「ollama pull llama3.1:8b を実行したいけど、自分のPCで動くか不安…」という声をよく聞きます。7Bや13B、70Bという数字が何を意味するのか、どれくらいのRAMが必要なのかが分かると、モデル選びがぐっと楽になります。
この記事では、実際にOllama v0.30.8を起動してAPI経由で取得したモデルデータをもとに、パラメータ数とスペックの関係を具体的な数値で解説します。「自分の環境で何が動くのか」を判断できるようになるのが目標です。
本記事では macOS Apple Silicon M1 Pro(RAM 16GB)+ Ollama v0.30.8 で実際にコマンドを動かした結果を載せています。
この記事のポイント
- 「7B」はパラメータ(重み)が70億個という意味。Q4_K_M量子化で約4〜5GBになる
- 量子化レベルによってファイルサイズが最大2.5倍変わる(実測:0.5Bモデルで397MB〜994MB)
- 実際のOllama API出力からパラメータ数・量子化・サイズを確認する方法を紹介
- 自分のPCで動くモデルサイズを「総RAM × 0.6」で概算できる
パラメータ数(B)とは何か
LLM(大規模言語モデル)のパラメータとは、モデルが学習によって調整した「重み」と呼ばれる数値の総数です。0.5B、7B、70B という表記は「Billion(10億)」の略で、それぞれ5億、70億、700億個のパラメータを持ちます。
一般的に、パラメータ数が多いほど:
- 複雑な推論や長い文脈を扱える
- ファイルサイズが大きくなる
- 実行に必要なRAM/VRAMが増える
- CPU推論では速度が遅くなる
注意
パラメータ数が多いほど賢い、という単純な話でもありません。学習データの質・アーキテクチャ・量子化方式によっては、パラメータ数の少ないモデルが特定タスクで上回ることがあります。実際の検証でも、0.5Bモデル(Qwen2.5)より0.6Bモデル(Qwen3)のほうが速く動作しました。
モデルサイズ別の必要スペック早見表
Ollamaで動かせる主要なモデルサイズと、必要なハードウェアスペックの目安をまとめました。ファイルサイズはデフォルトの量子化(Q4_K_M)での値です。

以下は各モデルサイズの概算スペック対応表です(Q4_K_M量子化前提)。軽量モデルは実測値、7B以上は Ollama ライブラリの公式データをもとにした参考値です。
| モデルサイズ | ファイルサイズ目安 (Q4_K_M) |
推奨RAM | CPU推論 (tok/s 目安) |
対象ユーザー |
|---|---|---|---|---|
| 0.5B〜0.6B | 397〜522 MB | 4 GB以上 | 150〜254 tok/s | 低スペックPC・入門・最速重視 |
| 1B〜1.5B | 0.8〜1.3 GB | 4 GB以上 | 100〜190 tok/s | 英語コード・推論タスク |
| 3B〜4B | 1.8〜2.5 GB | 8 GB以上 | 60〜100 tok/s * | バランス型・日本語も実用 |
| 7B〜8B | 4.0〜5.0 GB | 8 GB以上 | 30〜60 tok/s * | コーディング・汎用タスク |
| 13B | 7.5〜8.5 GB | 16 GB以上 | 15〜30 tok/s * | 高精度・複雑な推論 |
| 70B | 38〜45 GB | 64 GB以上 | 2〜8 tok/s * | 最高精度(専用サーバー向き) |
※ CPU tok/s は目安。* 印は参考値(7B以上はOllamaライブラリ参考値、実機での検証ではない)。軽量モデルは macOS M1 Pro + Ollama v0.30.8 で実測(2026-06-14)
Ollama APIで確認する実際のモデルデータ(実測)
Ollamaはローカルで http://localhost:11434 のAPIを公開しており、インストール済みモデルの詳細スペックをJSON形式で取得できます。実際に確認してみましょう。
①ollama list で一覧を確認する
NAME ID SIZE MODIFIED
qwen3:0.6b 7df6b6e09427 522 MB 6 hours ago
deepseek-r1:1.5b e0979632db5a 1.1 GB 6 hours ago
llama3.2:1b baf6a787fdff 1.3 GB 6 hours ago
gemma3:1b 8648f39daa8f 815 MB 6 hours ago
qwen2.5:0.5b a8b0c5157701 397 MB 6 hours ago
SIZE 列に表示されているのがダウンロード済みのファイルサイズです。同じ「1B」でも、llama3.2:1b(1.3 GB)と gemma3:1b(815 MB)で大きな差があることが分かります。これは量子化レベルの違いです(後述)。
②api/tags でパラメータ数まで確認する
ollama list だけではパラメータ数が分かりません。/api/tags エンドポイントを叩くと、量子化レベルやパラメータ数まで含んだ詳細データが返ってきます。
“name”: “qwen3:0.6b”,
“size”: 522653767,
“details”: {
“parameter_size”: “751.63M”,
“quantization_level”: “Q4_K_M”,
“family”: “qwen3”,
“context_length”: 40960
}
Ollamaが起動中のブラウザで http://localhost:11434/api/tags を開くと、以下のようなJSONが表示されます。

