「VPSよりも本格的にやるなら、まずはAWSやGCPの無料枠かな……でも結局どこが一番安いの?」と迷っていませんか。クラウドのUbuntuサーバーは各社プランが多すぎて、料金を横並びで比べるだけでも一苦労です。
そこでこの記事では、AWS・GCP・Azure・Oracle Cloudの4社について、各社の公式料金API・公式料金ページから実際にUbuntuサーバーの料金を取得し、さらに日本から各リージョンへのping遅延も実際に計測して比較しました。数字はすべて2026年6月15日に取得した実データです。
この記事のポイント
- AWS・Azure・Oracleは公式料金APIで実際にUbuntuサーバー料金を取得して比較しました(2026年6月15日時点)
- 有料最安はAWS
t4g.micro(Arm・月$7.88)。無料ならOracle Cloud Always Free枠(4OCPU/24GB永久無料)が圧倒的 - 東京/東日本リージョンへのping遅延を実測。GCP(7.49ms)・Azure(8.17ms)・AWS東京(8.51ms)はほぼ横並びで全社速い
- Ubuntu 24.04.4 LTS(Noble Numbat)はAWS・GCP・Azure・Oracle Cloudいずれでも公式サポート済み
- 用途別(学習・個人サイト・本番運用)の選び方をまとめました
注意
料金はすべて2026年6月15日時点のオンデマンド(従量課金)料金です。月額は「時間単価×730時間」で換算しています。為替レートの変動・ストレージ費用・転送費用は含まれません。GCPのみ機械可読なAPIが公開されていないため、公式料金ページのlist価格を参照しています。最新情報は各社公式ページでご確認ください。
比較の前提条件
この記事では、以下の条件で各クラウドサービスを比較しています。
- リージョン:東京(AWS: ap-northeast-1 / GCP: asia-northeast1 / Azure: Japan East / Oracle: ap-tokyo-1)
- OS:Ubuntu 22.04 LTS または Ubuntu 24.04 LTS(4社すべて対応)
- 料金タイプ:オンデマンド(従量課金。スポット・低優先度は除く)
- 取得日:2026年6月15日
料金データの取得元は、AWSが料金メータJSON(b0.p.awsstatic.com・公式料金ページが内部で使うデータ)、AzureがRetail Prices API(prices.azure.com)、Oracle CloudがOCI Pricing API(apexapps.oracle.com)です。GCPはAPIキーなしで機械可読な単価を返さないため、公式料金ページ(cloud.google.com)のlist価格を参照しています。
まずは、各社共通の前提となるUbuntu環境を実際に確認しておきます。下記はUbuntu 24.04の公式Dockerイメージで実行した出力です。
VERSION=”24.04.4 LTS (Noble Numbat)”
VERSION_CODENAME=noble
$ ssh -V
OpenSSH_9.6p1 Ubuntu-3ubuntu13.16, OpenSSL 3.0.13 30 Jan 2024
$ uname -srm
Linux 5.10.76-linuxkit aarch64
Ubuntu 24.04.4 LTS(Noble Numbat)に、OpenSSH 9.6p1が標準で入っているのが確認できます。AWS・GCP・Azure・Oracle Cloudのどのインスタンスでも、同じ/etc/os-releaseの内容を持つUbuntu 24.04が使えます。OS自体に差はありません。

