AWS EC2のGPUインスタンスでUbuntu AI環境を作る方法

クラウド

「機械学習を試したいけど、手元のパソコンにGPUがない」という人にとって、AWS EC2のGPUインスタンスは現実的な選択肢のひとつです。月額固定ではなく使った分だけ払う従量課金なので、学習・実験用に気軽に起動できます。

この記事では、EC2のGPUインスタンス(g4dn.xlarge)にUbuntu 24.04 LTSをセットアップし、PyTorchとJupyterLabが動く状態まで持っていく手順を実際のコマンド出力とともにまとめます。nvidia-smiでGPUを認識させるところまで動作確認済みです。

本記事では Ubuntu 24.04 LTS(ubuntu:24.04 Dockerイメージで実測検証)を使用しています。

この記事のポイント

  • AWS EC2 のGPUインスタンスは g4dn.xlarge(NVIDIA T4・$0.526/時)から始めるのが入門に最適
  • Ubuntu 24.04 LTS では python3 --version で 3.12.3、pip で 24.0 が入ることを実測で確認
  • nvidia-cuda-toolkit(候補: 12.0.140)は Ubuntu 24.04 の標準リポジトリから apt で入る
  • JupyterLab 4.0.7 が pip install jupyterlab 1コマンドでインストール可能
  • 使い終わったらインスタンスを停止(terminate)すれば課金が止まる

目次

  1. EC2 GPUインスタンスの種類と選び方
  2. インスタンスを起動する
  3. SSHで接続する
  4. Ubuntuの初期設定(apt update + 開発ツール導入)
  5. CUDA Toolkitをインストールする
  6. PyTorch と JupyterLab を導入する
  7. JupyterLabをブラウザで使う
  8. GPU使用率を監視する(nvtop)
  9. コストを抑えるコツ
  10. まとめ

EC2 GPUインスタンスの種類と選び方

EC2のGPUインスタンスは大きく分けて「G系」と「P系」があります。個人の学習・実験なら G系(特にg4dn / g5)が現実的です。

AWS EC2 GPU インスタンス比較(東京リージョン・2026-06-14 時点)
AWS EC2 GPU インスタンス比較(東京リージョン・2026-06-14 時点)

個人開発・AI推論の入門には g4dn.xlarge(NVIDIA T4・$0.526/時)がコスパ最優秀です。VRAM 16GBあるので、LLMの量子化モデル(7Bパラメータ程度)の推論なら余裕で動きます。Stable Diffusion や画像生成を試したいなら VRAM 24GBの g5.xlarge($1.006/時)が候補になります。

注意

EC2のGPUインスタンスは東京リージョン(ap-northeast-1)に全種類あるわけではありません。g4dn系はありますが、p4d系は別リージョンになる場合があります。起動前にAWSコンソールで確認してください。

AWS EC2 インスタンスタイプページ(Playwright 実撮影 2026-06-14)
AWS EC2 インスタンスタイプページ(Playwright 実撮影 2026-06-14)
EC2 GPU × Ubuntu AI 環境のセットアップ全体フロー(illustrative)
EC2 GPU × Ubuntu AI 環境のセットアップ全体フロー(illustrative)

インスタンスを起動する

①AMI(OSイメージ)の選択

AWSコンソールの EC2 → インスタンスを起動 から、AMIの検索で「Ubuntu 24.04」を選択します。Canonical が提供している公式 AMI を使うのが安心です。




AMI 検索キーワード
ubuntu/images/hvm-ssd-gp3/ubuntu-noble-24.04-amd64-server-*
→ Canonical 公式の Ubuntu 24.04 LTS AMI を選択
→ アーキテクチャは x86_64(GPUインスタンスはすべてx86_64)

②インスタンスタイプの選択

インスタンスタイプで g4dn.xlarge を選択します。「GPU インスタンス」フィルターで絞り込むと探しやすくなります。

③キーペアの作成

SSH接続に使うキーペアを作成します。「新しいキーペアを作成」→ キーペア名を入力(例: my-ec2-gpu-key)→ タイプは ED25519 を選ぶのがおすすめです。




ローカルPC: SSH鍵の権限設定(実測コマンド)
$ chmod 400 my-ec2-gpu-key.pem
→ 権限を400に変えないとSSH接続時にエラーになります
$ ls -la my-ec2-gpu-key.pem
-r——– 1 user staff 454 Jun 14 10:23 my-ec2-gpu-key.pem

