Ubuntu 24.04 LTS(コードネーム:Noble Numbat)は2024年4月に公開された長期サポート(LTS)版です。22.04 LTS から Python・GCC・OpenSSL など、開発環境に直結するパッケージが一斉にアップデートされました。
「22.04 から乗り換えるメリットはある?」「どのバージョンに変わったの?」という疑問に、実際に docker run ubuntu:24.04 と ubuntu:22.04 を動かして取得した実測データで答えます。結論から言うと、VPS で新しくサーバーを立てるなら 24.04 LTS が現在の最適解です。
この記事のポイント
- Ubuntu 24.04 LTS のコードネームは「Noble Numbat」、標準サポートは 2029年4月まで
- Python 3.12.3・GCC 13.3.0・OpenSSL 3.0.13・glibc 2.39 を
ubuntu:24.04で実機確認 - AppArmor が 3.0 → 4.0.1 にメジャーアップ、OpenSSH も 8.9p1 → 9.6p1 に
- 22.04 との主要パッケージ差を
apt-cache policy実測で10項目比較 - VPS でサーバーを立てるなら 24.04 LTS が現在の最有力選択肢
目次
- Ubuntu 24.04 LTS「Noble Numbat」とは
- 主な新機能・変更点(実測確認)
- 22.04 LTS との主要パッケージ比較
- apt インストール実例(python3-pip)
- OpenSSH 9.6p1 とEd25519鍵
- アップグレードと注意点
- VPS で 24.04 を使うメリット
- まとめ
Ubuntu 24.04 LTS「Noble Numbat」とは
Ubuntu は2年おきに長期サポート(LTS: Long-Term Support)版をリリースします。LTS版はバグ修正・セキュリティパッチのサポートが5年間(Ubuntu Pro を使えば12年)続くため、VPS やサーバーに使うなら LTS 版一択です。
Ubuntu 24.04 LTS のコードネームは「Noble Numbat(ノーブル・ナンバット)」。Canonical がすべてのリリースに付けてきた A→B→C→… のアルファベット順命名規則の「N」にあたり、2024年4月25日に正式リリースされました。

上の図は docker run --rm ubuntu:24.04 で実際に確認したバージョンです。PRETTY_NAME="Ubuntu 24.04.4 LTS"・VERSION_CODENAME=noble と表示され、2026年6月時点の最新マイナーは 24.04.4 でした。apt --version は apt 2.8.3 を返しています。
PRETTY_NAME=”Ubuntu 24.04.4 LTS”
VERSION_CODENAME=noble
LTSのサポート期限
Ubuntu 24.04 LTS のサポート期限は次のとおりです。
| 種別 | サポート期間 | 終了時期 |
|---|---|---|
| 標準サポート(無料) | 5年 | 2029年4月 |
| 拡張セキュリティ(Ubuntu Pro) | +5年 | 2034年4月 |
| レガシーサポート(有償) | +2年 | 2036年4月 |
個人開発・学習・VPSサーバーなら無料の標準サポートで十分です。終了まで約3年(2029年4月)あり、現時点では安心して使い始められます。
主な新機能・変更点(実測確認)
Ubuntu 24.04 での変更は多岐にわたりますが、ここではサーバー・開発環境に直接影響する変更を中心に解説します。各項目は docker run ubuntu:24.04 および apt-cache policy の実測で確認しています。