AWS(Amazon EC2)東京リージョンの料金
AWSは国内最多ユーザーを誇るクラウドサービスです。Ubuntu向けにはt3系(x86-64)と、より安価なt4g系(Arm Graviton)の2系統があります。下記は料金メータJSONから実際に取得した、東京リージョン・Linux・オンデマンドの料金です。
主要インスタンス料金(ap-northeast-1・Linux オンデマンド・API実測)
| インスタンス | vCPU | RAM | 月額(USD) | 時間単価 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
t4g.nano |
2 | 0.5 GB | $3.94 | $0.0054/hr | Arm・最小プラン |
t4g.micro |
2 | 1 GB | $7.88 | $0.0108/hr | Arm・有料最安クラス・無料枠対象 |
t3.micro |
2 | 1 GB | $9.93 | $0.0136/hr | x86・無料枠対象(12か月) |
t4g.small |
2 | 2 GB | $15.77 | $0.0216/hr | Arm・小規模サーバー向け |
t3.small |
2 | 2 GB | $19.86 | $0.0272/hr | x86・小規模向け |
t4g.medium |
2 | 4 GB | $31.54 | $0.0432/hr | Arm・中規模アプリ向け |
t3.medium |
2 | 4 GB | $39.71 | $0.0544/hr | x86・バースト型・汎用 |
t3.large |
2 | 8 GB | $79.42 | $0.1088/hr | x86・中規模本番向け |
AWSには新規アカウント登録後12か月間の無料枠があります。t2.microまたはt3.microを月750時間まで無料で使えます。初めてクラウドを触るなら、まずAWSの無料枠から始めるのが定番です。

GCP(Google Compute Engine)東京リージョンの料金
GCPのCompute Engine(VM)はコスト効率が高いことで知られています。特にe2系(共有vCPU)は1GB級の最安クラスのプランを提供しています。
GCP料金についての注意
GCPはAWS・Azure・OracleのようにAPIキーなしで料金単価を返すエンドポイントを公開していません。そのため本記事のGCP料金は公式料金ページのlist価格(米国基準)を参照した参考値です。東京(asia-northeast1)リージョンでは別途リージョン料金が加算されるため、実際の請求額は下記より高くなる場合があります。
主要インスタンス料金(asia-northeast1・公式list価格参照)
| インスタンス | vCPU | RAM | 月額(list参考) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
e2-micro |
2(共有) | 1 GB | $6.12 | 最安クラス。北米は常時無料枠あり |
e2-small |
2(共有) | 2 GB | $12.23 | 小規模サーバー・ブログ向け |
e2-medium |
2(共有) | 4 GB | $24.46 | 個人サービス・API向け |
e2-standard-2 |
2 | 8 GB | $48.92 | 専有vCPU。中規模向け |
GCPのe2-microは、北米(us-central1 / us-east1 / us-west1)リージョンに限り月730時間(ほぼ常時)無料です。東京リージョンには無料枠はありませんが、list価格ベースでは1GBプランの中で最安クラスにあたります。後述するping実測でも東京エンドポイントへの遅延が最速(7.49ms)でした。
注意:GCP e2の「共有vCPU」とは
e2-micro・e2-small・e2-mediumのvCPUは「共有(shared)」と呼ばれ、物理コアを他のテナントと共有します。CPU使用率が高い状況では性能が上下します。安定した専有CPUが必要ならe2-standard以上、またはn2シリーズを選びましょう。

Azure(仮想マシン)東日本リージョンの料金
Azureは企業向け機能が充実しており、Visual Studio / GitHub / Active Directoryとの連携が得意です。個人開発者にとっては他の3社と比べてやや高めの料金体系ですが、Microsoftのエコシステムを使う方には相性が良いです。下記はRetail Prices APIから実際に取得した、東日本(Japan East)・Linux・オンデマンドの料金です。
主要VMサイズ料金(Japan East・Linux・Retail Prices API実測)
| VMサイズ | vCPU | RAM | 月額(USD) | 時間単価 | シリーズ |
|---|---|---|---|---|---|
Standard_B1s |
1 | 1 GB | $9.93 | $0.0136/hr | B系(バースト) |
Standard_B2s |
2 | 4 GB | $39.71 | $0.0544/hr | B系(バースト) |
Standard_F2s_v2 |
2 | 4 GB | $78.11 | $0.107/hr | F系(CPUオプティマイズ) |
Standard_D2as_v5 |
2 | 8 GB | $81.76 | $0.112/hr | Dv5(AMD・汎用) |
Standard_D2s_v3 |
2 | 8 GB | $94.17 | $0.129/hr | Dv3(汎用) |
Standard_D4as_v5 |
4 | 16 GB | $163.52 | $0.224/hr | Dv5(AMD・汎用) |

