「Ubuntu 26.04 はまだ早い?」と思っているかもしれませんが、2026年4月にリリースされた Ubuntu 26.04 LTS “Resolute Raccoon” は、Python・GCC・カーネル・OpenSSH と主要コンポーネントが一斉にメジャーアップデートされた節目のリリースです。
本記事では、実際に ubuntu:26.04 と ubuntu:24.04 の公式Dockerイメージを起動して取得した一次データ(2026-06-15 実測)をもとに、Ubuntu 26.04 の新機能と Ubuntu 24.04 からのアップグレード手順を解説します。数字はすべて実際のコンテナの出力から取っています。
この記事のポイント
- コードネームは
resolute(Resolute Raccoon)。LTS の標準サポートは2031年4月まで - Python が
3.12.3→3.14.3、GCC が13.2.0→15.2.0と2段飛ばしの更新 - カーネルパッケージが
6.8.0-124→7.0.0-22にメジャーアップ - OpenSSH が
9.6p1→10.2p1に。後量子暗号ML-KEMがデフォルト鍵交換の先頭に - 24.04 からの公式アップグレードは
do-release-upgradeコマンド1本
目次
- Ubuntu 26.04 LTS の概要
- 主要な新機能・変更点(実測)
- Docker で Ubuntu 26.04 を試す(実測)
- Ubuntu 24.04 → 26.04 アップグレード手順
- SSH セキュリティの変更点(実測)
- よくある質問
- まとめ
Ubuntu 26.04 LTS の概要
Ubuntu の LTS(Long Term Support=長期サポート)リリースは2年ごとに4月に出ます。Ubuntu 26.04 は2026年4月にリリースされ、前LTSである Ubuntu 24.04(Noble Numbat)の後継です。実際にコンテナの /etc/os-release を見ると、コードネームが resolute になっているのが確認できます。
コードネームは Resolute Raccoon(決意のアライグマ)。Ubuntu のコードネームは「形容詞+動物」のアルファベット順で決まっていて、24.04 の N(Numbat)に続いて 26.04 は R で始まります。ちなみにベースになっている Debian は forky/sid でした。
| 項目 | Ubuntu 24.04 LTS | Ubuntu 26.04 LTS |
|---|---|---|
| コードネーム | Noble Numbat | Resolute Raccoon |
| VERSION_CODENAME | noble | resolute |
| 標準サポート | 2029年4月まで | 2031年4月まで |
| 拡張ESMサポート | 2034年4月まで | 2036年4月まで |
| ベース(debian_version) | trixie/sid | forky/sid |
主要な新機能・変更点(実測)
Ubuntu 26.04 では多くのパッケージが更新されています。実際に ubuntu:24.04 と ubuntu:26.04 の公式Dockerイメージで apt-cache policy の候補バージョンを比較した実測データが以下です。

①Python 3.14 が標準搭載
最も影響が大きいのが Python のバージョンアップです。Ubuntu 24.04 では 3.12.3 でしたが、26.04 では 3.14.3 が標準になっています。24.04 → 26.04 で 3.12 → 3.13 → 3.14 と2段飛ばしで上がる点に注意してください。
python3:
Installed: (none)
Candidate: 3.14.3-0ubuntu2
$ # 比較: Ubuntu 24.04 は 3.12.3-0ubuntu2.1
Python 3.14 ではインタープリタの高速化や型システムの改善、free-threading(GILなし実行)の整備などが進んでいます。スクリプトやツールを書く人ほど恩恵を受けやすいアップデートです。
②カーネル 7.0 系・GCC 15・systemd 259
カーネルパッケージ(linux-image-generic)の候補バージョンは 6.8.0-124(24.04)から 7.0.0-22(26.04)へメジャーアップしています。あわせて開発ツールチェーンも一斉更新されています。
linux-image-generic Candidate: 7.0.0-22.22
gcc Candidate: 4:15.2.0-5ubuntu1
systemd Candidate: 259.5-0ubuntu3
GCC は 13.2.0 → 15.2.0、systemd も 255.4 → 259.5 と大きく上がっています。カーネル 7.0 系では io_uring(非同期I/O)と eBPF(カーネル内プログラム実行機構)がさらに強化されており、データベースやネットワーク系サービスの I/O 処理の改善が期待できます。
③OpenSSL 3.5 / apt 3.2 / curl 8.18
暗号ライブラリの OpenSSL は 3.0.13 から 3.5.5 へ。パッケージマネージャ apt 自体も 2.8.3 → 3.2.0 とメジャー更新され、依存解決エンジンが刷新されています。curl は 8.5.0 → 8.18.0、bash は 5.2.21 → 5.3 です。
注意:Python の互換性
Python 3.12 で動いていたコードが 3.14 でそのまま動くとは限りません。24.04 → 26.04 では 3.12 → 3.14 と2段上がるため、非推奨だったAPIの削除や asyncio の挙動変更の影響を受けやすくなります。本番にPythonアプリを載せているなら、必ずテスト環境で動作確認してからアップグレードしてください。
Docker で Ubuntu 26.04 を試す(実測)
本番サーバーをいきなりアップグレードする前に、Docker で 26.04 の挙動を確認するのがおすすめです。Docker さえ入っていれば数秒で 26.04 環境を起動できます。実際に起動して /etc/os-release を確認したのが次の画面です。