この parameter_size が実際のパラメータ数です。「0.6B」と表示されているqwen3:0.6bは実際には751.63M(約0.75B)パラメータを持っていることが分かります。モデル名のBサイズはあくまで目安です。
インストール済みモデルのスペック・速度比較(実測)
実際にOllama v0.30.8で5モデルを動かし、コード生成・日本語QA・Bashスクリプト生成の3プロンプトの平均トークン速度を計測しました(macOS M1 Pro、CPU推論)。

興味深い結果が出ました。Qwen3 0.6B(751.6Mパラメータ)がQwen2.5 0.5B(494Mパラメータ)より速いという結果になっています。パラメータ数だけで速度は決まらず、モデルのアーキテクチャ設計も大きく影響します。

| モデル名 | パラメータ数 (api/tags実測) |
量子化 | ファイルサイズ | 速度(実測) |
|---|---|---|---|---|
qwen3:0.6b |
751.6M | Q4_K_M | 522 MB | 253.9 tok/s |
qwen2.5:0.5b |
494.0M | Q4_K_M | 397 MB | 237.4 tok/s |
llama3.2:1b |
1.2B | Q8_0 | 1.3 GB | 186.9 tok/s |
deepseek-r1:1.5b |
1.8B | Q4_K_M | 1.1 GB | 154.8 tok/s |
gemma3:1b |
999.9M | Q4_K_M | 815 MB | 147.3 tok/s |
実測:macOS M1 Pro / Ollama v0.30.8 / コード生成・日本語QA・Bash生成の3プロンプト平均(2026-06-14)
量子化でファイルサイズが大きく変わる(実測)
量子化(Quantization)とは、モデルの重みを少ないビット数で表現する圧縮技術です。精度をやや犠牲にする代わりに、ファイルサイズと必要RAMを大幅に削減できます。
同じ qwen2.5:0.5b(494Mパラメータ)を、4種類の量子化レベルでインストールして比較しました。
qwen2.5:0.5b-instruct-fp16 c82efd44bfdc 994 MB
qwen2.5:0.5b-instruct-q8_0 84d044692a2c 531 MB
qwen2.5:0.5b-instruct-q5_k_m 0762ec590a8c 420 MB
qwen2.5:0.5b a8b0c5157701 397 MB ← デフォルト(Q4_K_M)
| 量子化 | ビット数/重み | ファイルサイズ | Q4比 | 精度への影響 |
|---|---|---|---|---|
| FP16(fp16) | 16 bit | 994 MB | 2.5倍 | 最高(劣化なし) |
| Q8_0 | 8 bit | 531 MB | 1.3倍 | ほぼ同等 |
| Q5_K_M | 5 bit | 420 MB | 1.06倍 | 若干の低下 |
| Q4_K_M(デフォルト) | 4 bit | 397 MB | 1.0(基準) | 実用上問題なし |
実測:Ollama v0.30.8 / qwen2.5:0.5b(494Mパラメータ)/ 2026-06-14
ollama pull qwen2.5:0.5b のようにタグなしで指定するとデフォルト(Q4_K_M)がダウンロードされます。特段の理由がなければデフォルトの Q4_K_M で問題ありません。速度も Q4_K_M がバランスよく、Q8_0 との差もわずかです。
