この記事のポイント
- Lambda Labs(現 Lambda)は H100 / H200 / B200 を提供する ML 専用クラウド GPU サービスで、CUDA 環境がプリセットされた Ubuntu インスタンスを起動できます(公式トップページを実取得して GPU 名を確認)
- 使い始める流れは「SSH 鍵を生成 → 公開鍵を登録 → インスタンス起動 →
ssh ubuntu@[IP]」の4ステップ - ローカル側の準備(鍵生成・Python 環境)は Ubuntu 24.04 で実測:
ssh-keygen -t ed25519、Python 3.12.3 / pip 24.0、pip install torchでPyTorch 2.12.0 が入ることを確認 - 日本からの ping は Lambda が平均 9.11 ms、RunPod 12.11 ms、AWS 52.14 ms(実測)。Lambda・RunPod は応答が速く、用途で使い分けるのが現実的です
「GPU を使って機械学習のトレーニングをしたいけれど、手元に GPU がない……」というとき、クラウド GPU は最有力の選択肢です。
なかでも Lambda Labs(現在は Lambda に改称)は、H100 や最新の B200 といった本格的な GPU をML 専用環境として提供するサービスで、CUDA ドライバや深層学習フレームワークがセットアップ済みの状態でインスタンスを起動できます。
本記事では、ローカルの Ubuntu から Lambda の GPU クラウドを使い始めるまでを解説します。SSH 鍵の生成、Python / PyTorch のインストール、CUDA 関連 apt パッケージ、他社とのレイテンシ比較を実際に Ubuntu 24.04 の Docker コンテナで動かして取得した一次データをもとに紹介します(検証日:2026-06-14)。GPU インスタンス内部の挙動(nvidia-smi など)は契約後に確認する性質のものなので、その部分は「接続後にこう表示される」という形で例示します。

Lambda Labs(Lambda)とは
Lambda Labs は米国カリフォルニア州を拠点とする AI インフラ企業です。GPU クラウド、GPU サーバーのハードウェア販売、そして大規模クラスター(AI ファクトリー)を提供しています。2026年6月時点では Lambda に改称しており、公式サイトは lambdalabs.com、クラウドのコンソールは cloud.lambda.ai で利用できます。
実際に公式トップページ(lambdalabs.com)を Playwright で開くと、「The Superintelligence Cloud」というキャッチコピーと LAUNCH GPU INSTANCE/TALK TO OUR TEAM のボタン、上部に AI FACTORIES / PRODUCTS / PRICING / COMPANY のメニューが並んでいました。Lambda の特徴は、汎用 VPS と違って起動直後から NVIDIA CUDA がセットアップ済みの Ubuntu インスタンスが使える点です。
①提供している GPU の種類
2026年6月14日時点で公式トップページの HTML を requests で実取得し、本文に含まれる GPU 名を機械的に確認したところ、以下が検出できました。
- NVIDIA H100:Hopper アーキテクチャのフラッグシップ。大規模言語モデルの学習・推論の定番
- NVIDIA H200:H100 の後継。HBM3e メモリ搭載で推論スループットが向上
- NVIDIA B200:Blackwell アーキテクチャ。Lambda が AI ファクトリーとして展開する最新世代
料金について
Lambda の時間単価はダッシュボードへのログイン後に表示されます。今回 lambdalabs.com の公開ページを取得した範囲では具体的な $x/hr の表記は取得できませんでした(GPU 名は確認できる一方、価格は要ログイン)。正確な金額はアカウント作成後にご確認ください。
②他 GPU クラウドとの比較
RunPod・Vast.ai の公開ページも同じ方法で実取得し、さらに各社ドメインへ ping を打って比較しました。結果が次の図です。

RunPod の料金ページ(runpod.io/pricing)は HTTP 200 で、H100 / H200 / B200 / A100 など多数の GPU 名と $0.34/hr〜$1.99/hr といった時間単価の表記を取得できました。Vast.ai も HTTP 200 でしたが、価格はマーケットプレイス型のため変動します。Lambda が他社と異なるのは CUDA 環境がプリインストールされている点で、「まず動かし始めるまでの摩擦が小さい」ことが学習・研究目的では効いてきます。

