VultrとDigitalOceanを実測比較 速度とコスパで選ぶ

VPS比較



「Vultr と DigitalOcean、どっちを選べばいい?」——VPSを使い始めようとする人が最初にぶつかる壁のひとつです。

本記事では、Vultr の公式 REST API から直接取得したプランデータと、Docker コンテナ内で実行した sysbench・dd ベンチマークの実測値を使って2社を徹底比較します。数字は想像で書いたものではなく、2026年6月13日に実際にツールを動かして取得した一次データです。

「VPS に東京リージョンがあるかどうか」が日本のユーザーにとって非常に重要なポイントで、実はこの点で2社には明確な差があります。その話も本記事で詳しく取り上げます。

この記事のポイント

  • Vultr $5プラン(1 vCPU / 1 GB RAM / 25 GB SSD)は Vultr REST API から実取得したデータ
  • Vultr は東京リージョンあり・DigitalOcean は東京なし(最寄はシンガポール)
  • sysbench CPU:3回平均 2,078 events/sec(ubuntu:24.04 Docker 実測)
  • dd ディスク書き込み:604 MB/s・読み込み:1.3 GB/s(Docker overlay FS 実測)
  • DigitalOcean の公開 speedtest ホスト名が 2026-06-13 時点で DNS 解決不能だった(後述)

目次

  1. 比較の前提(計測環境・計測日)
  2. Vultr プラン一覧(REST API 実取得)
  3. 実測ベンチマーク(CPU・ディスクI/O)
  4. ping 遅延実測と「東京リージョン問題」
  5. 各社の特徴と詳細評価
  6. Vultr vs DigitalOcean 総合比較表
  7. 用途別の選び方
  8. まとめ

比較の前提(計測環境・計測日)

この記事のデータは以下の環境で取得しています。

検証環境

OS:Ubuntu 24.04 LTS(Docker 公式イメージ ubuntu:24.04、kernel 6.8.0-111-generic)
CPU ベンチ・ディスクベンチ:docker run --rm ubuntu:24.04 コンテナ内で実行
Vultr プラン情報:公式 REST API(api.vultr.com/v2/plans)より直接取得(認証不要)
ping 計測:ホストマシンから各 VPS 公開エンドポイントへ ping -c 10 -W 3
Playwright スクリーンショット:Vultr・DigitalOcean 公式料金ページ
計測日:2026年6月13日

ひとつ正直に書いておくと、ping の計測はホストマシン(日本国外の可能性あり)から行っているため、測定値は日本国内から計測した場合より高くなっています。ただし「Vultr に東京エンドポイントが存在するかどうか」「DigitalOcean の speedtest ホストが解決できるかどうか」を確認するという意味では有効なデータです。

Vultr プラン一覧(REST API 実取得)

Vultr は api.vultr.com/v2/plans という API エンドポイントを認証なしで公開しています。2026年6月13日に実際に叩いた結果が次のとおりです。




Vultr REST API v2 — プラン取得
$ curl -s “https://api.vultr.com/v2/plans?type=vc2&per_page=10” | \
jq ‘.plans[] | {id, monthly_cost, vcpu_count, ram, disk, bandwidth}’
{ “id”: “vc2-1c-0.5gb-v6”, “monthly_cost”: 2.5, “vcpu_count”: 1, “ram”: 512, “disk”: 10, “bandwidth”: 512 }
{ “id”: “vc2-1c-0.5gb”, “monthly_cost”: 3.5, “vcpu_count”: 1, “ram”: 512, “disk”: 10, “bandwidth”: 512 }
{ “id”: “vc2-1c-1gb”, “monthly_cost”: 5, “vcpu_count”: 1, “ram”: 1024, “disk”: 25, “bandwidth”: 1024 }
{ “id”: “vc2-1c-2gb”, “monthly_cost”: 10, “vcpu_count”: 1, “ram”: 2048, “disk”: 55, “bandwidth”: 2048 }
{ “id”: “vc2-2c-2gb”, “monthly_cost”: 15, “vcpu_count”: 2, “ram”: 2048, “disk”: 65, “bandwidth”: 3072 }
{ “id”: “vc2-2c-4gb”, “monthly_cost”: 20, “vcpu_count”: 2, “ram”: 4096, “disk”: 80, “bandwidth”: 3072 }
Vultr vc2 プラン一覧(REST API 実取得・2026-06-13)
Vultr vc2 プラン一覧(REST API 実取得・2026-06-13)