自分のPCで動かせるモデルを確認する方法
Ollamaを使う上での実践的な判断基準を整理します。
①使えるRAM量から最大モデルサイズを概算する
目安として 「空きRAM(GB) × 0.6 ≈ 実行可能なモデルファイルサイズ(GB)」 が大まかな基準になります。
- RAM 8GB(空き4GB): Q4_K_M で 2.4GB まで → 1.5B〜3B が実用的
- RAM 16GB(空き8GB): Q4_K_M で 4.8GB まで → 7B が実用圏
- RAM 32GB(空き16GB): Q4_K_M で 9.6GB まで → 13B が動かせる
②Ollamaで空きメモリを確認してから pull する
$ free -h
total used free shared buff/cache available
Mem: 15Gi 8.2Gi 1.2Gi 312Mi 5.8Gi 7.0Gi
← available が 7.0GB あれば 7B(Q4)は動かせる
$ ollama pull llama3.1:8b
pulling manifest…
pulling 667b0c1eebd9… 100% ▕████████████▏ 4.9 GB
正直、詰まりやすいポイントです
モデルのロード中に「not enough memory」というエラーが出る場合は、Ollamaが必要なRAMを確保できていません。他のアプリをすべて終了してから再試行してください。それでも動かない場合は1段階小さいモデル(例: 8B → 3B)を試しましょう。
③Ubuntu の環境確認(Docker実測)

上記は docker run --rm ubuntu:24.04 で動かした Ubuntu 24.04.4 LTS(Noble Numbat)の環境確認結果です。apt 2.8.3 / dpkg 1.22.6 の組み合わせで、Ollamaのインストールが問題なく動作します。Ubuntu 22.04 LTS でも同様の手順で対応可能です。
用途別のモデル選び方ガイド

小型モデル(0.5B〜1.5B)の速度はmacOS M1 Pro実測値、7B以上はOllamaライブラリの参考値をもとにしています。
- 日本語チャット:
qwen3:0.6bまたはqwen2.5:0.5b。Qwenシリーズは日本語学習データが豊富で、0.5〜0.6Bでも流暢な日本語が出ます - コーディング支援:
qwen2.5-coder:7bが定番(RAMに余裕があれば)。RAM 8GB 未満ならqwen2.5-coder:1.5bも実用的 - 推論・数学問題:
deepseek-r1:1.5bの「思考モード」は小さくても推論力が高い - 英語汎用:
llama3.2:1bやllama3.1:8bはMeta製で英語精度が高い
まとめ
パラメータ数とスペックの関係を整理しました。
- 7B = 約4〜5GB(Q4_K_M)、RAMは8GB以上が必要
- 13B = 約7.5〜8.5GB(Q4_K_M)、RAMは16GB以上
- 70B = 約38〜45GB(Q4_K_M)、一般PCでの実行は難しい
- 量子化は Q4_K_M がバランスよく、デフォルトのまま使えばOK
- パラメータ数より「アーキテクチャと学習データ」が速度・精度を左右する
まずは軽量モデル(0.5B〜1.5B)でOllamaの動作に慣れてから、必要に応じて大きなモデルに挑戦するのがおすすめです。7Bモデルを動かしたい場合は、VPS(RAM 16GB以上)を借りると快適に使えます。


コメント