アカウント作成と SSH 鍵の準備
Lambda を使うにはアカウントが必要です。公式トップの GET STARTED から無料で作成でき、ソーシャルログインにも対応しています。アカウントを作ったら、まずはローカル側で SSH 鍵を用意します。
手順1:SSH 鍵を生成する
Lambda のインスタンスへはパスワードではなく SSH 鍵で接続します(SSH=暗号化された遠隔ログインの仕組み)。ローカルの Ubuntu(または WSL)で鍵を作ります。実際に docker run --rm ubuntu:24.04 で Ubuntu 24.04 環境を起動し、鍵生成を実行した結果が以下です。

OpenSSH_9.6p1 Ubuntu-3ubuntu13.16, OpenSSL 3.0.13 30 Jan 2024
$ ssh-keygen -t ed25519 -f ~/.ssh/lambda_key -N ” -C ‘your@email.com’
Generating public/private ed25519 key pair.
Your identification has been saved in ~/.ssh/lambda_key
Your public key has been saved in ~/.ssh/lambda_key.pub
The key fingerprint is:
SHA256:0napALNFzrtaLwe79Ag+l5OiCpUj0ZEk6AHmz8cVVlU your@email.com
$ cat ~/.ssh/lambda_key.pub
ssh-ed25519 AAAAC3NzaC1lZDI1NTE5AAAAIIouFMgfYkdXnHdET5yI5Qso53PvXdzVC2jvo1Eihkhw your@email.com
Ubuntu 24.04 の OpenSSH は 9.6p1 であることを実測で確認しました。cat ~/.ssh/lambda_key.pub で表示された ssh-ed25519 AAAA... で始まる1行が公開鍵です。これをコピーしておきます。秘密鍵(~/.ssh/lambda_key)のほうは絶対に外部に出さないでください。
ed25519 vs RSA
ed25519 は鍵が短く(256bit)安全性も高いため、多くの GPU クラウドで推奨されています。特別な理由がなければ -t ed25519 を使いましょう。
手順2:公開鍵を Lambda Cloud に登録する
クラウドのコンソール(cloud.lambda.ai)にログインし、「SSH Keys」→「Add SSH Key」から先ほどの公開鍵をペーストして保存します。名前は ubuntu-local や home-pc など分かりやすいものにしておくと、後でどの端末の鍵か迷いません。
コンソールは Cloudflare 保護下にあります
今回 cloud.lambda.ai を自動アクセスしたところ、Cloudflare の「Verify you are human」チェックが表示されました。コンソールはボット保護されているため、ログインや鍵登録は実際のブラウザから手動で行ってください。
インスタンスの起動と SSH 接続
手順3:インスタンスを起動する
コンソールの「Launch Instance」から、GPU タイプ(H100、H200 など)・リージョン・容量を選んで起動します。状態が Running になれば接続可能です。
手順4:SSH で接続する
インスタンスが起動すると IP アドレスが表示されます。生成した秘密鍵を -i で指定して接続します。なお以下の接続後の表示は、Lambda の Ubuntu インスタンスで一般的に見られる例です(実機の値はドライバ世代や GPU により異なります)。
Welcome to Ubuntu 24.04 LTS (GNU/Linux x86_64)
ubuntu@[INSTANCE]:~$ nvidia-smi # ← 接続直後から GPU が見える(例)
+———————————————————————–+
| NVIDIA-SMI 5xx.xx Driver Version: 5xx.xx CUDA Version: 12.x |
| 0 NVIDIA H100 … | … | 0MiB / 81920MiB | 0% Default |
+———————————————————————–+
正直、Lambda の良さはこの nvidia-smi が接続直後から動くことです。VPS で起こりがちな「CUDA ドライバのセットアップで詰まる」という状況がありません。ここだけは順番を間違えないように——目的の GPU とリージョンを確認してから起動しましょう。
Ubuntu 上での Python / PyTorch 環境構築
Lambda のインスタンスは CUDA がプリインストール済みですが、Python の ML ライブラリは自分で入れます。ここはローカルでもインスタンスでも手順が同じなので、docker run --rm ubuntu:24.04 で実際にインストールして確認しました。
手順5:Python3 / pip の確認と PyTorch のインストール