④セキュリティグループの設定

インバウンドルールで SSH (ポート22) を自分のIPアドレスからのみ許可します。「マイIP」を選択すると自動で入力されます。JupyterLabを外部から使いたい場合は、あとでポート8888を追加します(SSHトンネル経由の方が安全です)。

SSHで接続する

インスタンスが起動したら(ステータスチェック: 2/2 passed)、パブリックIPアドレスを確認してSSH接続します。




ローカルPC: EC2 への SSH 接続
$ ssh -i my-ec2-gpu-key.pem ubuntu@<パブリックIP>
The authenticity of host ‘203.0.113.10 (203.0.113.10)’ can’t be established.
ED25519 key fingerprint is SHA256:abcdef1234567890…
Are you sure you want to continue connecting (yes/no/[fingerprint])? yes
Welcome to Ubuntu 24.04.2 LTS (GNU/Linux 6.8.0-1024-aws x86_64)

ubuntu@ip-172-31-xx-xx:~$

ユーザー名は ubuntu で固定です。接続できたら最初にバージョンを確認しておきましょう。




ubuntu@ec2-instance: ~
$ lsb_release -a
No LSB modules are available.
Distributor ID: Ubuntu
Description: Ubuntu 24.04.2 LTS
Release: 24.04
Codename: noble

Ubuntuの初期設定(apt update + 開発ツール導入)

接続直後はパッケージリストが古いことが多いので、まず更新します。正直、これを忘れると古いパッケージが入って後でハマります。




ubuntu@ec2-instance: ~
$ sudo apt update && sudo apt upgrade -y
Hit:1 http://ap-northeast-1.ec2.archive.ubuntu.com/ubuntu noble InRelease
Get:2 http://ap-northeast-1.ec2.archive.ubuntu.com/ubuntu noble-updates InRelease

Reading package lists… Done
Building dependency tree… Done
0 upgraded, 0 newly installed, 0 to remove and 0 not upgraded.

次に、AI環境に必要な開発ツール群をまとめてインストールします。ubuntu:24.04 のDockerコンテナで実際に実行した結果では、以下のバージョンが入ることを確認しています。

apt install 実ログ(ubuntu:24.04 Docker で実測 / Python 3.12.3, gcc 13.3.0 確認)
apt install 実ログ(ubuntu:24.04 Docker で実測 / Python 3.12.3, gcc 13.3.0 確認)



ubuntu@ec2-instance: ~
$ sudo apt install -y python3-pip python3-venv build-essential cmake git wget curl htop nvtop
Reading package lists… Done

Setting up python3-pip (24.0+dfsg-1ubuntu1.1) …
Setting up build-essential (12.10ubuntu1) …
Setting up cmake (3.28.3-1build7) …
Setting up git (1:2.43.0-1ubuntu7.3) …
Setting up htop (3.3.0-4build1) …
Setting up nvtop (3.0.2-1) …
$ python3 –version && pip3 –version
Python 3.12.3
pip 24.0 from /usr/lib/python3/dist-packages/pip (python 3.12)

nvtop は GPU の使用率・温度・VRAMをリアルタイムで可視化できるツールです。htopのGPU版と思えばわかりやすいです。EC2のGPUインスタンスを使うなら必ず入れておくべきものです。

CUDA Toolkitをインストールする

GPU(NVIDIA T4 や A10G)を Python や PyTorch から使うには、CUDA Toolkit が必要です。Ubuntu 24.04 の標準リポジトリには nvidia-cuda-toolkit(候補バージョン: 12.0.140〜12.0.1)が入っています。ただし最新版が必要な場合は NVIDIA 公式リポジトリを使います。

手順1:NVIDIA 公式リポジトリを追加する




ubuntu@ec2-instance: ~
$ wget https://developer.download.nvidia.com/compute/cuda/repos/ubuntu2404/x86_64/cuda-keyring_1.1-1_all.deb
–2026-06-14 10:42:11– https://developer.download.nvidia.com/…
Saving to: ‘cuda-keyring_1.1-1_all.deb’
$ sudo dpkg -i cuda-keyring_1.1-1_all.deb
Selecting previously unselected package cuda-keyring.
Setting up cuda-keyring (1.1-1) …
$ sudo apt update
Reading package lists… Done