Oracle Cloud(OCI)東京リージョンの料金
Oracle Cloudは他の3社と大きく異なるポイントがあります。それは「Always Free(永久無料枠)」が圧倒的に太いことです。実際、今回OCI Pricing APIを叩いたところ、Arm Ampere A1のOCPU単価・メモリ単価がいずれも$0で返ってきました。
Always Free 枠(永久無料)
Oracle Cloud Always Free の主な内容
- VM.Standard.A1.Flex(Arm Ampere A1):4 OCPU / 24 GB RAM まで永久無料(月3,000 OCPU時間・18,000 GB RAM時間)
- ブロックストレージ:200 GB 永久無料
- オブジェクトストレージ:20 GB 永久無料
- アウトバウンド転送:10 TB/月 永久無料
- 東京(ap-tokyo-1)リージョン含む全リージョンで利用可能
4 OCPUはLinuxサーバーとして十分すぎるほどのスペックです。正直、個人の学習・ポートフォリオ・小規模WebサービスであればOracle Cloudの無料枠だけで完結するケースがほとんどです。
有料プランの料金体系(OCI Pricing API 実測)
x86ベースのシェイプ(VM.Standard.E4.Flex / E5.Flex)を使う場合の料金です。OCIはOCPU(物理コアの2スレッド相当)単価+メモリGB単価の組み合わせで課金されます。APIから取得した実単価は、E4がOCPU $0.025/hr・メモリ $0.0015/GB/hr、E5がOCPU $0.03/hr・メモリ $0.002/GB/hr でした。
| シェイプ | OCPU / RAM | 月額(USD) | 備考 |
|---|---|---|---|
VM.Standard.A1.Flex (4OCPU/24GB) |
4 OCPU / 24 GB | $0(永久無料) | Always Free 枠内。API単価も$0 |
VM.Standard.E4.Flex (1OCPU/6GB) |
1 OCPU / 6 GB | $24.82/月 | x86(AMD EPYC)・フレキシブル |
VM.Standard.E4.Flex (2OCPU/16GB) |
2 OCPU / 16 GB | $54.02/月 | x86・中規模向け |
VM.Standard.E5.Flex (2OCPU/16GB) |
2 OCPU / 16 GB | $67.16/月 | 最新世代AMD・高性能 |
たとえばE4.Flexで1OCPU/6GBなら、$0.025×1+$0.0015×6=$0.034/hr。これを730時間で換算すると$24.82/月になります。AWSやGCPの同等プランと比べると有料プランはやや高めですが、無料枠の充実度は他の追随を許しません。
4社の料金を直接比較する
取得したデータをもとに、4社の1GB級・最小プランを横並びで比較してみましょう。

有料プランで見ると、最安はAWS t4g.microの$7.88/月。続いてGCP e2-micro(list参考$6.12だが東京は加算あり)、AWS t3.micro・Azure B1sがともに$9.93/月と並びます。そしてOracle Cloud Always Freeの$0が、料金比較という土俵そのものをひっくり返す存在になっています。

東京/東日本リージョンへの遅延(ping実測)
料金だけでなく、日本からのレイテンシ(ping遅延)も重要な選択基準です。自宅回線から各クラウドの東京/東日本のパブリックエンドポイントへping -c 10を実行した結果が以下です。

| クラウド | エンドポイント | avg ping | min | max |
|---|---|---|---|---|
| GCP 東京 | storage.googleapis.com |
7.49 ms | 6.53 ms | 8.82 ms |
| Azure 東日本 | management.azure.com |
8.17 ms | 6.45 ms | 10.92 ms |
| AWS 東京 | ec2.ap-northeast-1.amazonaws.com |
8.51 ms | 7.02 ms | 11.02 ms |
| Oracle Cloud 東京 | objectstorage.ap-tokyo-1.oraclecloud.com |
8.82 ms | 6.99 ms | 12.81 ms |
| AWS 大阪 | ec2.ap-northeast-3.amazonaws.com |
14.57 ms | 13.68 ms | 16.03 ms |
用途別のおすすめクラウド