Python 3.12.3
$ pip3 –version
pip 24.0 from /usr/lib/python3/dist-packages/pip (python 3.12)
$ python3 -m venv ~/ml_env && source ~/ml_env/bin/activate
(ml_env) $ pip install torch –index-url https://download.pytorch.org/whl/cpu
Successfully installed torch-2.12.0+cpu …
(ml_env) $ python3 -c “import torch; print(torch.__version__); print(torch.cuda.is_available())”
2.12.0+cpu
False # ← GPUなしの検証コンテナのため。GPUインスタンス上では True になる
Ubuntu 24.04 では apt から Python 3.12.3 / pip 24.0 が入ることを実測しました。今回の検証は GPU を持たない Docker コンテナ上なので、CPU 版ホイールを入れて torch.cuda.is_available() は False です。これは故障ではなく「GPU が無い/CPU 版を入れた」ことの正しい挙動です。Lambda の GPU インスタンスでは、CUDA バージョンに合わせた cu 系ホイール(例:--index-url https://download.pytorch.org/whl/cu124)を入れると True になります。
仮想環境(venv)を使う
システム全体に直接 pip で入れるより、python3 -m venv で仮想環境を作ってからインストールするのがおすすめです。Ubuntu 24.04 は外部管理(PEP 668)が厳しく、システムの Python へ直接入れようとすると externally-managed-environment で止まることがあります。
手順6:Ubuntu 24.04 の CUDA 関連 apt パッケージ
Lambda のインスタンスには CUDA が初めから入っていますが、ローカルで CUDA 開発環境を確認したい場合の参考として、apt から取得できるパッケージと候補バージョンを実測しました。

nvidia-cuda-dev – NVIDIA CUDA development files
nvidia-cuda-gdb – NVIDIA CUDA Debugger (GDB)
nvidia-cuda-toolkit – NVIDIA CUDA development toolkit
nvidia-cuda-toolkit-doc – NVIDIA CUDA and OpenCL documentation
$ apt-cache policy nvidia-cuda-toolkit | grep Candidate
Candidate: 12.0.140~12.0.1-4build4
docker run --rm ubuntu:24.04 で実行した結果です。標準リポジトリの nvidia-cuda-toolkit は 12.0.140(CUDA 12.0 系)でした。新しい CUDA 12.4 などを使いたいときは NVIDIA 公式リポジトリを追加します。ただし Lambda のインスタンスは CUDA がプリセット済みなので、通常このパッケージを自分で入れる必要はありません。
22.04 と 24.04 でここまで違う
ついでに ubuntu:22.04 と ubuntu:24.04 の両コンテナで同じコマンドを実行し、バージョン差も確認しました。学習用に古い手元環境を使っている場合は、この差で「記事どおりに動かない」ことがあるので押さえておきましょう。
| 項目 | Ubuntu 22.04 LTS | Ubuntu 24.04 LTS |
|---|---|---|
| OpenSSH | 8.9p1 | 9.6p1 |
| python3 候補 | 3.10.6 | 3.12.3 |
| python3-pip 候補 | 22.0.2 | 24.0 |
いずれも apt-cache policy の Candidate を実測した値です(2026-06-14)。Python が 3.10 → 3.12 に上がっているので、24.04 のほうが新しい PyTorch ホイールとの相性が良いです。
簡単な ML トレーニングを実行してみる
PyTorch が入ったら、GPU の動作確認として小さな学習を回してみましょう。以下は GPU インスタンス上での実行イメージです(ローカルの検証コンテナでは device が cpu になります)。
import torch, torch.nn as nn
device = “cuda” if torch.cuda.is_available() else “cpu”
print(“Using device:”, device)
X = torch.rand(1000, 10).to(device)
y = torch.rand(1000, 1).to(device)
model = nn.Linear(10, 1).to(device)
opt = torch.optim.SGD(model.parameters(), lr=0.01)
for _ in range(100):
loss = nn.MSELoss()(model(X), y)
opt.zero_grad(); loss.backward(); opt.step()
print(“Loss:”, round(loss.item(), 4))
EOF
Using device: cuda
Loss: 0.08xx
Using device: cuda と表示されれば、テンソルが GPU 上に載って計算されています。まずこの数行で「GPU が確かに使えている」ことを確認してから、本番の学習スクリプトに進むと安心です。
Lambda と他プロバイダのレイテンシ比較
日本国内の一般回線から各プロバイダのドメインへ ping -c 5 で実際に計測しました(2026-06-14)。

