
- Hetzner は €3.99/月で 2vCPU・20TB転送という圧倒的コスパ(公式画面から実取得)。ただし国内からの ping は約311ms
- DigitalOcean は東京リージョンなし(最寄はシンガポール)。今回スピードテストホストの DNS 解決に失敗し、遅延は実測できませんでした
- Ubuntu 24.04.4 LTS(Noble Numbat)は2029年4月まで標準サポートで、今から始めるなら最適
- sysbench CPU ベンチ(ubuntu:24.04 Docker 実測):3回で 15,375〜15,423 events/sec、平均 15,397(ブレ約0.3%と安定)
目次
- 比較の前提(計測環境・プラン・計測日)
- 料金・スペック比較(2026年6月時点)
- リージョン遅延の実測結果
- CPU・ディスクI/O ベンチマーク結果
- Vultr の詳細
- Hetzner の詳細
- DigitalOcean の詳細
- 用途別の選び方
- まとめ
比較の前提
今回の検証で使った環境と計測条件を最初に明示しておきます。数字はすべて実際にツールを動かして取得した一次データです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 料金取得日 | 2026-06-13 |
| ベンチ・ping 計測日 | 2026-06-15 |
| Ubuntu バージョン | Ubuntu 24.04.4 LTS (Noble Numbat)(Docker 公式イメージ) |
| CPU・ディスクベンチ環境 | docker run --rm ubuntu:24.04(Apple Silicon / arm64 ホスト上) |
| ping 計測元 | 国内自宅回線(ISP 経由) |
| 料金情報取得 | Vultr / DigitalOcean は urllib、Hetzner は Playwright で公式ページから取得 |
| SSH クライアント | コンテナ内 OpenSSH_9.6p1 / ホスト OpenSSH_9.9p2 |
注意
CPU/ディスクベンチマークは Docker コンテナ(Apple Silicon の arm64 ホスト上)での測定です。実際のVPS(x86_64 の KVM)での数値はこれより低く出ます。ここでの目的は「Ubuntu 24.04 上での sysbench・dd の使い方」と「同じコマンドで実機を測れる基準」を示すことです。VPS実機ベンチは契約後に同じコマンドで取得できます。
実際に動かした Ubuntu のバージョンと、最初にやるべき SSH 鍵生成の実行結果は次のとおりです。
NAME=”Ubuntu”
VERSION=”24.04.4 LTS (Noble Numbat)”
aarch64
5.10.76-linuxkit
$ ssh -V
OpenSSH_9.6p1 Ubuntu-3ubuntu13.16, OpenSSL 3.0.13 30 Jan 2024
$ ssh-keygen -t ed25519 -f /tmp/id_ed25519 -N ” -C ‘ubuntu@linuxlab’ -q; cat /tmp/id_ed25519.pub
ssh-ed25519 AAAAC3NzaC1lZDI1NTE5AAAAIG0SJ0D6aFPwZlDIKz1maFUyO6lKqF0DW3bMbP08AGG9 ubuntu@linuxlab

料金・スペック比較(2026年6月時点)
まず実際に取得できた料金から見ていきます。2026年6月13日に各社の公式ページにアクセスし、ページ内の価格を取得しました。Vultr のページからは $2.50 / $5 / $6 / $28 / $30 / $40 / $43.80 / $75(いずれも /月) という価格が取得でき、最安は $2.50/月であることを確認しています。DigitalOcean からも $5 / $6 といった最安帯の価格が取れました。
Hetzner は料金がJavaScriptで描画されるため urllib では取得できませんでしたが、Playwright で実ブラウザを起動して価格計算機の画面を撮影したところ、2 vCPU 構成で €3.99/月(€0.0064/時)、転送量は20TB込みという表示を確認できました。Linode は自動アクセスが 403 Forbidden で弾かれたため、料金の自動取得はできていません(遅延は実測できました)。

| VPS | 実取得した最安料金 | 取得方法 | 東京リージョン | 国内ping平均(実測) |
|---|---|---|---|---|
| Vultr | $2.50〜$6/月 | urllib 実取得 | あり ✓ | 18.5 ms |
| Linode / Akamai | 自動取得不可(403) | ping のみ実測 | あり ✓ | 18.0 ms |
| Hetzner Cloud | €3.99/月(2vCPU・20TB転送) | Playwright 実取得 | なし(欧州のみ) | 311.9 ms |
| DigitalOcean | $5〜$6/月 | urllib 実取得 | なし(最寄: SG) | 測定不可(DNS失敗) |
実際に Playwright で撮影した Vultr と Hetzner の料金画面が次の2枚です。Vultr は時間課金(hourly)の単価で構成が並び、Hetzner は価格計算機で €3.99/月が表示されています。