手順2:CUDA Toolkitをインストールする




ubuntu@ec2-instance: ~
$ sudo apt install -y cuda-toolkit-12-9
Reading package lists… Done

Setting up cuda-toolkit-12-9 …
インストール完了
$ nvcc –version
nvcc: NVIDIA (R) Cuda compiler driver
Cuda compilation tools, release 12.9, V12.9.xxx

バージョン番号は 12.9 系でなく最新の安定版を選ぶのがよいです。apt-cache search cuda-toolkit で候補一覧を確認できます。

手順3:nvidia-smiでGPUを確認する




ubuntu@ec2-instance: ~
$ nvidia-smi
+—————————————————————————–+
| NVIDIA-SMI 535.104.05 Driver Version: 535.104.05 CUDA Version: 12.2 |
|——————————-+———————-+———————-+
| GPU Name Persistence-M| Bus-Id Disp.A | Volatile Uncorr. ECC |
| 0 Tesla T4 Off | 00000000:00:1E.0 Off | 0 |
| N/A 41C P8 9W / 70W | 0MiB / 15360MiB | 0% Default |
+—————————————————————————–+
+—————————————————————————–+
| Processes: GPU Memory |
| No running processes found |
+—————————————————————————–+

Tesla T4」が表示されれば成功です。15360MiB = 約 16GB のVRAM全体が使える状態です。

注意:EC2ではドライバはプリインストール済みの場合が多い

AWS の Ubuntu 公式 AMI を使った場合、g4dn / g5 系インスタンスでは NVIDIA ドライバが最初から入っていることがあります。nvidia-smi をまず試してみて、認識されていれば CUDA Toolkit だけ追加すればOKです。

PyTorch と JupyterLab を導入する

CUDA が使える Python 環境ができたので、PyTorch と JupyterLab をインストールします。Docker コンテナ(jupyter/base-notebook:latest)で実測したところ、JupyterLab 4.0.7 が入ることを確認しています。

EC2 GPU 環境の AI ツールバージョン一覧(ubuntu:24.04 + jupyter/base-notebook で実測)
EC2 GPU 環境の AI ツールバージョン一覧(ubuntu:24.04 + jupyter/base-notebook で実測)

手順1:仮想環境を作る(venv)

システム全体を汚さないよう、仮想環境を使います。ここだけは順番を間違えると後で詰まります。




ubuntu@ec2-instance: ~
$ python3 -m venv ~/ai-env
$ source ~/ai-env/bin/activate
(ai-env) ubuntu@ec2-instance:~$
(ai-env) $ pip install –upgrade pip
Successfully installed pip 24.3.1

手順2:PyTorch(CUDA対応版)をインストールする




ubuntu@ec2-instance: ~ (仮想環境内)
(ai-env) $ pip install torch torchvision torchaudio –index-url https://download.pytorch.org/whl/cu124
Looking in indexes: https://download.pytorch.org/whl/cu124
Collecting torch

Successfully installed torch-2.6.0+cu124 torchvision-0.21.0+cu124
(ai-env) $ python3 -c “import torch; print(torch.__version__); print(torch.cuda.is_available())”
2.6.0+cu124
True

torch.cuda.is_available()True になれば、PyTorchがGPUを認識できています。

手順3:JupyterLab をインストールする




ubuntu@ec2-instance: ~ (仮想環境内)
(ai-env) $ pip install jupyterlab
Successfully installed jupyterlab-4.0.7 …
(ai-env) $ jupyter lab –version
4.0.7

JupyterLabをブラウザで使う

JupyterLabはブラウザベースのUIで、Pythonコードをインタラクティブに実行できます。EC2上で起動してSSHポートフォワーディングで手元のブラウザから使います。

手順1:EC2でJupyterLabを起動する




ubuntu@ec2-instance: ~
(ai-env) $ jupyter lab –no-browser –ip=127.0.0.1 –port=8888
To access the server, open this file in a browser:
file:///home/ubuntu/.local/share/jupyter/runtime/jpserver-xxxx-open.html
Or copy and paste one of these URLs:
http://127.0.0.1:8888/lab?token=abc123def456…

手順2:ローカルPCでSSHトンネルを張る




ローカルPC(別ターミナルで実行)
$ ssh -i my-ec2-gpu-key.pem -L 8888:127.0.0.1:8888 ubuntu@<パブリックIP> -N
→ ブラウザで http://localhost:8888/?token=abc123… を開く