注目してほしいのは vc2-1c-1gb($5/月)です。1 vCPU・1 GB RAM・25 GB SSD・1 TB 帯域幅という構成で、Linux 学習やLAMP 環境構築の第一歩として十分すぎるスペックです。

また、vc2-1c-0.5gb-v6 という $2.5/月の IPv6 限定プランも確認できます。実際に API を叩いてみると、こういう「公式サイトの料金ページでは目立たないプラン」も発見できるのが面白いところです。

Vultr 公式料金ページ(Playwright 撮影・2026-06-13)
Vultr 公式料金ページ(Playwright 撮影・2026-06-13)

実測ベンチマーク(CPU・ディスクI/O)

① CPU 性能 — sysbench を Docker で3回実行

CPU 性能を測るには sysbench が定番ツールです。docker run --rm ubuntu:24.04 コンテナ内で sysbench cpu --threads=2 --time=10 run を3回繰り返しました。

sysbench CPU 3回実測(ubuntu:24.04 Dockerコンテナ内)
sysbench CPU 3回実測(ubuntu:24.04 Dockerコンテナ内)

結果は次のとおりです。

  • 1回目:1,980.41 events/sec
  • 2回目:1,928.39 events/sec
  • 3回目:2,325.27 events/sec
  • 3回平均:2,078 events/sec(変動幅 +11.9%)

3回目だけ数値が跳ね上がっているのは、コンテナ内の CPU スケジューリングのゆらぎです。正直、±12% 程度の変動は Docker コンテナ内では普通です。この数値はホストマシンの Docker 環境での計測値で、実際の VPS インスタンスでは仮想化レイヤーと共有 vCPU の影響でさらに変動します。

VPS 実機でのベンチ参考値(一般的な傾向)

Vultr $5 プラン(共有 vCPU)では、sysbench threads=2 で 600〜1,200 events/sec 程度が観測されています。DigitalOcean Basic Droplet $6 でも同程度のレンジです。正確な数値は自分で契約して計測してください。

② ディスクI/O — dd コマンドで書き込み・読み込み速度を測定

ディスク性能も VPS 選択では重要な指標のひとつです。同じく docker run --rm ubuntu:24.04 コンテナ内で dd コマンドを実行しました。

dd ディスクI/O 実測(ubuntu:24.04 Dockerコンテナ内)
dd ディスクI/O 実測(ubuntu:24.04 Dockerコンテナ内)

計測結果:

  • 書き込み速度:604 MB/s(512 MB、oflag=direct 指定)
  • 読み込み速度:1.3 GB/s(512 MB、/dev/null への読み出し)

繰り返しになりますが、これは Docker overlay FS 上の値です。実際の VPS の NVMe ディスクは一般的に書き込み 200〜800 MB/s 程度です。この数値はあくまで参考として見てください。

ping 遅延実測と「東京リージョン問題」

日本のユーザーにとって最も重要な選択基準のひとつが「東京リージョンの有無」です。ここが2社の最大の違いです。

VPS 東京リージョンへの ping 遅延(実測)
VPS 東京リージョンへの ping 遅延(実測)

Vultr — 東京リージョンあり(hnd-jp = 羽田)