Lambda(lambdalabs.com)への ping は平均 9.11 ms(min 7.72/max 11.27/stddev 1.21、ロス0%)と非常に安定していました。RunPod(runpod.io)は平均 12.11 ms、AWS(aws.amazon.com)は平均 52.14 ms。Vast.ai(console.vast.ai)は ICMP に応答せずパケットロス100%で計測できませんでした。
この ping はあくまで「玄関」までの遅延です
計測したのは各社のWebサイトのドメインであってGPUインスタンス本体ではありません。実際の SSH 接続遅延は、インスタンスを置いたデータセンターのリージョンに依存します。ダッシュボードでは必ずリージョンを確認してから起動しましょう。
よくあるエラーと解決策
「Permission denied (publickey)」が出る
SSH 接続時にこのエラーが出る場合、多くは鍵の不一致です。-i で秘密鍵を明示し、-v でどの鍵が試されているかを確認します。
debug1: Offering public key: ~/.ssh/lambda_key ED25519 SHA256:0napALNFzrt…
debug1: Server accepts key: ~/.ssh/lambda_key ED25519 SHA256:0napALNFzrt…
- 登録した公開鍵と
-iで指定した秘密鍵が対になっていない → 秘密鍵のパスを確認する - インスタンス起動時に選んだ鍵と違う鍵で接続している → コンソールの「SSH Keys」を見直す
「CUDA out of memory」が出る
GPU のメモリ不足です。バッチサイズを小さくするか、torch.cuda.empty_cache() で不要なテンソルを解放します。H100(80GB VRAM)クラスなら通常の学習では問題になりにくいですが、複数モデルを同時に載せるときは注意です。
externally-managed-environment で pip が止まる
Ubuntu 24.04 でシステムの Python へ直接 pip install しようとすると、このエラーで止まることがあります。手順5のように python3 -m venv で仮想環境を作り、その中でインストールするのが正攻法です。
まとめ
- Lambda(旧 Lambda Labs)は H100 / H200 / B200 を提供する ML 専用クラウド GPU。公式トップは「The Superintelligence Cloud」で、コンソールは cloud.lambda.ai
- SSH 鍵は
ssh-keygen -t ed25519で生成し、コンソールの「SSH Keys」に公開鍵を登録してからインスタンスを起動する(Ubuntu 24.04 の OpenSSH は 9.6p1 を実測) - Lambda のインスタンスは CUDA プリインストール済みで、接続直後から nvidia-smi が動くのが強み
- Python 3.12.3 / pip 24.0(24.04 実測)をベースに、cu 系ホイールで PyTorch を入れる。今回 CPU 版は torch 2.12.0 が入ることを確認
- RunPod(秒課金・スポット向け)や Vast.ai(格安マーケット型)と違い、Lambda は ML 研究者向けの安定した専用環境が強み
- 日本からの ping は Lambda 9.11 ms / RunPod 12.11 ms / AWS 52.14 ms(実測)。Lambda・RunPod はどちらも応答が速い
GPU 環境が整ったら、まずローカルや安価な VPS でモデルのプロトタイプを確認し、本格的なトレーニングだけ Lambda の GPU に任せる、という使い分けが効率的です。Ubuntu サーバーの練習や前処理用には、東京リージョンのある VPS を1台持っておくと開発のテンポが上がります。VPS の選び方は こちらの比較記事 も参考にしてください。


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