①Python 3.12 がデフォルトになった
Ubuntu 22.04 では python3 --version が Python 3.10 を返しましたが、Ubuntu 24.04 では Python 3.12.3 がデフォルトです。
Python 3.12.3
Python 3.12 の主な改善点は次のとおりです。
- エラーメッセージが格段に読みやすくなった(「変数名のタイプミスでは?」と候補を提示)
- f文字列の制限が緩和され、ネストや改行が書けるように
- 型ヒント(Type Hints)の書き方が改善
- CPython インタプリタの最適化でパフォーマンス向上
注意
Python 3.10 向けのコードの多くは 3.12 でも動きますが、一部の非推奨記法が完全に削除されています(distutils モジュールの廃止など)。既存プロジェクトをアップグレードする際は動作確認が必要です。
②GCC 13.3 と glibc 2.39 に更新
C/C++コンパイラの GCC が 13.3.0、標準Cライブラリの glibc(libc6)が 2.39 に更新されました。実バイナリで確認した結果は次のとおりです。
gcc (Ubuntu 13.3.0-6ubuntu2~24.04.1) 13.3.0
$ docker run –rm ubuntu:24.04 bash -c “dpkg -l libc6 | awk ‘/^ii/{print \$2, \$3}'”
libc6:amd64 2.39-0ubuntu8.7
GCC 13 では C23 標準への対応が進み、警告の精度も上がりました。自分でソースからビルドするケースや、Docker イメージをゼロから作るときに最適化の恩恵を受けられます。22.04 の GCC は 11.x 系だったため、2世代分のアップです。
③AppArmor 4.0 採用でセキュリティ強化
Ubuntu が採用するセキュリティモジュール AppArmor が 4.0.1 にメジャーバージョンアップしました(22.04 は 3.0.4)。
Candidate: 4.0.1really4.0.1-0ubuntu0.24.04.7
AppArmor はプロセスが使えるファイル・ネットワーク・システムコールを制限し、万が一のサービス侵害時に被害が広がるのを防ぐ仕組みです。4.0 ではポリシーの書き方が改善され、ユーザー空間からの設定がより柔軟になりました。VPS で公開する nginx・SSH などのサービスは、自動適用される AppArmor プロファイルでより厳密に守られます。
④OpenSSL 3.0.13 に更新(セキュリティ修正多数)
TLS通信の核となる OpenSSL が 3.0.13 に更新されました(22.04 は 3.0.2)。
OpenSSL 3.0.13 30 Jan 2024 (Library: OpenSSL 3.0.13 30 Jan 2024)
3.0.2 から 3.0.13 の間には多数のセキュリティ修正が含まれます。HTTPS通信・SSH・メール暗号化を扱うサーバーでは、パッチ済みの OpenSSL を使うことが重要です。Ubuntu 24.04 ならこの最新版が最初から入っています。
⑤apt 2.8・netplan 1.1 に更新
パッケージマネージャ apt が 2.8.3、ネットワーク設定ツール netplan.io が 1.1.2 になりました(22.04 はそれぞれ 2.4.14・0.107.1)。
netplan 1.0 は「安定版マイルストーン」と位置付けられており、以降は後方互換性が重視されます。VPS の固定IP設定で netplan を使う場合、24.04 では設定ファイルの書き方が公式に安定化したと考えてよいです。固定IPの設定方法は Ubuntu で固定IPアドレスを設定する方法(netplan) で解説しています。
⑥OpenSSH 9.6p1 でSSHセキュリティ向上
Ubuntu 24.04 には OpenSSH 9.6p1 が同梱されます(22.04 は 8.9p1)。詳細は後半の「OpenSSH 9.6p1 とEd25519鍵」で実測ログとあわせて解説します。
⑦Linux カーネル 6.8 系
Ubuntu 24.04 LTS のデフォルトカーネルは 6.8 系です(22.04 は 5.15 系)。6.8 では次の改善が含まれます。
- 最新の AMD・Intel・NVIDIA GPU ドライバサポート強化
- io_uring の改善(非同期I/Oのパフォーマンス向上)
- ネットワークサブシステムの改善
⑧GNOME 46 デスクトップ(デスクトップ版のみ)
デスクトップ版の Ubuntu 24.04 では GNOME が 46 に更新されました(22.04 は GNOME 42)。ファイルマネージャの検索強化・設定アプリの刷新・トリプルバッファリングによる滑らかなスクロール・フォントの「Ubuntu Sans」化などが入っています。サーバー・VPS 用途では関係しませんが、WSL や VM でデスクトップ版を使う方には影響します。
22.04 LTS との主要パッケージ比較
下の図は、docker run ubuntu:22.04 と docker run ubuntu:24.04 でそれぞれ apt-cache policy(GCC・Python は実バイナリの --version)を実行して取得した実測比較です。

表にまとめると次のとおりです。
| パッケージ | Ubuntu 22.04 LTS | Ubuntu 24.04 LTS | 変化 |
|---|---|---|---|
| Python 3 | 3.10.6 | 3.12.3 | メジャーアップ |
| GCC | 11.x | 13.3.0 | 2世代アップ |
| glibc (libc6) | 2.35 | 2.39 | マイナーアップ |
| OpenSSL | 3.0.2 | 3.0.13 | セキュリティ修正多数 |
| apt | 2.4.14 | 2.8.3 | マイナーアップ |
| AppArmor | 3.0.4 | 4.0.1 | メジャーアップ |
| OpenSSH | 8.9p1 | 9.6p1 | マイナーアップ |
| netplan.io | 0.107.1 | 1.1.2 | 安定版到達 |
| カーネル | 5.15 系 | 6.8 系 | メジャーアップ |
Perl(5.34 → 5.38)や Vim(8.2 → 9.1)といった日常ツールも更新されています。全体として、22.04 から見ると開発・運用に使うほぼすべてのツールが一段新しくなるのが 24.04 の特徴です。
apt インストール実例(python3-pip)
Ubuntu 24.04 で python3-pip をインストールすると、Python 3.12 ベースの pip 24.0 が入ります。実際のインストールログがこちらです。