リージョン遅延の実測結果
国内自宅回線から ping -c 10 を各社のスピードテストホストに打って、実際の遅延を測定しました。実出力は次のとおりです。
PING hnd-jp-ping.vultr.com (108.61.201.151): 56 data bytes
10 packets transmitted, 10 packets received, 0.0% packet loss
round-trip min/avg/max/stddev = 7.231/18.542/80.641/22.187 ms
$ ping -c 10 speedtest.tokyo2.linode.com
PING speedtest.tokyo2.linode.com (139.162.65.37): 56 data bytes
10 packets transmitted, 10 packets received, 0.0% packet loss
round-trip min/avg/max/stddev = 7.027/18.033/86.278/24.054 ms
$ ping -c 10 fsn1-speed.hetzner.com
PING fsn1-speed.hetzner.com (78.46.170.2): 56 data bytes
round-trip min/avg/max/stddev = 294.620/311.921/360.263/23.635 ms
$ ping -c 10 sgp-ping.vultr.com
PING sgp-ping.vultr.com (45.32.100.168): 56 data bytes
10 packets transmitted, 9 packets received, 10.0% packet loss
round-trip min/avg/max/stddev = 77.237/116.687/192.532/36.720 ms
$ ping -c 10 speedtest-sgp1.digitalocean.com
ping: cannot resolve speedtest-sgp1.digitalocean.com: Unknown host

結果は予想どおり、東京リージョンを持つ Vultr と Linode がほぼ同等の低遅延でした。今回の計測では Linode 東京が 18.0ms、Vultr 東京が 18.5ms と僅差で、どちらもパケットロス0%です。一方 Hetzner のドイツ拠点(FSN1)は 311.9ms と、国内ユーザー向けのリアルタイム系サービスには向きません。
意外だったのが、Vultr のシンガポール拠点が平均116.7msでパケットロス10%だったことです。「東京がダメなら近場のシンガポール」と安易に考えると、ロスありの不安定な経路を引く可能性があります。DigitalOcean は最寄がシンガポールですが、今回スピードテストホスト(speedtest-sgp1.digitalocean.com)の DNS 解決自体に失敗しました。
| VPS / リージョン | ping 最小 | ping 平均 | ping 最大 | パケットロス | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| Linode / Akamai 東京 | 7.0 ms | 18.0 ms | 86.3 ms | 0.0% | ◎ 優秀 |
| Vultr 東京 | 7.2 ms | 18.5 ms | 80.6 ms | 0.0% | ◎ 優秀 |
| Vultr シンガポール | 77.2 ms | 116.7 ms | 192.5 ms | 10.0% | △ ロスあり |
| Hetzner ドイツ(FSN1) | 294.6 ms | 311.9 ms | 360.3 ms | 0.0% | △ 国内向け不可 |
| DigitalOcean Singapore | speedtest-sgp1.digitalocean.com の DNS 解決に失敗(未測定) | ○ 要実測 | |||
補足
DigitalOcean のスピードテストエンドポイント(speedtest-sgp1.digitalocean.com)は2026年6月15日時点で cannot resolve ... Unknown host となり DNS 解決に失敗しました。シンガポールリージョンから国内への ping は一般に70〜100ms前後が参考値とされますが、本記事ではあくまで「未測定」として扱います。実際に契約してから ping で確認することをお勧めします。
CPU・ディスクI/O ベンチマーク結果
sysbench と dd を使って Docker コンテナ内(ubuntu:24.04)で実際に測定しました。
①CPU ベンチ(sysbench)
sysbench cpu --threads=2 --time=10 run を3回実行して平均を取りました。
“apt-get install -y -qq sysbench && sysbench cpu –threads=2 –time=10 run”
sysbench 1.0.20 (using system LuaJIT 2.1.0-beta3)
Number of threads: 2
CPU speed:
events per second: 15375.81 ← 1回目
events per second: 15392.03 ← 2回目
events per second: 15423.33 ← 3回目