Status: Downloaded newer image for ubuntu:26.04
$ docker run –rm -it ubuntu:26.04 bash
root@xxxxxxxx:/# cat /etc/os-release | grep -E ‘PRETTY|CODENAME’
PRETTY_NAME=”Ubuntu 26.04 LTS”
VERSION_CODENAME=resolute

コンテナが起動したら、パッケージリストを更新してツールを入れてみます。実際に curl・net-tools・htop をインストールした実ログが以下です。
Get:1 …/resolute-updates/main arm64 openssl arm64 3.5.5-1ubuntu3.2 [1223 kB]
Get:2 …/resolute/main arm64 ca-certificates all 20260223 [158 kB]
root@xxxxxxxx:/# curl –version | head -1
curl 8.18.0 (aarch64-unknown-linux-gnu) libcurl/8.18.0 OpenSSL/3.5.5 zlib/1.3.1
root@xxxxxxxx:/# netstat –version 2>&1 | head -1
net-tools 2.10
root@xxxxxxxx:/# htop –version
htop 3.4.1

リポジトリの suite 名が resolute / resolute-updates になっている点も、これが本物の 26.04 環境である証拠です。curl が OpenSSL/3.5.5 にリンクされているのも確認できます(24.04 では 3.0.13)。
Ubuntu 24.04 → 26.04 アップグレード手順
既存の 24.04 を保ったまま 26.04 に上げるには、公式ツール do-release-upgrade を使います。VPS や実機サーバーで作業する場合の標準的な流れを説明します(このセクションの手順は公式の手順をまとめたもので、実機での破壊的操作は読者側の環境で行ってください)。

手順1:作業前にバックアップを取る
アップグレードは後戻りが難しい操作です。正直、ここを省略してトラブルになるケースが多いので、必ず実施してください。
- データベース(MySQL/PostgreSQL)のダンプ
/etc以下の設定ファイル(nginx.conf・sshd_configなど)/home以下のユーザーデータ
VPSを使っている場合
Vultr・DigitalOcean・Linode など多くのVPSでは、コントロールパネルから「スナップショット」を作成できます。アップグレード前に必ずスナップショットを取っておくと、万が一の際に元の環境へ丸ごと戻せます。
手順2:現在の環境を最新状態にする
$ sudo apt upgrade -y
$ sudo apt dist-upgrade -y
$ sudo apt autoremove -y
古いパッケージが残っているとアップグレードに失敗することがあります。apt upgrade の後に dist-upgrade も実行しておきましょう。
手順3:update-manager-core を確認する
update-manager-core is already the newest version.
Ubuntu Server には基本的に最初から入っていますが、念のため確認します。
手順4:release-upgrades の設定を確認する
[DEFAULT]
Prompt=lts
Prompt=lts なら LTS → LTS のアップグレードが有効です。Prompt=never になっている場合は lts に変更してください。
手順5:do-release-upgrade を実行する
SSHでリモート接続している場合は、接続が切れてもアップグレードが継続するよう、事前に screen か tmux を起動しておくことを強くおすすめします。
$ screen -S upgrade
$ sudo do-release-upgrade
New release ‘26.04 LTS’ available.
Do you want to start the upgrade? [yN]
y
# 接続が切れたら screen -r upgrade で再接続
手順6:再起動して確認する
$ lsb_release -a # 再起動後
Description: Ubuntu 26.04 LTS
Release: 26.04
Codename: resolute
Codename: resolute と表示されればアップグレード成功です。この出力は実際の 26.04 コンテナで lsb_release を実行して確認した値と同じです。
SSH セキュリティの変更点(実測)
26.04 の変更点でセキュリティ面のハイライトが OpenSSH 10.2p1 への更新です。実際にコンテナで ssh -V と鍵生成を確認しました。
OpenSSH_10.2p1 Ubuntu-2ubuntu3.2, OpenSSL 3.5.5 27 Jan 2026
$ ssh-keygen -t ed25519 -f /tmp/testkey -N ”
Generating public/private ed25519 key pair.
Your identification has been saved in /tmp/testkey
SHA256:Hhk4XLNVVOPo1hSBvYnmvUreQPI0JzZ+2WxqUgzcfkk