Vultr は hnd-jp-ping.vultr.com という公開エンドポイントを持っており、これが東京(羽田)リージョンに対応しています。ping -c 10 の実測結果:




ping 計測 — Vultr 東京リージョン
$ ping -c 10 -W 3 hnd-jp-ping.vultr.com
PING hnd-jp-ping.vultr.com (108.61.201.151) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 108.61.201.151.vultrusercontent.com: icmp_seq=1 ttl=45 time=171 ms
64 bytes from 108.61.201.151.vultrusercontent.com: icmp_seq=2 ttl=45 time=171 ms

rtt min/avg/max/mdev = 170.559/170.850/172.525/0.564 ms
10 packets transmitted, 10 received, 0% packet loss

パケットロス 0%、stddev 0.564 ms と非常に安定しています。上記の数値は検証ホスト(日本国外)からの計測値です。日本国内(東京)からであれば 5〜20 ms 程度になります。

DigitalOcean — 東京リージョンなし、speedtest ホストも不達

DigitalOcean には 2026年6月時点で日本の東京リージョンが存在しません。最寄りはシンガポール(SGP)です。さらに調べたところ、公開されている speedtest ホスト名が DNS 解決できませんでした




ping 計測 — DigitalOcean SGP
$ ping -c 10 -W 3 speedtest-sgp1.digitalocean.com
ping: speedtest-sgp1.digitalocean.com: Name or service not known
$ ping -c 10 -W 3 speedtest-ams1.digitalocean.com
ping: speedtest-ams1.digitalocean.com: Name or service not known
# 2026-06-13 時点では DNS 解決不能(ホスト名が変更された可能性)

これは単に DNS の問題かもしれませんが、DigitalOcean が以前は公開していた speedtest インフラを変更した可能性があります。いずれにしても、日本国内から DigitalOcean を使う場合はシンガポールリージョンへの 60〜90 ms 程度の遅延を見込む必要があります。

この差は体感できます。たとえば、git push や SSH でのターミナル操作では、20 ms と 80 ms では明確に「もたつき感」が違います。

DigitalOcean 公式料金ページ(Playwright 撮影・2026-06-13)
DigitalOcean 公式料金ページ(Playwright 撮影・2026-06-13)

各社の特徴と詳細評価

Vultr の特徴

Vultr は 2014年創業のアメリカの VPS プロバイダーです。グローバルに30以上のデータセンターを持ち、日本(東京・大阪)リージョンも完備しています。

  • 最安プラン:$2.5/月(IPv6 限定)、汎用は $3.5/月〜
  • 人気プラン:$5/月(1 vCPU・1 GB RAM・25 GB SSD・1 TB BW)
  • 時間課金:$5 プランは $0.007/時間
  • 東京・大阪の両リージョンあり(日本国内なら低遅延)
  • コントロールパネルはシンプルで起動が速い
  • 日本語サポートなし(英語のみ)
  • REST API が充実(認証なしで公開プランを取得可能)

正直、コントロールパネルはやや無骨な印象ですが、起動が速くスナップショット・バックアップ機能も揃っています。「とにかく安く東京リージョンを使いたい」という入門者に特に向いています。

Vultr の API が認証なしで公開プランを返してくれるのは、開発者フレンドリーな設計だと思います。スクリプトでインスタンスを自動作成・削除する用途にも使いやすいです。

DigitalOcean の特徴

DigitalOcean は 2012年創業の老舗 VPS プロバイダーです。「Droplet」という名前のVPSが有名で、開発者向けドキュメントの充実度はVPS業界随一と言われます。

  • 最安プラン:$6/月(1 vCPU・1 GB RAM・25 GB SSD・1 TB BW)
  • Managed Database・Kubernetes(DOKS)・App Platform などのマネージドサービスが豊富
  • Team コラボレーション機能が充実
  • 東京リージョンなし(最寄はシンガポール SGP)
  • 日本語サポートなし(英語のみ)
  • チュートリアル・コミュニティドキュメントが非常に充実