3回の実測結果は 15,375.81 → 15,392.03 → 15,423.33 events/sec、平均 15,397.1 events/secでした。変動幅は約0.3%と非常に安定しています。
ただしこれは Apple Silicon の高速CPUを持つホスト上の Docker コンテナでの測定値であり、実際の VPS インスタンス(x86_64 KVM)とは桁が違います。VPS に借りたら同じコマンドをそのまま打てば比較できます。一般的な $5〜$6/月クラスのKVM VPS では 400〜900 events/sec 程度が多いとされており、本記事の値はあくまで「同じ計測手順の基準」として捉えてください。
②ディスク I/O 測定(dd)
注意
dd は書き込み先を間違えるとディスクを破壊する危険なコマンドです。本記事では必ず --rm 付きの使い捨てコンテナ内の /tmp に限定して実行しています。ホストの実デバイス(/dev/sda 等)には絶対に向けないでください。
512+0 records in
512+0 records out
536870912 bytes (537 MB, 512 MiB) copied, 0.491261 s, 1.1 GB/s
$ dd if=/tmp/testfile of=/dev/null bs=1M
536870912 bytes (537 MB, 512 MiB) copied, 0.344206 s, 1.6 GB/s

書き込み 1.1 GB/s・読み込み 1.6 GB/s という結果でした。これは Apple Silicon の高速NVMeを Docker 経由で叩いた値なので速めに出ています。一般的な Vultr の NVMe SSD プランでは実機で 500〜600 MB/s 以上が報告されており、契約後に同じ dd コマンドで実機の値を取得できます。
Vultr の詳細
Vultr は2014年設立のアメリカのVPSプロバイダーで、東京リージョンを持ち、国内から平均18.5msという低遅延を実測できました。Ubuntu 24.04 LTS を含む多数の OS イメージが用意されており、コントロールパネルの操作も比較的シンプルです。今回の料金取得では最安 $2.50/月のプランから確認できています。
①Vultr のメリット・デメリット
- 東京リージョンあり(ping 平均 18.5ms・パケットロス0% 実測)
- 最安 $2.50/月から(公式ページで実取得)、標準プランは $5〜$6/月帯
- Ubuntu 24.04 LTS を初期OSとして選択可能
- 時間課金(hourly billing)対応で試しやすい
- シンガポール拠点は今回116.7ms・ロス10%と不安定だった(国内向けは必ず東京を選ぶ)
- 日本語サポートなし(英語のみ)
Hetzner の詳細
Hetzner は1997年設立のドイツのプロバイダーです。「同じ料金で他社の3〜4倍のスペック」という評判のとおり、今回 Playwright で価格計算機を撮影したところ、2 vCPU 構成で €3.99/月(€0.0064/時)・転送量20TB込みという表示を実際に確認できました。
ただし Hetzner のリージョンは Nuremberg / Falkenstein / Helsinki / Ashburn(米)で、東京はありません。国内回線からドイツ(FSN1)への ping は平均311.9ms、フィンランド(HEL1)も310.6msでした。遅延が問題にならない用途に限定すれば、コスパは群を抜いています。
①Hetzner のメリット・デメリット
- 圧倒的コスパ(€3.99/月で 2vCPU・20TB転送を公式画面で実確認)
- 転送量が20TB込みで、超過分は EU で1TBあたり€1.00と明朗
- リージョンは欧州・米国のみ — 東京なし(国内から約311ms 実測)
- 国内ユーザー向けのリアルタイムサービスには不向き
- 個人の学習用サーバーや CI/CD、定期バッチなど遅延が問題にならない用途には最適
- 支払いはクレジットカード/PayPal 対応(日本語サポートなし)
DigitalOcean の詳細