そして実測でいちばん面白かったのがここです。ssh -G が返すデフォルトの鍵交換アルゴリズム(KexAlgorithms)の先頭が、26.04 では mlkem768x25519-sha256 になっています。これは後量子暗号 ML-KEM(旧称 Kyber)を使ったハイブリッド鍵交換です。24.04(OpenSSH 9.6)では mlkem の項目自体が存在せず、先頭は sntrup761x25519-sha512@openssh.com でした。

つまり 26.04 では、量子コンピュータが実用化された後でも通信の安全性を保てる後量子鍵交換が、設定を何もいじらなくても優先される状態になっています。ssh -Q kex で対応アルゴリズムの一覧を確認できます。
古い SSH クライアントからの接続
新しい鍵交換が増えても、接続できない既存クライアントが弾かれるわけではありません(共通のアルゴリズムにフォールバックします)。ただし古い環境ほど弱い暗号にネゴシエートされやすいので、VPSに接続するローカル側の SSH クライアントも最新版に更新しておくのがおすすめです。
よくある質問
Ubuntu 24.04 LTS からすぐにアップグレードすべきですか?
24.04 は2029年4月まで標準サポートが続くので、急ぐ必要はありません。新しいサーバーを構築するなら 26.04 を選ぶのが合理的ですが、稼働中のサーバーは動作確認を十分にとってから移行することをおすすめします。
Ubuntu 22.04 から直接 26.04 にアップグレードできますか?
直接はできません。公式のアップグレードパスは 1 LTS(2年)ずつです。22.04 → 24.04 → 26.04 の順にアップグレードしてください。
Python 3.12 で動いていたスクリプトが 3.14 で動かなくなりました
24.04 → 26.04 では Python が 3.12 から 3.14 へ2段上がります。python3 -W default your_script.py で DeprecationWarning を確認して対応してください。仮想環境(venv)を使えば、古いバージョンの Python を別途維持することも可能です。
アップグレード中に接続が切れてしまいました
事前に screen か tmux を起動していれば、screen -r / tmux attach で再接続できます。起動していなかった場合は、VPS のコンソール機能(Vultr なら View Console)で状況を確認してください。
まとめ
Ubuntu 26.04 LTS “Resolute Raccoon” の主な変更点を、実測した値でまとめます。
Ubuntu 26.04 LTS まとめ
- コードネームは resolute(Resolute Raccoon)、標準サポートは2031年4月まで
- Python 3.14.3 が標準(24.04 は 3.12.3)。3.12 → 3.14 と2段上がる
- カーネル 7.0.0-22、GCC 15.2.0、systemd 259.5、OpenSSL 3.5.5、apt 3.2.0 と主要部品が大幅更新
- OpenSSH 10.2p1。後量子暗号 ML-KEM がデフォルト鍵交換の先頭になっている
- 新規サーバー構築には 26.04 を推奨。既存サーバーは動作確認後に移行
- アップグレードは sudo do-release-upgrade。事前にスナップショット必須
26.04 を試すなら、まずDockerでローカルに環境を作って動作確認するのが安全です。本番でサーバーを持つなら、Vultr や ConoHa のような月額の低いVPSから始めると安心です。VPSの選び方・各社のベンチマーク比較は以下の記事で詳しく解説しています。
→ VPS比較・ベンチマーク記事を読む


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