「とにかくドキュメントが丁寧」というのが DigitalOcean の一番の強みです。初心者が「LAMP 環境構築」「Docker インストール」などを調べると、DigitalOcean のチュートリアルが上位に出てくることが多いです。英語に抵抗がなければ参考になります。

ただし、日本ユーザーには「東京リージョンがない」という点が足を引っ張ります。シンガポールでも使えますが、60〜90 ms の遅延は学習用でも少し気になります。

Vultr vs DigitalOcean 総合比較表

Vultr vs DigitalOcean 総合比較表(2026年6月)
Vultr vs DigitalOcean 総合比較表(2026年6月)
比較項目 Vultr DigitalOcean
入門向け最安プラン $5/月(1 vCPU / 1 GB / 25 GB) $6/月(1 vCPU / 1 GB / 25 GB)
東京リージョン あり(HND / 羽田) なし(最寄はシンガポール)
日本からの遅延(目安) 5〜20 ms(東京 HND) 60〜90 ms(シンガポール SGP)
REST API あり(プランは認証不要で公開) あり(要 APIキー)
マネージドサービス Managed DB、Kubernetes など 豊富(DOKS、App Platform等)
ドキュメント品質 標準的 業界トップクラス(英語)
日本語サポート なし なし
コントロールパネル シンプル・高速 洗練されたUI・機能豊富
スナップショット あり($0.05/GB/月) あり($0.06/GB/月)

表を見てわかるとおり、コスパ・東京リージョンの観点では Vultr が優位で、マネージドサービスやドキュメントの充実度では DigitalOcean が優位です。

用途別の選び方

用途別おすすめ(Vultr vs DigitalOcean)
用途別おすすめ(Vultr vs DigitalOcean)

日本向けのサーバー・低遅延を最優先するなら → Vultr

日本国内のユーザーに向けたサービス(WordPress ブログ、個人の API サーバー、Discord Bot など)を運用するなら、Vultr の東京リージョン($5/月)が最有力です。DigitalOcean には東京がなく、シンガポール経由だと遅延差が大きくなります。

Linux を本格的に学びたい入門者なら → Vultr プランから

「まず VPS を触ってみたい」「Ubuntu を自分のサーバーで使いたい」という場合も、時間課金の Vultr $5 プラン($0.007/時間)がおすすめです。失敗しても削除して再作成できますし、月末に使わなかった時間は課金されません。

海外ユーザー向けサービスや英語圏のプロジェクトなら → DigitalOcean

海外向けのサービスを構築するなら DigitalOcean も十分な選択肢です。チームコラボレーション機能、App Platform、豊富な英語チュートリアルは、チームで開発プロジェクトを回す際に特に便利です。

日本語サポートが必要なら → ConoHa VPS や さくらのVPS

Vultr・DigitalOcean ともに日本語サポートはありません。「トラブルのとき日本語で問い合わせたい」「クレジットカードなしで使いたい」という場合は、国内VPSも検討してください。

まとめ

Vultr と DigitalOcean を実測データと公式APIデータで比較しました。

  • Vultr $5 プラン(1 vCPU / 1 GB / 25 GB SSD)は公式 REST API で実確認した最新データ
  • 東京リージョンは Vultr のみ。日本向けサーバーなら遅延差が大きい
  • sysbench CPU は 2,078 events/sec(Docker ubuntu:24.04 実測、3回平均)
  • dd ディスク書き込みは 604 MB/s・読み込みは 1.3 GB/s(Docker 内)
  • DigitalOcean の公開 speedtest ホスト名は 2026-06-13 時点で DNS 解決不能だった
  • マネージドサービス・英語ドキュメントの充実度は DigitalOcean が優位

日本のユーザーが入門として1台目のVPSを借りるなら、Vultr の東京リージョン $5 プランがコスパ・遅延ともにバランスのよい選択です。まずは時間課金で試してみて、使い続けるかを判断するのをおすすめします。

VPS の詳しいベンチマーク比較(7社対決)は もあわせてどうぞ。

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