①学習・実験目的(とにかく無料で試したい)
Oracle Cloud Always Free 一択です。4 OCPU / 24 GB RAMが永久無料というのは破格のスペックです。Ubuntu 24.04を入れて、Dockerやwebサーバーを動かして学ぶには十分すぎます。
ただし注意点があります。Always Free枠のインスタンス作成は「空きリソース状況」に依存しており、混雑時は作成できないことがあります。A1.Flex(Arm)は比較的作成しやすい傾向があります。
②個人サイト・ブログを立てたい
GCP e2-micro または AWS t4g.micro が候補です。GCP e2-microはlist価格では最安クラスで、ping遅延も実測7.49msと最速。AWS t4g.microは東京で確実に$7.88/月と分かっており、Armながら1GB RAMでNginxやApache、軽量WordPressを動かすには十分です。
GCPアカウント新規作成時は$300分のクレジット(90日間有効)が付与されます。まずこのクレジットで試して、継続利用するか判断するのもよいでしょう。
③VPSの練習・SSH入門(AWS無料枠)
AWSには12か月間の無料枠(t2.micro / t3.micro・月750時間)があります。学習用に最初の1年間タダで使えるのはありがたいです。AWSはドキュメントが最も充実しており、日本語の参考記事も豊富。初めてVPSに触れる方にはAWSが最もサポートリソースが揃っています。
④Webアプリの本番運用(業務レベル)
AWS・GCPいずれも選択肢ですが、マネージドサービスとの組み合わせが重要です。AWS RDS(データベース)・ALB(ロードバランサー)・CloudFront(CDN)の組み合わせはエコシステムが成熟しています。GCPはCloud SQL・Cloud Run・Firebaseとの組み合わせが強いです。
Azureは企業のActive Directory(社内認証)との連携や、GitHub Actions / Azure DevOpsとのCI/CDパイプラインが得意です。
4社の違いをまとめると
クラウド4社 比較まとめ
- AWS:12か月無料枠・ドキュメント豊富・エコシステム最強。t4g(Arm)の$7.88/月が有料最安クラス
- GCP:list価格では1GB級が最安クラス。e2-microは北米リージョンで常時無料枠あり。ping遅延も実測最速(7.49ms)
- Azure:企業・DevOps・GitHub連携が強い。B1sは$9.93/月だが個人用途では全体的に料金がやや高め
- Oracle Cloud:Always Free(4OCPU/24GBを永久無料)が飛び抜けて充実。APIでもA1単価が$0。学習・個人サービスに最適
- 東京リージョンへのping遅延はGCP・Azure・AWS東京・Oracleがいずれも7〜9msでほぼ横並び。全社とも日本では十分速い
まとめ
今回はAWS・GCP・Azure・Oracle Cloudの4社で、Ubuntuサーバーの料金と遅延を実際のAPI・公式ページ・pingで比較しました。
結論として、「とにかく無料で試したいならOracle Cloud Always Free」「有料の安さで選ぶならAWS t4g.micro」「ドキュメントの豊富さでAWS」「企業連携ならAzure」という使い分けが現実的です。遅延については東京リージョンならどこを選んでもほぼ同じ(7〜9ms)でした。
どのサービスもUbuntu 24.04 LTS(Noble Numbat)を正式サポートしており、cat /etc/os-releaseで確認できる環境に差はありません。料金・機能・サポートのバランスで自分に合ったサービスを選んでみてください。
VPSとクラウドの違い・選び方については、で詳しく解説しています。



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