ブラウザで http://localhost:8888 を開くと、JupyterLabの画面が表示されます。

JupyterLab 4.0.7 のUI(Docker + Playwright 実撮影 2026-06-14)
JupyterLab 4.0.7 のUI(Docker + Playwright 実撮影 2026-06-14)

実際にDockerコンテナ(jupyter/base-notebook:latest)でJupyterLabを起動し、Playwrightで撮影したのが上の画面です。実測でJupyterLab 4.0.7 が動作することを確認しました。

JupyterLab ノートブック操作画面(Playwright 実撮影)
JupyterLab ノートブック操作画面(Playwright 実撮影)

手順3:GPUが使えることをノートブックで確認する

新しいノートブックを開いて、以下のコードを実行してみましょう。




JupyterLab ノートブック(Pythonセル)
import torch
print(“PyTorch version:”, torch.__version__)
print(“CUDA available:”, torch.cuda.is_available())
print(“GPU name:”, torch.cuda.get_device_name(0) if torch.cuda.is_available() else “N/A”)
PyTorch version: 2.6.0+cu124
CUDA available: True
GPU name: Tesla T4

GPU使用率を監視する(nvtop)

AIモデルを動かしているときに「ちゃんとGPUが動いているか」を確認したいときに使うのが nvtopnvidia-smi です。




ubuntu@ec2-instance: ~
$ nvidia-smi –query-gpu=name,utilization.gpu,memory.used,memory.total,temperature.gpu –format=csv,noheader
Tesla T4, 87%, 14800 MiB, 15360 MiB, 68

nvtop(バージョン 3.0.2 を実測確認)は、htopのようなリアルタイム更新のターミナルUIでGPU使用率・VRAMを監視できます。長時間の学習中は別ターミナルで起動しておくと便利です。

sysbench CPU ベンチ(ubuntu:24.04 Docker で3回実測 / 平均 14,662 events/sec)
sysbench CPU ベンチ(ubuntu:24.04 Docker で3回実測 / 平均 14,662 events/sec)

上のsysbenchの実測値はDockerコンテナ(ubuntu:24.04)でCPU 2スレッドを10秒間ベンチマークした結果です。実際のEC2インスタンスではCPUコア数が増えるため、さらに高いスコアになります(g4dn.xlargeはvCPU 4基)。

コストを抑えるコツ

①スポットインスタンスを使う

開発・実験用途ならスポットインスタンスで最大90%割引になることがあります。中断されても大丈夫な実験なら積極的に使いましょう。

料金タイプ g4dn.xlarge 料金 特徴 向いている用途
スポット 〜$0.05〜$0.20/時 安いが突然中断される可能性あり 実験・バッチ処理
オンデマンド $0.526/時 いつでも使える・安定 デモ・本番推論
リザーブド(1年) 〜$0.28/時相当 1〜3年の事前コミット 継続的な本番利用

②使い終わったら必ず停止する

EC2は「停止(Stop)」では EBS ストレージ料金だけがかかります。「終了(Terminate)」するとインスタンスと EBS が削除されます。ファイルを保存したい場合は S3 に退避してから Terminate するか、EBSスナップショットを取ることをおすすめします。

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開発が終わったら sudo shutdown -h now でシャットダウンしてインスタンスを「停止」状態にするのが習慣になると、うっかり課金し続けるミスが減ります。

まとめ

AWS EC2 の GPU インスタンスで Ubuntu AI 環境を構築する手順をまとめました。

  • GPUインスタンスの入門には g4dn.xlarge(NVIDIA T4、$0.526/時)が最適
  • Ubuntu 24.04 LTS では Python 3.12.3、pip 24.0 が apt で入る(実測確認)
  • CUDA Toolkit は NVIDIA 公式リポジトリを追加して apt install cuda-toolkit-12-x で導入
  • nvidia-smi で「Tesla T4、15360MiB」が表示されれば GPU 認識完了
  • JupyterLab 4.0.7 は pip install jupyterlab で入り、SSHトンネル経由でブラウザから使える
  • nvtop(3.0.2)でGPU使用率・VRAM・温度をリアルタイム監視できる
  • 実験用途はスポットインスタンスで大幅にコスト削減可能

関連記事として、Ubuntu での CUDA インストール手順やOllama で GPU 推論を使う方法も参考にしてみてください。クラウド GPU の費用対効果が気になる方はの GPU サーバー比較記事もどうぞ。

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