DigitalOcean は「開発者ファースト」を掲げるアメリカのVPSで、ドキュメントの品質と管理UIの使いやすさは業界トップクラスです。今回の料金取得では $5〜$6/月の最安帯を確認できました。チュートリアルの充実度が高く、特に英語での情報収集が苦にならない人には有力な選択肢です。
弱点は東京リージョンがないこと。最寄はシンガポールですが、今回はスピードテストホストの DNS 解決に失敗し、遅延を実測できませんでした。国内向けの本番サービスに使うなら、契約後に必ず自分で ping を取って確認してください。
①DigitalOcean のメリット・デメリット
- 料金は最安 $5〜$6/月帯(公式ページで実取得)
- 管理コンソール(Cloud Panel)のUXが分かりやすい
- 無料の技術ドキュメント・チュートリアルが豊富(Ubuntu 向けも多数)
- 東京リージョンなし(最寄はシンガポール、今回は遅延を実測できず)
- データベース・ロードバランサー等の managed サービスが充実(スケールしやすい)
用途別の選び方
①個人学習・コマンド練習(初心者向け)
東京リージョンを持つ Vultr か Linode/Akamai がおすすめです。今回の実測ではどちらも平均18ms前後・ロス0%でほぼ互角でした。Vultr は最安 $2.50/月から試せて、Ubuntu 24.04 LTS をワンクリックで選べます。
②コスパ重視のサーバー開発・CI/CD
遅延が問題にならないバッチ処理・GitHub Actions runner の代替・個人ブログ(SSG)のビルドサーバーなら、Hetzner が圧勝です。€3.99/月で 2vCPU・20TB転送は他社では真似できません。約311msの遅延はビルドや定期実行には影響しません。
③Webサービスの本番運用(国内ユーザー向け)
東京リージョンが必須です。Vultr 東京か Linode/Akamai 東京を選びましょう。今回の実測ではどちらも甲乙つけがたい低遅延でしたが、管理UIの分かりやすさでは Vultr が初心者に優しい印象です。
④マインクラフト・ゲームサーバー
プレイヤーが国内在住ならリージョン遅延が直接ゲームのラグに響きます。東京リージョンのある Vultr か Linode / Akamai 一択です。なお「近場だから」とシンガポールを選ぶと、今回の Vultr SGP のようにロス10%の経路を引くこともあるので、必ず東京を選んでください。
用途別おすすめまとめ
- 学習・入門用:Vultr 東京(最安$2.50/月〜)または Linode 東京 — どちらも約18msの低遅延
- コスパ最優先:Hetzner(€3.99/月で2vCPU・20TB)— 遅延が問題にならない用途限定
- 本番 Web サービス(国内向け):Vultr 東京か Linode 東京
- 管理しやすさ・ドキュメント重視:DigitalOcean(東京なし・要遅延実測)
また、VPS を借りたら Ubuntu 上で SSH 鍵認証を設定することを強くおすすめします。パスワード認証を無効化してセキュリティを高める手順については、次の記事で詳しく解説しています。
まとめ
2026年6月時点での VPS 比較結果(すべて実測・実取得データ)をまとめます。
- Vultr 東京:ping 平均 18.5ms・ロス0%(実測)。最安$2.50/月〜で日本在住の初心者に最適
- Linode / Akamai 東京:ping 平均 18.0ms・ロス0%(実測)。Vultr とほぼ互角の低遅延
- Hetzner Cloud:€3.99/月で 2vCPU・20TB という圧倒的コスパ(公式画面で実取得)。ただし東京なし・国内から約311ms
- DigitalOcean:料金 $5〜$6/月帯(実取得)。UX・ドキュメントは最高クラスだが東京なし・今回は遅延を実測できず
- Ubuntu 24.04.4 LTS はどの VPS でも選択可能で、2029年4月まで標準サポートが続く
VPS を借りてから最初にやることは「apt update && apt upgrade でシステムを最新にして SSH 鍵認証に切り替える」です。サーバー公開後すぐにブルートフォース攻撃が来ることもあるため、パスワード認証はすぐに無効化しましょう。


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