インストール後に pip3 --version を確認すると pip 24.0 from /usr/lib/python3/dist-packages/pip (python 3.12) と表示されました。今回のクリーンな ubuntu:24.04 環境では依存も含め 141個の新規パッケージが導入されています。22.04 では pip が Python 3.10 ベースだったため、仮想環境を作るときのデフォルトPythonバージョンが変わる点に注意してください。aptの使い方は Ubuntu apt コマンドの使い方まとめ もあわせてどうぞ。
OpenSSH 9.6p1 とEd25519鍵
VPS でサーバーを運用するうえで最重要な SSH も新しくなっています。Ubuntu 24.04 同梱の OpenSSH は 9.6p1(22.04 は 8.9p1)。実際に ssh -V と鍵生成を動かしてみました。

OpenSSH_9.6p1 Ubuntu-3ubuntu13.16, OpenSSL 3.0.13 30 Jan 2024
OpenSSH 9.x では古い暗号化アルゴリズム(DSA鍵など)のデフォルト無効化が進んでいます。VPS で SSH ログインを使うなら、上の図のように ssh-keygen -t ed25519 で生成した Ed25519 鍵、または RSA 4096 ビット鍵の利用を推奨します。
アップグレードと注意点
既存の Ubuntu 22.04 環境から 24.04 にアップグレードする場合の注意点をまとめます。
アップグレード前の確認事項
注意
本番稼働中のサーバーをアップグレードする場合は、必ずスナップショット(バックアップ)を取ってから行ってください。アップグレード中に依存関係の競合が起きると、サービスが停止する可能性があります。
- Python 3.10 → 3.12 の変更で
distutilsなど一部の非推奨APIが削除されています。既存の pip パッケージが動くか確認を - 古い PPA リポジトリは 24.04 対応版が出ていないことがあります
- サードパーティのドライバ(NVIDIAなど)はカーネルアップ後に再インストールが必要なケースがあります
新規インストールが最もおすすめ
VPS を使っている場合は、既存インスタンスのアップグレードより新規作成のほうが確実です。Vultr・DigitalOcean・ConoHa などの主要VPSでは Ubuntu 24.04 LTS のOSイメージが選択できます。サーバーの初期設定は Ubuntu サーバー初期設定ガイド、アップグレードコマンドの詳細は Ubuntu バージョンアップグレードの方法 で解説しています。
VPS で 24.04 を使うメリット
VPS でサーバーを立てるなら、現時点では Ubuntu 24.04 LTS を選ぶのが最適解です。理由は以下のとおりです。
- 2029年4月まで無料でセキュリティパッチが届く(標準サポート)
- Python 3.12・GCC 13 など最新の開発ツールがすぐ使える
- OpenSSL 3.0.13・AppArmor 4.0・OpenSSH 9.6p1 でセキュリティが初期状態から強化
- Vultr・DigitalOcean・ConoHa など主要VPSすべてで OS 選択肢にある
- 日本語・英語の技術情報が豊富(LTS版は検索ヒット数が多い)
まとめ
Ubuntu 24.04 LTS(Noble Numbat)の新機能と変更点を、docker run ubuntu:24.04 / ubuntu:22.04 の実測でまとめます。
- コードネーム「Noble Numbat」、2024年4月25日リリース。標準サポートは 2029年4月まで
- Python 3.12.3・GCC 13.3.0・glibc 2.39 に更新(実測確認)
- OpenSSL 3.0.13 でセキュリティ修正が多数適用済み
- AppArmor 4.0.1 にメジャーアップ、サービスのセキュリティ境界が強化
- apt 2.8.3・netplan 1.1.2(安定版)・OpenSSH 9.6p1
- VPS で新規サーバーを立てるなら Ubuntu 24.04 LTS が現在の最有力選択肢
VPS各社のパフォーマンス比較は VPS速度比較【実測】 もあわせてご覧ください。


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